世界のニュース

日本:のべ7万人の福島の子どもたちが思いっきり外遊び(そとあそび)!
『外遊びプロジェクト』新たな一歩へ

2015年6月28日 福島発


© 日本ユニセフ協会/2015
木を使って遊んでいるようす

福島県では2011年3月の東日本大震災によっておきた原発事故(げんぱつじこ)で放射線量(ほうしゃせんりょう)が高くなり、子どもが外で遊ぶことはあぶなくなってしまいました。

日本ユニセフ協会は、そんな福島の子どもたちが外で遊べるように、地震のあと2011年5月から外遊びの場を作ってきました。そして、外遊びの活動をこれからも長く続けていくために、6月28日、猪苗代湖町(いなわしろまち)の沼尻(ぬまじり)県有林(けんゆうりん)※で「こども遊び塾」を開校しました。これまでに、のべ7万人を超える福島の子どもたちが参加しました。

震災と原発事故から4年がたち、福島県内でも、子どもたちに外遊びをさせる保護者がふえてきています。しかし、「福島の子ども保養プロジェクト(愛称:コヨット!)」の参加者へのアンケートでは「屋内で遊ばせる」という保護者も32%います。また、「定期的に放射線量の低い所に出かける」という親子の多くも、その行きさきとして「県外」を上げているとのこと。身近に安心して外遊びできる場所は、まだ十分に戻っているとは言いがたい状況です。

そのため、福島県ユニセフ協会と福島県生活協同組合連合会(ふくしまけんせいかつきょうどうくみあいれんごうかい)、福島大学災害復興研究所(ふくしまだいがくさいがいふっこうけんきゅうしょ)は、【子どもが「遊び」をつくる遊び場】をかんがえ、猪苗代町の県有林をかりて、じもとの方々や「コヨット!」の参加者とともに森林の下草刈りや木の抜き取りなど、「こども遊び塾」の舞台(ぶたい)となる森づくりを進めてきました。

「こども遊び塾」の開校式には、約70名の親子が参加しました。日本ユニセフ協会東日本大震災支援本部長の早水研は、「これだけ自然に囲まれているのに、(福島の)子どもたちは実はそんなに外遊びをしてこなかったことを知りました。だからこそ、こういった遊び場をていきょうできればと」と、支援(しえん)の理由を説明し、参加者に「世界から寄せられた支援でこうした場所をつくることができました。ぜひ今度は、世界中のこまっている子どもたちの事にも思いをはせてみてください」と呼びかけました。

「私たちは、土・空気・花・葉・雪・雨・昆虫(こんちゅう)など、豊かな自然の恵みを子どもたちが受けとれる"あたりまえの遊び環境"をおとなの責任で用意できればとかんがえています。人間の脳にある、危険から自分の身を守るためのはたらきは、子どもの頃に外で自然にふれて遊ぶことでより成長が高まるとも言われています。子どもたちの大切な脳の発達に、外遊びは欠かせないことだと考えています」と、福島県ユニセフ協会の佐藤事務局長は語ります。

「こども遊び塾」は自然を生かしながら、木のぼりや、落ち葉やどろんこや自然のものを使って、自分のやってみたいと思うことを実現(じつげん)していく遊び場です。おとなも、子どもたちの行為をあぶないからと言ってやめさせるのではなく、一緒にかんがえてやってみる場所です。
子どももおとなも、のびのびとおもいっきり遊べる、永遠に完成しない遊び場が生まれました。

※県有林:福島県が持っている森林で、自然のよい風景が見られる場所に多くあり、森林浴やレクリエ−ションなどに利用されています。

■このニュースの詳しい内容は
 東日本大震災復興支援 第257報 福島の子ども、のべ7万人が参加『外遊びプロジェクト』 新たな一歩へ

公益財団法人 日本ユニセフ協会