長年続いた紛争でインフラが壊滅的状態にあるコンゴ民主共和国。この国で私は子どもの命を守る保健システムの強化に取り組んでいます。支援活動のため地方に行く機会が多くありますが、広大な国土には舗装道路がほとんどなく、首都から地方都市へ向かった後、さらに数日かけて村にたどり着きます。悪路にタイヤをとられて立ち往生することも珍しくなく、現地の人々の苦労を実感します。
世界最貧国のひとつであるこの国では、子どもの2人に1人が栄養不良に苦しみ、毎年十万人以上の乳幼児が肺炎や下痢、マラリアなどの感染症で命を落としています。こうした状況で幼い命を守るには、予防接種の実施が不可欠です。ユニセフは道路や電気がない地域でも予防接種を行えるよう、ワクチンを確保し、輸送用のバイクや太陽光を利用した冷蔵庫の調達、保健員への研修などを行なっています。
2017年、カサイ中央州で予防接種週間を実施した際は、保健センターなど通常の接種会場に加え、村の集会所や広場、学校、市場など約4,774ヵ所に接種所を設け、1ヵ所につき50〜200人に接種を行いました。
私も毎日異なる接種所を訪問し、昼間は運営を支援、夜は現地のスタッフとデータを集計し、改善策を話し合いました。30年以上も国勢調査が行われていないこの国では、現地で得られるデータが、今後の子どもたちの保健や栄養支援にも大きく役立ちます。
大学時代に一人でアフリカ諸国を旅した時に現地の人々の優しさに触れ、その恩返しをしたい一心で国際協力の道に進みました。コンゴ民主共和国は戦後の荒廃や貧困など今も多くの課題を抱える国ですが、子どもたちに少しでも明るい未来を手渡そうと復興に力を尽くす大勢の人々とともに、私も全力で活動を続けていきます。