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日本ユニセフ協会
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世界の子どもたち

学校における暴力撲滅キャンペーン
「沈黙」と闘うスーパーヒーロー漫画コンテスト
世界130カ国以上の子どもや若者が応募 #ENDviolence キャンペーン

【2019年1月10日  ジャカルタ/ニューヨーク発】

インドネシア・南スラウェシ州で暮らすリズカ・ライサ・ファティマ・ラムリさん(17歳・学生)は、ユニセフとComics Uniting Nationsが主催した、学校における暴力から子どもたちや若者を守るスーパーヒーローを描く漫画コンテストで、見事優勝に選ばれました。

スケッチブックをもったチプタ

リズカさんが描いたスーパーヒーローは「チプタ(Cipta)」という名前の女の子。

スーパーヒーロー漫画コンテストで、優勝に選ばれた「Cipta(チプタ)」。

© UNICEF/UN0258317/

スーパーヒーロー漫画コンテストで、優勝に選ばれた「Cipta(チプタ)」。

チプタが持つ能力は、「スケッチブックに絵を描くと、その絵が現実にあらわれ、暴力やいじめを止めることができる」というものです。例えば、チプタがスケッチブックに描いた鳥は、“スケッチ・バード”となってスケッチブックから飛び出し、地域の子どもたちのところに飛んでいきます。スケッチ・バードを受け取った子どもたちは、自身が抱えている問題やチプタに伝えたいことを、いつでもその鳥に託すことができます。

さらにチプタは、恐怖から声を上げられない子どもたちにスケッチブックを手渡し、一緒に絵を描いたり文字を書いたりすることで、自分の気持ちや意見を伝える手助けもします。

リズカ・ライサ・ファティマ・ラムリさん(17歳・学生)

© UNICEF/UN0272128/Akbar Junior

Chipta(チプタ)を描いた、リズカさん(17歳・学生)

「インドネシアや世界中の子どもたちが日常的に直面する暴力やいじめの問題を知ってもらえるよう、『チプタ』を描きました」とリズカさんは言います。「チプタを描いていると、彼女がまるで本当にいるように感じます。他の子どもたちにも、言葉で直接言うことが難しくても、絵を通じて自分の気持ちを伝えることができるんだと、感じてほしいです」

自身はシャイな人間だと言うリズカさんは、ある人に刺激を受けて絵を描き続けていることから、自分の絵もまた、他の誰かの刺激となり、力になれたら嬉しい、と語ります。

学校における暴力撲滅へ

ユニセフは、2013年から「子どもに対する暴力撲滅(#ENDviolence)」キャンペーンを展開し、表面化しにくい子どもに対する暴力の問題に取り組んできました。2015年に採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」にも、ユニセフなどの働きかけを受けて、「子どもに対するあらゆる形態の暴力をなくす」ことが掲げられています。

2018年9月、ユニセフは学校における暴力に関する報告書を発表し、世界の13歳から15歳の生徒の半数にあたる約1億5,000万人が、学校において子ども同士の暴力を経験していることを明らかにしました。ケンカやいじめ、体罰など、学校でおきている暴力は、子どもたちに計り知れない傷を与え、その影響は長期に及びます。本報告書の発表に伴い、ユニセフは「学校における暴力撲滅(#ENDviolence in and around schools)」キャンペーンを開始し、子どもや若者を対象にした漫画コンテストを開催しました。

暴力を看過する「沈黙」、その敵を打ち破るヒーロー

募集テーマは、学校における暴力をなくすための、「沈黙」を打ち破るスーパーヒーローです。

なぜ「沈黙」なのでしょうか? 募集要項には下記のようなメッセージがありました。

人間の文明が始まった時から、「沈黙」は、暴力という不正義に対し立ち上がろうとする人々の行動を妨げてきました。

不正義がそのままにされたことにより、子どもたちや青少年の生活は脅かされ、学校の中や周辺でも暴力が蔓延ることを許してしまいました。暴力は、教室や暗い廊下、あらゆる場所にまで蔓延しています。

一方で、何世紀にもわたって、世界のいたるところで、若きスーパーヒーローたちが、「沈黙」という闇の力を打ち破り、学校における暴力に立ち向かうため、声を上げ、行動を起こしてきました。

けれども、「沈黙」という敵を倒し、子どもたちや若者が安全に学校という場所で安全に過ごすためには、もっと多くのスーパーヒーローが必要です。

今、私たちにはスーパーヒーローが必要なのです。

 

コンテストへの参加募集に際して、一本の動画も公開されました。この動画は、超自然的なキャラクター「The Silence(沈黙)」が子どもたちが暴力に対して声を上げ行動することを妨げているという内容です。

 

130カ国以上の子どもや若者が応募

このコンテストには、世界130カ国以上から3,600件近くの応募がありました。そして、優勝者はオンライン投票で決められ、2万3,000件の票が寄せられました。

優勝したリズカさんはこれから専門チームと共に、チプタを主人公にした長編漫画の制作にはいります。その作品は、今年7月に国連で開かれる「持続可能な開発目標のためのハイレベル政治フォーラム」において、集まった世界のリーダーたちにお披露目される予定です。

「コンテストに驚くほど多くの応募があったことは、学校における暴力やいじめに対して、沈黙を破りたいという子どもや若者たちの力強いメッセージです」とユニセフの広報部長パロマ・エスクデロはかたります。「優勝したリズカが生み出したスーパーヒーローは、何千もの子どもたちが声を上げ、学校における暴力をなくそうとする取り組みの後押しとなることでしょう」

 

コンテストについて

グローバル・スーパーヒーロー・コミック(漫画)コンテストは、創造力に富み、言語の壁を乗り越え、あらゆる人にアクセスできる漫画を通して、子どもや若者たちにユニセフの世界的なキャンペーン #ENDviolence に参加してもらい、学校における暴力をなくすための行動につなげるために企画されました。

2018年11月4日までオンラインで世界中から作品を募集し、優勝候補作品のなかから、オンライン投票(11月23日~11月30日実施)で優勝作品を決定しました。

このコンテストには、世界130カ国以上から3,600件近くの応募がありました。そして、優勝者はオンライン投票で決められ、2万3,000件の票が寄せられました。

詳細は、ユニセフ本部ページ(英語)へ

Comics Uniting Nationsについて

*Comics Uniting Nationsは、ユニセフなど複数の機関のパートナーシップによる取り組みで、言語を越えて世界中の人が共有できる漫画というツールを通じて、世界の人々にSDGsを伝える活動を行っています。漫画がもつアクセシビリティーを最大限に活かす取り組みで、SDGsの概念を子どもや若者だけでなく、大人にもわかりやすく伝えることを目的にしています。

詳細は、Comics Uniting Nations特設ページ(英語)へ

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