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公益財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

ガザで殺害された子どもたち392人に
〜ある父親の苦悩〜

【2014年8月4日 ガザ(パレスチナ自治区)発】

ガザ地区南部で激しい空爆が行われているラファで、治療を受ける子どもたち(8月3日撮影)
© UNICEF / Eyad El Baba
ガザ地区南部で激しい空爆が行われているラファで、治療を受ける子どもたち(8月3日撮影)

現地時間8月4日時点で、これまでにガザで殺害された子どもたちは392名となりました。イスラエル軍による2008〜2009年の“キャスト・リード(Cast Lead)”作戦での子どもの死者350名を上回りました。

* * *

幼い子ども2人を抱える父親の苦悩

ガザに暮らす2児の父親モハメッドさんは次のように語ります。

よく眠れない日々が続いているというモハメッドさん。「戦闘が始まってから3週間以上たちました。最初は、妻と一緒に、子どもたちふたりを安心させようとしていました。しかし、幼い子どもたちすら、外では戦闘が起きていることを十分にわかっています」と話し始めました。

停戦中に家に帰り、破壊された家のがれきの中から荷物を探す親子。
© UNICEF/NYHQ2014-1001/El Baba
停戦中に家に帰り、破壊された家のがれきの中から荷物を探す親子。

モハメッドさんの父親の自宅は、先週、ミサイル攻撃を受けました。「狭い寝室に、20人くらいが身を寄せ、子どもたちは全員その部屋で遊んでいました。寝室には、大きな窓もバルコニーもなかったので、家の中で一番安全だと思っていたのです。しかし、突然、屋根に砲弾が2発着弾し、うち1発が屋根を突き破って家の中に入ってきました」

寝室の一部は壊れたものの、かろうじて持ちこたえていました。子ども用の小さなベッド2台は、がれきとほこりで覆われ、着弾でできた天井の穴から差し込む光がベッドにうつっていました。

全員軽傷を負ったものの、無事でしたが、ショックを受けている親戚もいました。モハメッドさんの10歳になる姪のライラちゃんは手足を負傷し、肩には金属片が刺さり、現在、シファ病院に入院しています。「けがをした子どもに、この状況をどのように説明できるのでしょうか」とモハメッドさんは問いかけます。

怯える子どもたち、命がけの水探し

給水所でタンクに水を汲む子どもたち。
© UNICEF/NYHQ2014-1004/El Baba
給水所でタンクに水を汲む子どもたち。

モハメッドさんは、イスラエル軍による2008〜2009年の“キャスト・リード(Cast Lead)”作戦、2012年の”ピラー・オブ・ディフェンス(Pillar of Defence)”作戦を経験していますが、今回の攻撃はこれらよりもひどいと言います。

「住宅が破壊され、家族全員が行き場を失っています。近くのシュジャイヤやベイト・ハヌーンは破壊され、生存者を探しに行っても、家の跡形すらないと聞いています」

「ガザ市の通りは、自宅から避難してきた人たちがあふれ、身を寄せる場所を探しています。毎日、ガザのいたるところで、子どもたちが死亡し、重傷を負っています。言葉が見つかりません」

「自分はガザでは幸運なほうだ」と、モハメッドさんは言っています。水も電気も使えなくなった自宅には、大勢の親戚が身を寄せています。

「子どもたち全員が水を飲むことができ、気分を整えられるように、毎日、水を汲める場所を探さねばなりません。庭に井戸があるとか、高い値段でも水を売っている人がいると聞けば、たとえ、それが飲料水かどうかわからなくとも、水を求めて出かけます。途中で殺されませんようにと願いながら、水を探しに行くのです」

モハメッドさんは、5歳に満たないふたりの子どもたちことを心配しています。「子どもたちは片時も、私や妻から離れません。一人で遊びたがらず、私や妻なしには、部屋にいません。どこに行くにもしがみついてきます。子どもたちが絶えず不安を感じながら過ごさねばならないことが不憫です。子どもたちには3度目の戦闘の中で生活してほしくなりません。子どもたちにできる限りのことをしてやりたいのですが、私にはどうすることもできないのです」と、語りました。

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