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公益財団法人日本ユニセフ協会

開発の現場を支える新しい技術 RapidPro登場
迅速な情報配信、サービス提供を可能に
ユニセフ・イノベーションラボ

【2014年9月22日 ニューヨーク発】

ユニセフは、オープンソースソフトウェア(OSS)を用いたアプリケーション、RapidPro(ラピッド・プロ)を発表。各国政府がRapidProを利用することで、重要な情報を迅速に配信でき、命や健康に関わるサービスをコミュニティに提供することが可能になります。

「RapidProは、要するに、“良い活動を後押しするアプリストア”のようなものです」と、ナイロビに拠点を置くユニセフ・グローバル・イノベーション・センターの所長で、前ユニセフ・ウガンダ事務所代表のシャラド・サプラは言います。「政府や開発専門家が用いる新しい手法としてRapidProを提供しています。市民と重要なサービスとを結びつけられるようにカスタマイズできるもので、今後、主流となっていく技術革新であり、もっとも厳しい状況の子どもたちの役に立つものです」

ルワンダのソフトウェア開発会社Nyurukaと協力して、ユニセフ・グローバル・イノベーション・ラボが開発したRapidProには、SMSを基礎としたアプリを用いた8年に及ぶ経験が活用されています。RapidProは、すでに複数の国で利用されています。

ウガンダで利用されているモバイル用アプリ『RapidFTR』。緊急事態下において、家族と離れ離れになったり、保護者のいない子どもの情報を集めて登録し、共有することができる。
© UNICEF/UKLA2013-03809/Shah

リベリアでは、ユニセフと保健省が、RapidProを活用したアプリmHero(Mobile Health Worker Ebola Response and Outreach:エボラ対応及び啓発活動のための保健従事者向け、モバイル版)を立ち上げました。mHeroを利用することにより、新たな感染を報告できるほか、ケアと予防のメッセージ配信、研修情報の共有、保健省と保健従事者間でのリアルタイムのやり取りを可能としています。

ジンバブエでは、ParidProを活用したU-Reportというアプリが利用されており、携帯電話のテキストメッセージを用いて、人々と国家エイズ議会とを結びつけています。同国では、若者の間でHIV/エイズへの感染率が高まっている一方、病気に対する情報やカウンセリング、検査サービスの利用が十分に普及していません。ユニセフと保健省が、U-ReportでHIV/エイズに関するメッセージを配信したところ、検査を受ける人が増加。開始した2012年以降、5万人以上の若者が匿名でのカウンセリングサービスを利用しています。国平均の若者の検査率は24%ですが、U-Reportを利用している若者の任意の検査率は40%に上ります。

サプラ所長は「草の根レベルで考え付いたアイディアと解決法を取り入れたアプリケーションを目指しています。アプリ開発の目的を、人道支援活動で直面する特定の問題への解決に絞りました。そのおかげで、開発チームから戻ってきたものは、無駄で複雑なものを省いた、シンプルで拡張性のあるアプリでした」と付け加えました。

今後数カ月内に、RapidProは他の多くの機種でも利用できるようにになり、さらに多くのアプリが、RapidProのプラットフォームを基に利用されるようになります。その中には、RapidFTRも含まれます。RapidFTRは、ニューヨーク大学が「ユニセフのためのデザイン(Design for UNICEF)」として考案し、南スーダンとウガンダのユニセフ・イノベーション・ラボが開発したアンドロイド版のデータ収集アプリケーションです。家族とはぐれてしまった子どもたちの情報を、子どもの画像も含め登録できます。緊急事態下で、支援活動従事者が情報を共有し、行方不明となった子どもたちが家族と再会するために活用されています。

その他のアプリとして、あらゆるレベルの教育システムの意思決定に情報を提供する教育指標を登録できるEduTrac、また、ジンバブエでHIVの検査結果通達に活用されているProjectMwanaがあります。ProjectMwanaの利用によって、検査結果を伝えるまでの日数が、これまでの66日から半分の33日に短縮されたという成果が報告されています。

RapidProは、大学やソフトウェア開発者との協力のもと、ユニセフが開発しました。開発にあたっては、人道支援の現場での経験が生かされています。アプリケーションは、新しい課題が現れると、継続的にアップデートされていきます。

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