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財団法人日本ユニセフ協会

ライブラリー プレスリリース

タジキスタンでポリオ再発の緊急事態
〜黒柳徹子ユニセフ親善大使「早急にワクチンを」〜

【2010年6月11日 東京発】

© UNICEF Tajikistan/2010
タジキスタンの全国予防接種キャンペーンで、経口ポリオワクチンを投与される男の子。

中央アジアのタジキスタンでは、今年5月より、突発的なポリオの再発に直面しています。同国にとって13年ぶりの発生となるポリオは、4月21日に確認されて以来、主に幼い子どもたちの間で拡大し、現在、世界最大のアウトブレイク(急速な集団感染)となっています。このままでは死亡例が増え、国内外に感染が広がると予測されています。全国的なワクチン投与キャンペーンに必要な資金を国際社会が提供することが、早急に求められています。

タジキスタンでは6月4日現在、581例の急性弛緩性麻痺が認められ、このうち、感染力の強い野生株ポリオウィルス1型が183名から検出されました。これらのケースのうち、大半は6歳未満の子どもで、5名の死亡がポリオと関連付けられています。発症例の多くは、アフガニスタンやウズベキスタンと国境を接するタジキスタン南西部、および首都ドゥシャンベに集中しています。不顕性(麻痺の症状が現れない)の感染例もおよそ200〜400倍あると見られ、これらも感染拡大の源となっています。

世界保健機関(WHO)が定義する欧州地域(タジキスタンを含む)については、2002年に同機関によりポリオ根絶が宣言されました。今回、それ以来初めて同地域においてポリオ発生が確認されたことにより、一部の専門家は近隣諸国からの輸入例と見ています。

© UNICEF Tajikistan/2010
地元の保健所で、ポリオワクチンを子どもに受けさせるために、子どもを抱いて並ぶ母親。

感染力の強いポリオは、世界でこれまでに何百万人という子どもたちの手足の自由を奪い、貧困状況を悪化させる一因ともなってきました。ポリオウィルスは静かに、かつ急速に広がるため、麻痺が起こるまで病気の進行に気づきません。ポリオはかかってしまうと治療法はありませんが、ワクチン接種により防ぐことが可能です。ポリオ根絶には、新たな発症の抑制と、その原因となるポリオウィルスを地球上からなくすことが重要です。最低3年間、野生株ポリオウィルスによる新たな発症例が報告されなかった地域は、ポリオ根絶と認定されます。現在、残されたポリオ流行国は4ヵ国(インド、パキスタン、アフガニスタン、ナイジェリア)となっています。

黒柳徹子ユニセフ親善大使は、「ポリオのワクチンを供給するためのわずかなお金で、子どもの一生を救うことができます。一刻も早い支援が必要です」と呼び掛けています。なお、支援の費用対効果は高く、一回の経口ポリオワクチンに必要な額は20円弱です。

タジキスタンでは、国際社会による支援の下、計4回に亘る全国一斉予防投与(キャンペーン)を緊急的に実施中です。うち2つは110万人の6歳未満児を対象としており、それぞれ5月4日と18日に始まりました。残りの2つは、15歳未満が対象で、6月1日と15日に開始されます。ユニセフはこれまでに、米国疾病予防管理センターからの緊急貸付により3つのキャンペーンに必要な約400万回分の経口ワクチンを供給しましたが、資金は不足しており、更なる迅速な支援が不可欠です。

© UNICEF Tajikistan/2010
タジキスタンの全国予防接種キャンペーンで、経口ポリオワクチンを投与される女の子。

ユニセフでは、タジキスタンのほかに、ウズベキスタン、アフガニスタンおよびキルギスタンを含む4ヵ国におけるポリオ対応のための資金を必要としています。ポリオがタジキスタン国内で蔓延する危険性がある上、同じく周辺国においても保健システムが脆弱であることから、感染拡大を防ぐための措置が早急に求められています。

ユニセフとWHOのポリオ対策のための資金は、西・中央アフリカ、アフリカの角、アンゴラ、およびタジキスタンと周辺国での発生に対処するためのワクチン・キャンペーンの実施により、ほぼ底をついている状況です。現在、世界のドナーが表明している支援額に基づく予測によると、今年度の投与計画を実行するには、世界的に現在約1,000万ドルの資金が不足しています。このため、いくつかの国ではすでに予防接種計画の延期を余儀なくされています。

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