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ユニセフ協会からのお知らせ

「コレラツールキット」を開発−コレラを過去の病気とするために

【2013年6月20日】

ユニセフは、世界中で行われているコレラ削減への取り組みの一環として「コレラツールキット」(英語・全280ページ)を発表しました。コレラは、近年でも猛威を振るっており、このツールキットは、ユニセフのスタッフとパートナー団体が、コレラの予防や事前事後の対策に活用できる内容です。

ミッキー・チョプラ ユニセフ保健部門部長は「このツールキットは非常に画期的です。コレラに対してあらゆる側面から効果的にアプローチできるのです」と述べています。

毎年、年間300万から500万のコレラの症例件数のうち、10万から12万人の人がコレラで命を失っています。コレラで亡くなる人の約半数は5歳にも満たない子どもたちです。きちんと報告される症例数は全体のわずか5〜10%程度のため、コレラの早期発見と早期治療を困難にしています。

ニューヨークのユニセフ本部で発表された「コレラツールキット」は、既存のガイドラインやアフリカのあらゆる部門におけるユニセフと世界保健機関(WHO)などのパートナー団体の協議内容の徹底的な見直しのもとに作成された完成形といえます。

「このツールキットの意義は、今までの現場での最善のそして最新の知見が集約された、という点です。実績に基づいた検証を行い、効果的な結果に基づいた実践を重ねています」と、ユニセフ 水と衛生部門のサンジャイ・ウィジェセケラ部長は強調します。

コレラは19世紀にインドのガンジス・デルタ流域から大流行しました。20世紀にかけて、6回の大流行が世界を震撼させ、何百万人もの人々が犠牲になったのです。7度目の大流行は1961年に南アジアで始まり、いまだに人々の命を奪い続けています。

ユニセフは、コレラが再び猛威を振るう日がくるのではないか、と強く警戒しています。

「気候変動や富の分配が不平等であること、貧困がより深刻化していることなどの要因が組み合わさり、コレラが再び猛威を振るおうとしています」と、ミッキー・チョプラ ユニセフ保健部門部長は警鐘を鳴らしています。

コレラは、汚染された水や食料によって感染します。貧しく、基本的な保健サービスや安全な飲み水、公衆衛生などの社会サービスが利用できない人ほど、コレラに感染しやすいのです。数時間で命を奪う病気ですが、ほとんどのケースは早期発見さえできれば、経口補水塩を使い、すぐにまた費用をかけずに治療できます。

ユニセフ 水と衛生部門のサンジャイ・ウィジェセケラ部長は「コレラにかかる人たちは、最も厳しい生活をしいられ、最も支援が必要な人たちなのです」と指摘します。

西部・中央アフリカは最もコレラに感染する可能性が高い地域のひとつです。2012年の1年だけでも、80,000件の症例が寄せられており、約1500人が命を落としました。

ユニセフは、このような地域では独自の取り組み方であらゆる部門と連携し、総合的なアプローチを試みています。

ユニセフ プログラム部門 ニコラス・アルプイ部長は「今回のツールキットはコレラの予防と治療において、これまでのやりかたを大きく変えます。このツールキットを使って、地域の人たちの保健に関する知識を高め、行動を引き出します。地域の人たちが学び行動することではじめて、取り組みの効果が持続するのです」と述べました。

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2013年5月10日、ニジェール政府保健省は、コレラの流行を宣言しました。6月5日現在、310の症例が報告され、9名が亡くなっています。感染は、ニジェール川の国境付近の村及びマリからの避難民キャンプで確認されており、汚染された食料が感染源と見られています。

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