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公益財団法人日本ユニセフ協会

11月19日は「世界トイレの日」
25億人が適切なトイレを利用できず
下痢で死亡する5歳未満の子ども、1日に1,000人

【2014年11月19日 ニューヨーク発】

草むらで排泄するため、水桶をもって歩く女性たち。(インド)
© UNICEF/INDA2013-00393/Romana
草むらで排泄するため、水桶をもって歩く女性たち。(インド)

ユニセフは11月19日の「世界トイレの日」にあたり、根強く残る屋外排泄の習慣やトイレ設備の改善に向けた取り組みの進展の遅れが、子どもたちやコミュニティを危険にさらしていると警鐘を鳴らします。

25億人がトイレを利用できず

世界では、約25億人が適切なトイレを利用できず、10億人が野原や草むら、水辺などの屋外で排泄しています。屋外排泄は、特に子どもたちを下痢など、排せつ物に含まれる病原菌から感染する病気への危険にさらします。

清潔な水やトイレが使用できず、基本的な衛生習慣が整っていないことが原因で、2013年には34万人以上の5歳未満の子どもが下痢で命を落としています。つまり、平均して1日に約1,000人が命を失っているのです。

「トイレの欠如は、その国の最貧困層の人たちの生活を明白に映し出します。トイレを使うことができない人たちは圧倒的に貧困層に多いものの、すべての人が屋外排泄による汚染の影響を受けています。皆が、トイレの問題の緊急性を認識する必要があるのです」と、ユニセフの水と衛生部門部長のサンジャイ・ウィジェセケラが語ります。

屋外排泄と幼年期の発育阻害との関係性に対する認識を高めるための取り組みも進められています。人口の約半数を占める5億9,700万人が屋外排泄を行っているインドでは、発育阻害の割合も高くなっています。ユニセフは先週、屋外排泄が子どもたちに及ぼす影響への関心を高めるため、ニューデリーで「発育阻害を阻止しよう(Stop Stunting)」という会議を開催しました。また、ユニセフはインドで「Take Poo to the Loo」キャンペーンを実施。屋外排泄がもたらす危険性の認識を高めるため、取り組みを行っています。

ジェセケラ水と衛生部門部長は、「屋外排泄は、公平性と尊厳の問題でもあり、女性や女の子にとっては安全面での問題でもあります。女性たちは、誰にも見られないよう、辺りが暗くなるのを待って屋外で排泄するため、その時に襲われるなどの危険があります」と語ります。

今年5月、インドのウッタルプラデシュで屋外に用を足しに出かけた10代の女の子ふたりが殺害され、世界に衝撃と失望をもたらしました。屋外排泄がもたらす安全面への問題が浮き彫りとなったのです。

屋外排泄の根絶に向けて

自宅にできたトイレの前で笑顔を見せる少女。(インド)
© UNICEF/INDA2013-00398/Romana
自宅にできたトイレの前で笑顔を見せる少女。(インド)

ユニセフの「包括的な衛生についてのコミュニティ中心のアプローチ(Community Approaches to Total Sanitation)」は、コミュニティを巻き込み、地域レベルで問題に対応する取り組みを行っています。これにより、2008年以降、50カ国以上の約2,600万人から屋外排泄の習慣をなくすことに成功しました。

屋外で排泄を行う10億人のうち、82%の人々はインド、インドネシア、パキスタン、ナイジェリア、エチオピア、スーダン、ニジェール、ネパール、中国、モザンビークの10カ国出身です。また、屋外排泄はアジアやラテンアメリカ、カリブ海諸国では減少しているものの、サハラ以南のアフリカの26カ国で依然として増え続けています。たとえば、ナイジェリアでは1990年に2,300万人だった屋外排泄を行っている人数は、2012年に3,900万人にまで増加しています。

1990年以降、世界で約19億人が改善されたトイレを利用できるようになりました。しかし、人口の増加に対して、取り組みによる進展が追い付いていない状況です。現状のままでは、2015年までにミレニアム開発目標(MDGs)に掲げられたトイレに関する目標を達成することは困難です。

2015年以降の持続可能な開発目標(ポスト2015年開発アジェンダ)に関する政府間オープン・ワーキング・グループは、2030年までの屋外排泄の根絶と公平で適切な衛生習慣とトイレへのアクセスを開発目標に加えることを提言しています。

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