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日本ユニセフ協会
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世界の子どもたち

ソマリア
「屋外排泄ゼロ」を宣言した
村人たちの取り組み

【2017年1月19日  ハルゲイサ(ソマリア)発】

ソマリアでは、遠隔地において屋外排泄が一般的に行われており、公衆衛生のリスクに晒されています。屋外排泄ゼロを達成するため、ユニセフは現地のNGOと協力し、CLTSアプローチ(コミュニティ主導の包括的な衛生アプローチ)導入の支援を行っています。

自分たちで建設したトイレ

サアドさんと2人の子どもたち。

© UNICEF Somalia/2016/Rich

サアドさんと2人の子どもたち。

排泄のたびに遠くまで歩かなければならなかった日々を、サアドさんはよく覚えています。誰にも見られないよう長い間待ってから用を足すこともあり、雨季や妊娠中は特に困難でした。

ソマリランドのガビレイ州で、夫と7人の子どもたちと一緒に暮らすサアドさん。トウモロコシやソルガムなどの野菜を育て、2頭の牛を飼い、比較的安定した生活を送っていました。しかし、村に住む他の87家族と同じように、トイレを使用した経験はなく、トイレのある生活について考えたことさえありませんでした。

2015年12月、 NGOのスタッフが村を訪れ、屋外排泄をやめるよう説得しました。サアドさん夫婦はすぐにトイレの建設に賛成し、2016年10月には、村のすべての家族が同意しました。

ユニセフとNGOが行ったのは、啓蒙活動と技術支援のみ。金銭的な支援はありませんでした。それでも、村人がお金を出し合い、自分たちでトイレを建設しました。

CLTSアプローチは世界中多くの国と地域で導入され、その有効性が証明されています。

「トイレの建設には80米ドルの費用がかかり、建設作業も大変でしたが、まったく気になりませんでした。排泄のために夜中の暗闇を歩くのは、もう嫌でした」とサアドさんは言います。

トイレの有益性への理解を深める

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© UNICEF Somalia/2016/Rich

新しく建設されたトイレの脇に立つサアドさんと子どもたち。

新しくできたトイレは汲み取り式で、明るいオレンジ色の布の囲いがあります。「村の子どもたちは、以前はよく下痢にかかっていましたが、トイレができてからはあまり見られなくなりました」とサアドさんは話します。

「たくさんの家族がすぐにトイレの建設を歓迎しましたが、反対する人たちもいました」とNGOのプログラム調整官のアダン・アブダライ・モハメドさんは言います。「計画が成功したのは、屋外排泄が非衛生的な習慣であり、特に子どもや妊婦にとって深刻な病気を引き起こす原因になることを、村人たちに理解してもらったからです」

「自分たちが飲み水を汲んでいる川が、排泄物で汚れていることに気づき、トイレはただ高価なものではなく必要なものだと分かったのです」

ソマリアでは、人口の37%にあたる人たちが屋外排泄を日常的に行っており、下痢を引き起こす主な原因になっています。

ユニセフはソマリア中の60の村で、2012年にプロジェクトを開始しました。これまでに、サアドさんの住む村を含むソマリランドの12の村、ソマリア中南部地域の25の村と、プントランドの2つの村で「屋外排泄ゼロ」を達成しました。

11月19日の世界トイレの日、近隣住民や政府関係者、ユニセフのスタッフが出席して行われた「屋外排泄ゼロ」の公式宣言を行う式典に、サアドさん家族も参加しました。

同じく屋外排泄ゼロを宣言した村に住むユスール・アブダライさんは、トイレの脇に立って誇らしげに話します。「トイレの有益性は、この取り組みを始めた当初から理解していました。トイレは、プライバシーが守られ、とても便利な場所です。新しく村にやって来る人たちにも、はじめに穴を掘ってトイレを作るよう言います。それが村の住民になる条件です」

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