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ユニセフ協会からのお知らせ

イオンとユニセフ:ラオスの子どもに学校と教育の機会を広げる支援

【2010年3月29日 ラオス・シエンクアン県、バンシャイ】

昨年、小学校の2学年目を卒業した10歳のマイさんと弟のエウ君。3学年目に進級するにあたって2人には難しい問題がありました。

3学年目の授業を受けられる一番近い学校は、家から8km先。通学には丘陵の泥だらけの道を辿っていくしかありません。通学には自転車で片道1時間、徒歩だともっとかかります。2人は、遠い学校に通うべきか迷っていました。

© UNICEF Lao PDR
新しいバンシャイ小学校の開校式で踊りを披露する子どもたち。2007年よりこの学校を含めて120校がイオンとユニセフの協力により建てられました。

ある日、−机やイス、トイレ、綺麗な水の整った学校が新しく出来た−と知った時、家族の答えは一つでした。2人は学校を続けることになったのです。そして、家から毎日遠い道のりを歩いて通学する代わりに、2人は週の間だけ学校の近くに建てられた小さな藁葺き屋根の家に住み、そこから通うことになりました。

「こんな新しくて綺麗な学校で勉強を続けられるなんて、思っていなかったからとても嬉しいです。」と、モン族出身のマイさん。「夢みたい!」

質の高い学校
© UNICEF Lao PDR
校舎や校庭はマイちゃんとエウ君が一日を過ごす大切な場所。2人は、新しくできた水のみ場やトイレ、教室に満足しています。各教室には、グループ学習にふさわしい新しい机やイスが並べられています。

先月、3月29日月曜日、マイさんの通う新しいバンシャイ小学校では、新しい学校の開校をお祝いするため、学校開校式(新校舎落成式)が行われました。小学校は、イオン1%クラブと(財)日本ユニセフ協会によりラオスに新しく建てられた学校のひとつ。開校式では、同じように新しく建設された新校舎の落成式が合わせて行われました。

新しい校舎の建設には、ユニセフ・ラオス事務所が協力し、校舎は全てラオスの教育省の「質の高い学校」の基準を満たすように設計されました。「質の高い学校」では、教員がグループ学習に十分な学習スペース、安全で衛生的な水、男の子と女の子で別々のトイレ、机やイス、豊富な学習教材を使って、「子ども中心の学習」のためのカリキュラムを作成することができます。

イオン1%クラブの会長 原田昭彦氏は、開校式の挨拶で「質の高い学校は、教育の機会を提供し、ラオスの将来を担う子どもたちの将来を広げることに繋がります。平和な社会の実現の根本は教育であり、未来の世界を背負っていく子どもたちに、豊かな教育を受けてほしい。」と話しました。「子どもの教育を支援することは、私達の夢です。」さらに、「安全な水を供給することで、子どもたちが健康的で、学校での勉強に打ち込めるよう、協力していきます。」と、学校開校式を機会に、今後も「水」の分野で協力を継続して頂けることを約束してくださいました。

© UNICEF Lao PDR
ヤン・エウ君(9歳)。粘土から作った鴨の模型を 見せてくれました。

イオンと(財)日本ユニセフ協会は、これまでにラオスの学校建設のため計7,293,099米ドルを共同で出資しました。イオンからは、過去にも、アジア各地で同様の学校建設にご協力いただいておりますが、すべて、イオンの店頭募金キャンペーンを通してお客様から寄せられたご寄付と同額をイオンがマッチング、さらに、その同額を、(財)日本ユニセフ協会がマッチングすることによって、本学校建設のプロジェクトを支える仕組みです。2007〜8年には、100校の新しい校舎がラオス3県に建てられ、2009〜10年には、シエンクアン県とサバンナケット県に20の新しい校舎が建てられました。

(財)日本ユニセフ協会を代表して、ラオスの開校式に出席した専務理事の早水研は、「こうして、「質の高い学校」を提供するというラオス政府とユニセフの目標に貢献することができ、大変喜ばしく思います。」と話しました。「建てられた学校は、質の高い子ども中心の教育と子どもたちにとって安全で過ごしやすい学習環境を提供するでしょう。」

子どもの学習意欲を育てるために
© UNICEF Lao PDR
ヤン・マイさん(10歳)。お米を使って天使の絵を描きました。質の高い学校の教室や学習スペースは図画工作や理科など創作的な科目にも使いやすいように設計されています。

マイさんとエウ君の通う学校のチャンシー先生は、生徒達は新しい学校をとても気に入っていると説明してくれました。生徒たちは、学習環境が快適になり、学習教材が増えグループ学習が導入され授業が面白くなったと感じています。以前の学校には、水やトイレ、十分な数の机さえもありませんでした。チャンシー先生は遠くに住む子どもたちも、朝早くから学校に登校するようになったと言います。

「朝、学校に来ると、子どもたちが校庭で遊んだり、笑ったり、花に水遣りしている様子をよく見かけます。始業ベルが鳴るまで教室で本を読んでいる生徒もいます。子どもたちが以前よりも学習に興味を持っていることは一目両全です!子どもたちは、授業で習ったことをグループで座って話すようになりました。古い校舎で以前教えていた時とは全然違います。昔は、子どもたちはもっと朝遅くに来て早く帰っていました。」

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小屋の前に立つマイさんとエウ君。2人は月曜日から金曜日、ここから新しいバンシャイ小学校に通っています。

実際に、新しい学校は子どもたちを引き寄せています。学校の前には、遠隔地に住む家族の子どもが学校に通えるようにと、マイさんやエウ君が寝泊りしている、父母が自ら建設し、地域住民によって維持管理されている小さな藁葺き屋根が付いた小屋が建てられました。

「親から離れて2人で暮らすのは、始めは怖かったです。夜は、暗くて、静かで、寒いから。」とマイさんは2人暮らしを始めた頃を思い出します。「時には、食料がお米、唐辛子、塩と水しかなくて、お腹がすくこともありました。庭には小さな畑に野菜を植えていて、両親が肉を持ってきてくれることもあります。大変なこともあるけれど、楽しい学校で勉強できると思うと、ここにいようと思います。」

2人は週末に、自転車に乗っていくつもの丘や小川を越えて村に住む両親のもとに帰り、日曜の午後に学校の近くに戻る生活を送っています。

「小屋では親と家と離れているのが寂しくけど、家に帰ると早く学校に戻りたいと思います。」教室の前で言うエウ君。「もし将来こんな学校で働けるなら、大きくなったら先生になりたい。」と将来の夢を話してくれました。

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