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日本ユニセフ協会

ウクライナ緊急募金

ウクライナ危機
ユニセフが設置した「安全な学校」 6校に1校が被害

2022年5月4日キーウ(キエフ)/ニューヨーク

マリウポリで唯一の「安全な学校(Safe School)」である第36学校を含め、ウクライナ東部にあるユニセフ(国連児童基金)が支援する学校のうち少なくとも6校に1校が、紛争開始以来、損傷、または破壊されており、紛争が子どもの生活と将来に劇的な影響を与えていることが明らかになりました。

次々と破壊される学校

砲撃によって破壊されたハルキウの学校で、ブランコにのる男の子たち。今年2月に紛争が激化して以来、ウクライナ全体で何百もの学校が被害を受けている。(ウクライナ、2022年3月18日撮影)

© UNICEF/UN0633176/Pashkina
砲撃によって破壊されたハルキウの学校で、ブランコにのる男の子たち。今年2月に紛争が激化して以来、ウクライナ全体で何百もの学校が被害を受けている。(ウクライナ、2022年3月18日撮影)

この1週間だけでも、2つの学校が攻撃を受けました。ユニセフは、ウクライナ教育科学省と共同で、「安全な学校(Safe School)」プログラムを立ち上げ、89の学校を支援してきましたが、そのうち15校が損傷または破壊されています。同プログラムは主に、2014年から武力紛争が続くドンバス地方において、幼稚園や学校が攻撃されていることへの対処として、立案されたものです。

2月の紛争激化以来、人口密集地において重砲などが使用され、空爆も行われた結果、全国で何百という学校が被害を受けていると報告されています。一方で、情報センター、避難所、物資補給拠点などとして、軍事目的で使用されている学校も存在しています。ユニセフ・ウクライナ事務所代表のムラート・シャヒンは、「ウクライナにおける新学期の開始は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による混乱を経て、子どもたちにとって希望と約束が込められたものでした。ところがその後、何百人もの子どもが殺され、紛争によって教育施設が破壊され、教室が閉鎖される中、一年の終わりが近づいています」と述べました。

学校の重要性

紛争が激化してから市民の避難所として使われていたチェルニーヒウの学校。3月3日に校舎が空爆を受け、少なくとも13人が亡くなったという。(ウクライナ、2022年4月14日撮影)

© UNICEF/UN0632561/Gilbertson VII Photo
紛争が激化してから市民の避難所として使われていたチェルニーヒウの学校。3月3日に校舎が空爆を受け、少なくとも13人が亡くなったという。(ウクライナ、2022年4月14日撮影)

危機の渦中にいる子どもにとって、学校は極めて重要です。安全な空間を提供し、最も困難な時期においても日常を感じられるようにし、学習機会が損なわれても、いつか取り戻せるよう支えることができます。また、教育は命綱にもなる可能性があり、子どもが、命を奪う爆発物のリスクに関する情報を得ることができ、さらに、子どもやその両親を、必要不可欠な保健・心理社会サービスにつなげることもできます。

「教育へのアクセスを確保することは、何百万人もの子どもにとって、希望と絶望ほどの差を生みます。これは彼らの未来、そしてウクライナ全体の未来にとって、極めて重要です」(シャヒン)

ユニセフによる教育支援

ハルキウの地下鉄で運動する女の子。ユニセフはウクライナの地下鉄の駅に子どもたちにとって安全な空間をつくり、学習を支援している。(ウクライナ、2022年3月撮影)

© UNICEF/UN0615952/Yakimenko
ハルキウの地下鉄で運動する女の子。ユニセフはウクライナの地下鉄の駅に子どもたちにとって安全な空間をつくり、学習を支援している。(ウクライナ、2022年3月撮影)

ユニセフは、ひとりでも多くの子どもが安全で適切な学習機会を得られるよう、活動しています。たとえば、

  • 同国教育科学省が、コロナ禍において、ユニセフの支援を受けて開発した、「全ウクライナ・オンライン教育プラットフォーム」(5~11年生が対象)は、同国内で避難を余儀なくされた、8万人以上の生徒たちに利用されています。
  • ハルキウ市内にある数十の地下鉄駅では、安全を求めて、子どもも避難を余儀なくされています。そこでは、ユニセフの支援を受けたボランティアが、教師、心理士、スポーツ指導者などが、定期的に子どもたちと遊ぶなど、見守れるスペースを設置しています。
  • ユニセフと同国教育科学省が支援する、新しいオンライン幼稚園のプラットフォーム「ヌモ」上のエピソードは、数十万回の視聴回数を何度も記録しています。
  • ユニセフがウクライナ国家非常事態庁と共同制作し、現在も継続中である、爆発物リスク教育(EORE)に関するデジタル・キャンペーンを通じて、800万人をオンラインで支援しました。
  • ユニセフは、避難所や地下鉄の駅など、子どもが避難している場所に対し、教育関連の物資を提供しており、約25万人の子どもに届いています。
  • ユニセフは、各国政府や自治体が、デジタル学習を含む代替の教育方法を活用しつつ、ウクライナから逃れてきた子どもを、その国の学校制度に参加させるための支援を行っています。

戦闘停止を最優先に

オンライン授業に参加する10歳のマリアンナちゃん。オンライン学習は、ウクライナの子どもたちの学習継続を支えている。(ウクライナ、2022年4月9日撮影)

© UNICEF/UN0633062/Latayko
オンライン授業に参加する10歳のマリアンナちゃん。オンライン学習は、ウクライナの子どもたちの学習継続を支えている。(ウクライナ、2022年4月9日撮影)

「悲惨な紛争にもかかわらず、子どもたちが学び続けられるように、素晴らしい取り組みがなされてきました。しかし教室を再建し、学校を再び安全で楽しい学びの場にするために、最終的には、戦闘を止めなければなりません」(シャヒン)

子どもと学校は、国際人道法に沿って保護されなければなりません。紛争当事者は、人口密集地での爆発性兵器の使用や、教育施設の軍事利用を防ぐため、措置を取らなければなりません。

 

※ 注記
2019年、ウクライナは「安全な学校宣言」に署名・賛同した100番目の国となりました。この宣言は、子ども、教師、学校をよりよく保護し、戦時中の教育の継続を支援し、また、学校の軍事利用を防ぐため、措置を取ることを約束するものです。

 

■ユニセフ「ウクライナ緊急募金」ご協力のお願い

8年にわたって続く東部地域の紛争や、昨今の武力行為の激化の影響を受けるウクライナの子どもたちのために、ユニセフは緊急支援を行っています。その活動を支えるため、日本ユニセフ協会は、ユニセフ「ウクライナ緊急募金」を受け付けております。

水や電気を絶たれたり教育の機会を奪われたり、避難を余儀なくされるなど、紛争による直接的・間接的な影響を受ける子どもたちをはじめ、最も支援を必要としている子どもたちとその家族に支援を届けるため、ご協力をお願い申し上げます。

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