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ユニセフ、「2008年国際衛生年」の第一回準備会議を主催【2007年5月7日、ニューヨーク発】
先進工業国の多くの人々にとって、適切な衛生設備は特別なものではありません。しかし少なくとも26億人、世界人口の約41%の人々は、トイレやそのほかの基礎的な衛生設備を利用することができずにいます。そして、その中には9億8,000万人の子どもも含まれているのです。 衛生設備や安全な飲料水源を利用できないことは、下痢などのさまざまな病気の原因となります。下痢は栄養不良や肺炎を引き起こしたり悪化させることが少なくありません。そしてこれらの病気が、莫大な数の人々を、特に子どもたちを死に至らしめています。 この世界的危機への関心を高めるため、国連は2006年12月、2008年を「国際衛生年」と定めました。今日ニューヨークのユニセフ本部で開催された第一回準備会議に参加した専門家たちは、ミレニアム開発目標7(2015年までに安全な飲料水源を継続的に利用できない人々の割合を半減させる)の重要性を再認識し、脚光を当てるための新たな方策について話し合いを持ちました。 「挑戦」の道筋を立てる
会議では国連事務総長「水と衛生に関する諮問委員会」委員長であるオランダのウィレム・アレキサンダー皇太子が議長を勤め、NGO、ドナー機関、学術関係者、開発銀行、そして29カ国の政府が一堂に会しました。彼らの共通の目標は、目前に横たわる難題に取り組むための集中計画を策定すること。ミレニアム開発目標7を達成するためには、毎年新たに1億6,000万人を超える人々が安全な飲料水源や衛生設備を利用できるようにならなければなりません。 会議の冒頭、ウィレム・アレキサンダー皇太子は、国際衛生年が「人々の意識を高め、特に中央レベルでの政治的意思の動員を図るまたとない機会となるでしょう。そして、それが真に必要なことなのです」と述べました。「なぜなら、コミュニティや地方自治体、NGO、国際的に活躍するさまざまな団体等とともに活動して、最終的に衛生分野におけるサービスを充実させる義務を負っているのは中央政府だからです」 子どもの生存に欠かせないもの準備会議での話し合いを通して、様々な障害を乗り越えて、適切な衛生環境を保つこと、正しい衛生習慣を身に着けることの重要性を世界中の人々に伝えていく必要性が明確になりました。また、コミュニティの水道・衛生設備を改善していくには多額の費用がかかりますが、その投資から多くの恩恵がもたらされることは、多くの場合まだ十分に理解されていません。また、貧富の格差や都市と農村コミュニティ間の格差も、衛生環境の改善をさらに困難なものにしています。
しかし、世界的な行動プログラムを通じてこの問題に取り組んでいく利点は、決して小さなものではありません。毎年、およそ150万人の5歳未満児が下痢のために命を落としています。また一方で、安全でない水や不十分な衛生設備により慢性的に病気に苦しめられている子どもの多くが満足に学校に通えずにいます。昨年、これらの病気で子どもたちが学校に通えなかった日数は、世界全体で合計5億日にのぼると推定されています。これらの数字が示すように、適切な衛生設備は子どもの生存と成長にとって欠かせないものなのです。 成果を測る今日の会議に出席した参加者は、「国際衛生年」に制定される到達目標の草案をまとめ、午後の会議に出席した国連事務総長、潘基文(バン・キムン)氏に提出しました。これらの目標は、確定後に各国政府や世界中のパートナー機関等と共有され、衛生分野の取り組みに関する評価に役立てられます。目標には以下の項目が含まれています。
「適切な衛生環境という人間の福祉の基本的要素の恩恵を享受できずにいる何百万人、何十億人もの人々にとって、この『国際衛生年』を真の変化をもたらす年にしましょう」と潘氏は呼びかけました。 普段からなにげなくトイレを利用したり水と石けんを使って手を洗っている人にとって、適切な衛生設備を利用できることは特別なことではないかもしれません。しかし、適切な衛生設備が利用できるようになれば、すべての人々にとって、より良い人生を歩む可能性が切り開かれることになります。経済成長が進み、教育分野における進展が持続するとともに、公衆保健の面で確固たる基盤が整うのです。「国際衛生年」は、今日から始動しはじめた計画を通じて、この当たり前の願いを現実のものとするための機会となることでしょう。
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