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公益財団法人日本ユニセフ協会

イラク北部
ヤズディ教徒 国境を越えシリアへ
感染症のリスク懸念、ユニセフは浄水剤などを支援

【2014年8月18日 マリキヤ(イラクとシリアの国境沿い)発】

国内避難民キャンプの付近で、仮のテントの下で休息を取る母親と4人の子どもたち。暴力から逃れるため、家族で避難してきた。
© UNICEF/NYHQ2014-1086/Khuzaie
国内避難民キャンプの付近で、仮のテントの下で休息を取る母親と4人の子どもたち。暴力から逃れるため、家族で避難してきた。

推定1万2,000人のイラク難民が、遥か遠い道のりを歩いて国境を越え、シリアの難民キャンプに身を寄せています。そのうちの数千万人は子どもたちです。

イラク少数派のヤズディ教徒たちが、国境を越えたシリア・マリキヤのはずれにあるナウルズ(Nawrouz)キャンプに到着し始めてからおよそ2週間が経過。過去2日間、このキャンプで新たに登録された難民がいないことから、難民到着の波は一旦落ち着いたようにみられる、とユニセフのスタッフは語ります。

喫緊に必要な水と衛生の支援

しかし、今後より多くの難民が到着するのに備え、追加のトイレの設置や水設備の改善など、支援団体によるキャンプの設備の充実化が進んでいます。

シリアの国境付近で、トラックで避難するヤズディ教徒の子どもや家族に水を配布するユニセフ・スタッフ。
© UNICEF/NYHQ2014-1170/Khuzaie
シリアの国境付近で、トラックで避難するヤズディ教徒の子どもや家族に水を配布するユニセフ・スタッフ。

国連機関がシリア・アラブ赤新月社(SARC)や地元の支援団体、クルド人救済委員会、市民社会と連携し、水や食糧、避難場所、服、医薬品を提供し始めて以来、状況は着実に改善しています。しかし、懸念が完全に払拭されたわけではありません。

「物事は以前よりも順調ですが、水が原因となる感染症のリスクが依然として潜んでいます」と、ハサカ県カーミシュリー(Qamishli)にあるユニセフ現場事務所代表エルタイェブ・アダムは語ります。「我々が最も危惧するのは、難民キャンプの不衛生な環境です。特に今のような酷暑のなかでは、きれいな水が緊急に必要とされています」

ユニセフは、浄水剤3,000錠以上を含む、命を守る支援物資をナウルズキャンプに届けました。他にも、高カロリービスケットや子ども服、薬用石鹸、下痢・助産キット、生理用ナプキン、ごみ袋などを支援物資として提供しています。追加の緊急支援物資は、カーミシュリー近郊にすぐに到着する予定です。

産後3日たたずに山越え

ヤズディ教徒の人々、特に子どもたちは、酷暑のなか長い道のりを歩いてシリアに到着し、極度に疲労困憊している、と支援に携わるスタッフは言います。難民の一人ひとりが、恐ろしいほどの苦難を経験しているのです。

幼い赤ちゃんを抱いた母親が、山の中を逃げながら出産した話を語ります。 「出産は大変でした。夜の8時から次の朝5時までかかりました。それから3日もたたないうちに、再び歩いて逃げなければならなかったのです」

生後13日の赤ちゃんを抱いて川を越え、避難してきた女性。
© UNICEF Iraq/ 2014
生後13日の赤ちゃんを抱いて川を越え、避難してきた女性。

6人の子どもを持つ父親も、「食糧も水もなく何日も歩き続けました。私たちはこの地から離れて、どこか平和な場所に行きたいのです」と苦しい体験を語ります。

安全を求めるヤズディ難民が続々と到着しているシリアでも、内戦により推定1,080万人が影響を受け、甚大な人道危機状況が続いています。

■参考情報:イラクの人道危機状況

<8月15日 OCHA(国連人道問題調整事務所)発表>

  • 人道危機の影響をうけている人々の数  150万人
  • 国内避難民の数 推定120万人
  • 支援対象者の数 100万人

追記:
イラクの総人口 3,277万8,000人⇒国民の3.6%が国内避難民に(出典:ユニセフ『世界子供白書2014 統計編』)

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