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財団法人日本ユニセフ協会

ライブラリー プレスリリース

“クラスター爆弾が子どもに及ぼす影響”
ユニセフ声明
クラスター爆弾の禁止を求める国際行動デー 2007年11月5日

初めての「クラスター爆弾の禁止を求める国際行動デー」に際し、ユニセフは子どもたちのためにここに声明を発表する。

ユニセフは平和な時も紛争時においても、子どもの最善の利益を推進するために邁進する。子どもの権利は『子どもの権利条約』のなかで正式に文書化されている。この条約は、個人としてまた地域社会や国家の一員として子どもを尊重することを推進し、それを守り強化する国際的な法律文書である。子どもは、成長し遊び学ぶことが可能な安全な環境で、生活し楽しむ権利を持っている。個人と政府はともに、そういった子どもの権利を守る責任を負っている。

戦中も戦後もクラスター爆弾が子どもたちに恐ろしい影響を及ぼすことは、多くの紛争が証明してきた。最近の例は2006年のレバノンであるが、すでに何年も何十年も前から、クラスター爆弾が使われた国々(ボスニア、カンボジア、イラク、ラオス、セルビア、ベトナム)で子どもたちは犠牲になってきた。今もこのような国々では、クラスター爆弾が子どもの権利の実現に大きな脅威となっている。

これらの無差別破壊兵器による死傷者に、子どもが占める割合はきわめて大きい。例えばアフガニスタンでは、クラスター爆弾による死傷者の3分の1以上が子どもである。コソボ紛争の期間中、対人地雷(これ自体が恐ろしい武器であり、国際社会の大半が禁止している)よりもクラスター爆弾の犠牲となった子どもの数のほうが多かった。

戦争の立役者でも標的でもないはずの子どもたちが、クラスター爆弾によって殺害され負傷し続けている。クラスター爆弾が人口密集地で使われれば、子どもが持つ生存の権利、健康の権利、遊ぶ権利、安全な環境の権利を脅かさずには済まないということは、これまであまりにも多くの実話が示してきたとおりである。

クラスター爆弾の多くは、ボールや缶のような日常的な物の形をしていたり、反対に珍しい形と鮮やかな色彩をしており、不運なことに子どもたちが惹きつけられる。その形態と地域社会に広く分布している事実から、子どもはクラスター爆弾の不発弾を拾い上げてしまう。

戦後に爆発物が取り残されている環境では、子どもが持つ自然な好奇心や、遊びたい・触れてみたい・何かを知りたいという願望が危険だということを我々はユニセフの活動のなかで知っている。放課後の探検ごっこ、家畜の放牧、水汲み、サッカーなど日常的な活動も命がけのものとなることがある。調査によると、これまでに子どもが巻き込まれたクラスター爆弾の事故は、しばしば家事の手伝いや遊びで外出した子どもの集団に発生している。

爆発時に生き残る子どもも障害をかかえたり、視力や聴力を失うことがある。生き残った子どもは、医療費と教育にかかる経費をまかなうだけのお金がない場合には学校教育を受けられなくなることがある。こういった弱い立場は一般に大人になるまで続き、障害に対する社会的差別や地域社会からの差別が、子どもの心理的な健康や将来に良くない影響を及ぼす。

クラスター爆弾は、直接的な効力をはるかに超える潜在的な影響力を持っている。親や保護者がクラスター爆弾で殺害されたり障害を負うと、家庭が困窮して子どもが影響を受ける。国連がこの問題についての合意に達し、一般市民への容認しがたい危害を引き起こすクラスター爆弾を禁止する法的拘束力を持った文書を作成しようと加盟各国に強く呼びかけていることは喜ばしいことである。

ユニセフは10年以上にわたり、地雷やその他の残留爆発物から子どもを守るための活動を行なってきた。とくに地雷の被害を受けた国々の意識向上活動や危険教育、生存者への支援などを中心に支えている。また、地雷や無差別兵器(クラスター爆弾など)が、『子どもの権利条約』のもとで保障されている子どものあらゆる権利に与える脅威に取り組んでいる。

我々は、これらの兵器による人道上の影響に終止符を打つためのあらゆる努力を支援する。そのために市民社会と政府が今後も継続して努力し、ともに活動していくことが必要である。

我々はすべての政府に対し、一般市民とくに子どもたちに容認しがたい危害をひきおこすクラスター爆弾を禁じる法律文書を作成することを緊急に促すものである。

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