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公益財団法人日本ユニセフ協会

ライブラリー プレスリリース

世界予防接種週間:予防接種を受けられない子どもは世界で5人に1人

【2013年4月23日】

4月24日から4月30日までの世界予防接種週間にあたり、ユニセフは、予防接種を受けていれば2011年に150万人の子どもの命が守れたはずだと発表しました。世界で予防接種を受けられない子どもは、5人に1人。社会的に、または、地理的に保健サービスから除外されている、予防接種を行う資金がない、保健システムが整っていない、シリアや西アフリカのように紛争で保健サービスが受けられないなどの理由で、子どもたちは命を守るのに必要な予防接種が受けられません。

世界のあらゆる子どもたちは、より健康であるために予防接種を受ける必要があり、ワクチンは、毎年200〜300万人の子どもたちの命を守っているとみられます。米国疾病予防管理センターによると、予防接種は20世紀の公衆衛生が成し遂げた10の偉業のひとつであり、極めて費用対効果が高い取組みでもあります。例えば、はしかから子どもを守るための費用は1米ドル以下なのです。

しかし、2011年2240万人の子どもたちが予防接種を受けておらず、前年より100万人以上増えました。

資金不足や不安定な政治状況により「あらゆる子どもたちに予防接種を」という世界での取組みが足踏み状態にあり、ユニセフはこの事態に懸念を抱いています。WHOに加盟する193カ国のうちわずか、予防接種のために予算を当てたのは152カ国であり、41カ国では予算が割り当てられませんでした。

© UNICEF/NYHQ2012-0477/Nesbitt

国内において、また国家間において、ワクチンの接種率には格差があります。いかなる国であっても、経済力のある家庭は最もよい保健サービスを最も利用することができ、接種率も最も高いのです。

ユニセフは、この格差を埋める努力をしなければ、すべての子どもたちが予防接種を受けることはできないとしています。同時に、保健システムの改善のひとつに定期的な予防接種を組み込み、投資をすれば、子どもたちは予防接種を受けられます。このためには、政府は十分な資金や、肺炎や下痢を防ぐワクチンを取り入れるなどの革新も求められます。

そして、最も重要なことは、最も貧しく、最も不便な場所に住んでいる家庭の子どもたちが予防接種を受けられるようにするためには、ゆるぎない政治的な支援が必要です。

ユニセフは、世界の子どもたちの36%にワクチンを供給しています。2012年、ユニセフは約19億回分のワクチンと注射器5億本以上を調達しました。世界で最もワクチンを購入している組織であり、低所得国や中所得国がワクチンを購入できる価格を維持するよう、調整しています。2012年、ユニセフとパートナー組織は、100以上の国で予防接種プログラムを行いました。

国レベルでは、ユニセフとパートナー組織は、政府が予防接種の供給網を最適化し、ワクチンが子どもたちの元に届くまで、保存と輸送のあらゆる段階で、適切な一定の温度で保たれるよう、コールドチェーンの備品とロジスティックスが効率的に維持されるよう、支援しています。また、コミュニティで予防接種への意識が高まり、実際に、予防接種を受けるよう、ユニセフは活動しています。

紛争や自然災害などの緊急事態下では、子どもたちはより困難な状況におかれ、予防接種キャンペーンがいっそう重要となります。人道危機で極めて感染しやすいのがはしかであり、実際に、緊急事態下にあるシリア、パキスタン、ナイジェリア、コンゴ民主共和国では、はしかが発生しています。

予防接種の大きな効果と困難は、シリア危機で如実に表れています。昨年、ユニセフとパートナー組織は、130万人の子どもたちにはしか、150万人の子どもたちにポリオの予防接種を実施し、現在250万人を対象にはしかの予防接種を進めています。しかし、資金も限られ、治安が悪化するなか移動は厳しく、多くの人が転々としていることから、すべての子どもたちに予防接種を行うことは、極めて難しい状況です。
しかし、子どもたちへの予防接種のこれまでの取組みは、次にあげるような壊滅的な病気の削減や根絶が実現しています。

  • 天然痘は1980年に根絶、近年、インドでポリオが根絶され、現在ポリオが根絶されていない国は、パキスタン、ナイジェリア、アフガニスタンの3カ国のみ
  • 2000年から2011年の間に、はしかによる死亡は71%削減
  • 2000年から2013年の間に、新生児破傷風は29カ国で根絶

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