
ハリケーンで被災した子どもたちの心理ケアのためのスポーツイベントで、
ユニセフスタッフとハイタッチする女の子

- 面積 : 1万3,880平方キロメートル(700余りの小島から成る。福島県とほぼ同じ。)
- 首都 : ナッソー
- 人口 : 約38.5万人
- 5歳未満児死亡率 : 10人/1000出生あたり(2018)
- 小学校に通えていない子どもの割合 :15%(男子)、8%(女子)
- 中学校に通えていない子どもの割合 : 11%(男子)、5%(女子)
- 高校に通えていない子どもの割合 : 15%(男子)、10%(女子)
バハマは約700もの小島からなる、カリブ海にある国です。バハマは国の土地が小さく、低地であることから、自然災害にあいやすいとされています。子どもたちは、自然災害によって何度も避難しなければなりません。そういった状況は、子どもたちの生活、健康、教育、そして幸せに大きな影響をあたえます。最近は、2019年9月に「ドリアン」と名付けられた史上最大級の台風がバハマを襲いました。
バハマ島や北部のグランドバハマ島ではおよそ1万8000人の子どもたちが緊急支援を必要としていました。ユニセフはパートナーであるNGO団体やバハマ政府と協力しながら、台風の被害を受けた子どもたちへの支援を始めました。その支援の一つとして、子どもたちの精神的な回復を目的のため、日々アクティビティが行われています。ポスターに使われている写真は、ユニセフ職員とバハマの避難所にいる女の子がそのアクティビティの一つであるスポーツをして、ハイタッチをしている場面です。

台風ドリアンにより、アバコ島やグランドバハマ島では少なくとも2,674(34%)もの建物が破壊され、4,557(57%)が損傷を受けました。さらに、配水システムを含む地下水も汚染され、井戸は壊れ、人々は安全な水を手に入れることが困難な状況にあります。
ユニセフは水と衛生(WASH)プログラムの一つとして、大きな被害を受けたアバコ島やグランドバハマ島を中心に、人々に安全な飲み水を届ける支援をしています。
しかし、安全な水を届け、さらに貯水タンク、トイレ、お風呂などを作るのに、機材を運ぶための道は台風によって壊されてしまいました。まだ届けられていない地域への水の配給や、衛生管理の対応と修復が最優先事項とされています。
バハマが抱える課題~教育~

被災した子どもたちへの教育も大きなの課題です。
被害を受けた島々のおよそ10,000人の女の子と男の子が、安全な環境で学ぶことができる場所を用意することを最優先事項のひとつとしてユニセフは働きかけています。学校に行けなくなってしまった子どもたちには、被害登録をしてもらい、一時的に首都ナッソーの学校に行けるよう手続きをしてもらいました。更に全ての子どもたちへ学校での精神的なサポートができるよう、全ての教育にかかわるスタッフの技術的な能力を高めようと訓練しています。
さらにユニセフは、バハマ政府の教育省を支援しています。登録した子どもたちは、学校に入学する前に検診を受けることができ、制服や給食が保証され、心理カウンセリングや新たに入学に関する紹介がされます。更にスポーツやアートなどのアクティビティをするなど、様々なサービスを利用できるようにしました。
バハマ全体のおよそ250人の学校の先生やカウンセラーには、避難してきた子どもたちの心理社会的ケアや気晴らしになるアクティビティをできるように、技術や知識を学ぶトレーニングをしました。その後、台風発生から半月後には56人の幼児教育の先生と79人の学校のカウンセラーは自然災害で被害を受けた子どもたちの精神的なサポートができるようになりました。
アバコ島では、ユニセフはパートナー団体と協力して、4つの学校にレクリエーション用の道具を届けました。そして8人の先生にはそのキットを使えるようにトレーニングをしました。このキットによっておよそ80人の子どもたちがレクリエーションを受けることができます。グランド・バハマ島では14校の学校に送り、およそ3,000人の子どもたちに使われるようになりました。

台風ドリアンの大きな被害によって子どもたちは住んでいた家、町、島から離れてしまい、さらには自分たちの家族とも離れ離れになってしまっています。このような状況下で、子どもたちは健康や命に関わる児童労働、自然災害による精神的ストレス、あらゆる形の暴力などの危険にさらされています。
こうした危険から子どもたちを守るために、ユニセフはバハマ政府と協力しながら3つの課題を出し、解決を試みています。一つめは、はぐれてしまった子どもたちの認識と保護、二つめはアバコ島やグランドバハマ島から避難できていない、被害を受けた家族、および子どもの早急な保護、三つめは子どもやその家族が地元に帰るための支援です。
ユニセフは、子どもたちが安全・安心な環境で遊んだり勉強したりできる場所「子どもにやさしい空間」の設置もしています。また、子どもたちの心理ケアができるよう、ボランティアスタッフや現地の人たちに対し、研修も行いました。台風発生から半月の時点でおよそ60人のスタッフはナッソーとグランドバハマ島で研修を受けました。