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公益財団法人日本ユニセフ協会

10月24日は「世界ポリオデー」
根絶まで3カ国を残すだけ!
ユニセフハウスで企画展「ポリオのない世界へ」開催

【2014年10月17日 東京発】

10月24日は「世界ポリオデー」です。ポリオは、主に5歳未満の幼い子どもが感染します。脊髄の運動神経細胞がポリオ・ウィルスに侵されると、四肢に一生まひが残ったり、延髄から上の神経を侵されたりする恐ろしい病気です。有効な治療法はなく、ワクチンだけが感染を防ぐ唯一の方法です。日本では1980年を最後に野性株によるポリオ感染は報告されていませんが、世界ではまだポリオ感染の悲劇が続いています。

ポリオでまひが現れた足に、歩くための補助具をつける子ども。
© UNICEF/NYHQ2012-0068/Asselin
ポリオでまひが現れた足に、歩くための補助具をつける子ども。

世界的なポリオ根絶のための取り組みが始まった1988年、野性株のポリオウィルスが常在する国は125カ国以上に及び、患者数は年間で約35万人にも上っていました。しかし、予防接種の強化により、現在、常在国はアフガニスタン、ナイジェリア、パキスタンの3カ国のみ。患者数は2013年には416人、今年は209人(10月1日現在)と、1988年比で99%以上減少しています。1980年に根絶された天然痘につづき、人類が野性株のポリオを克服するまであと一歩のところまで迫っているのです。

一方で、シリアやイラクなど一度ポリオを根絶した国で再び感染が確認されたり、紛争が続くパキスタン北部でポリオ感染が拡大したりするなど、予断を許さない状況も続いています。

こうした中、世界ポリオデーにあわせて、ポリオという病気とワクチンの基礎知識、世界の現状や根絶に向けた取り組みなどについて、広く子どもたちに知ってもらうことを目的とし、企画展「ポリオのない世界へ」を開催します。みなさまのお越しをお待ちしております。

企画展「ポリオのない世界へ」
■日時:2014年10月20日(月)〜11月14日(金)
平日:午前10時〜午後6時
第2・4土曜日:午前10時〜午後6時
閉館日:日曜・祝日・上記以外の土曜日

■場所:ユニセフハウス1階 企画展示スペース
(〒108-8607 東京都港区高輪4-6-12 JR品川駅または都営浅草線高輪台駅より徒歩7分)

インド・ニューデリーのスラム街で、戸別訪問によりワクチン接種を受ける子ども
© UNICEF/Anindito Mukherjee
インド・ニューデリーのスラム街で、戸別訪問によりワクチン接種を受ける子ども。

■ポリオってどんな病気?
ポリオ(急性灰白髄炎)は、ポリオ・ウイルスによって引き起こされる感染症です。ポリオ・ウイルスが人の体のなかに入ると、脊髄の運動神経細胞がおかされ、手や足に一生まひが残ってしまう病気です。ポリオはどの年齢の人でも感染する可能性がありますが、5歳未満の子ども発症が多くなっています。ポリオに感染しても、多くの人(90〜95%)は特に症状は現れずに、知らない間に免疫ができます。しかし、腸のなかに入ったウイルスが、脊髄の一部に入り込むと、手や足にまひがあらわれ、重症の場合は死亡してしまうこともあります。

■なぜ予防接種は大事なの?
ポリオは一度かかると完全に治すことができませんが、予防接種をすることでポリオにかからないようにすることができます。予防接種に使う薬液のことを「ワクチン」といい、体に接種して、病気に対する抵抗力(免疫)をつくります。子どもたちみんなが予防接種を受けていれば、ポリオ・ウイルスは人の体の中で増殖することができず、死滅していなくなります。そのため、子どもたちがひとり残らずワクチンを接種することが何よりも大事なのです。ユニセフは、そのワクチンを調達する機関として、世界で大きな役割を果たしています。

© UNICEF

■ワクチンが守った日本の子どもの未来
20世紀半ば、日本でもポリオが大流行した時期がありました。しかし、海外から経口ポリオ生ワクチンを緊急輸入し、予防接種をおこなうことで流行は急速に収束していきました。また、ポリオの定期予防接種を強化したことにより、国内では、1980年を最後に、野性株によるポリオ患者は報告されていません。

■ポリオはなくせる!
世界からポリオの悲劇をなくすため、1988年の世界保健総会で、世界保健機関(WHO)、ユニセフ、国際ロータリー、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)が協力して、「世界ポリオ根絶のためのイニシアティブ」がスタートしました。当時、世界中の125カ国以上でポリオが流行し、年間35万人以上の患者がいました。しかし、そのときから今までに、全世界で25億人以上の子どもが予防接種を受け、2014年現在、野性株のポリオ感染が常在する国は、アフガニスタン、ナイジェリア、パキスタンの3カ国のみ、ポリオ患者の数は99%以上も減りました。こうしたポリオ根絶に向けた取組みは、世界中のたくさんの政府と民間の協力ですすめられており、日本政府や民間企業も主要なパートナーです。

キャンペーンの前日、マハラシュトラ州ビワンディで、ポリオの予防接種がまもなく始まることを伝えて回る子どもたち。
© UNICEF/INDA2012-00417/Biswas
キャンペーンの前日、マハラシュトラ州ビワンディで、ポリオの予防接種がまもなく始まることを伝えて回る子どもたち。

■不活化ワクチン導入でポリオ感染ゼロに
ポリオのワクチンには、1955年にジョナス・ソーク博士が開発した「不活化ポリオワクチン」と、1961年にアルバート・サビン博士が開発した「経口ポリオ生ワクチン」の二種類があります。経口から摂るワクチンは価格が安く(1回0.128米ドル)、専門知識がない人でも子どもの口にワクチンのドロップをたらすだけで簡単に投与ができるため、大規模な予防接種キャンペーンを行う開発途上国で多く使われています。不活化ワクチンは、ポリオ・ウィルスの毒性を取り除いたものながら、注射という「専門技術」を要するため、主に先進国を中心に使われています。最近は不活化ワクチンの価格が1回分約1米ドル以下に下がったこと、不活化ワクチンの安全性を優先させたいというニーズが高まっているため、途上国でも、徐々に不活化ワクチンの導入がはじまっています。

■考えてみよう!あなたに今できること
地球上からポリオをなくすまであと一歩。その最後の一歩の達成を、紛争や政情不安、貧困などが妨げています。支援が届かない地域に住む子どもたちこそ、国際社会からの支援を必要としています。ポリオに感染しないためにワクチン接種を受けることは、世界中のすべての子どもたちにそなわった権利です。子どもの権利は、国際的なルールとして条約にも定められています。ポリオのない世界を実現するために、今、わたしたちに何ができるでしょうか?世界ポリオデーをきっかけに考えてみませんか。

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