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2009 SUMMER CAMPAIGN [女の子に学ぶチャンスを!]

アフガニスタン:カンダハール〜ユニセフが学校にやってきた! アルゼンチン:〜もうストリートには戻らない 〜私が出会った子どもたち〜 後藤健二さんからのメッセージ

もうストリートには戻らない ロミーナ:アルゼンチン・ブエノスアイレス

私はロミーナ。もうすぐ15歳になります。家出をしてから学校には行かなくなったけど、今私は、サンマルティーンセンター(*)に毎日通っています。センターには学校の先生たちが来て小学校高学年程度までの勉強を教えてくれます。 私は、あと1年ちょっとで小学校卒業の資格試験を受けられます。この子が産まれて今日で4ヶ月。もっとたくさん勉強して、もっと思いっきり遊びたい、と思うこともあるけれど、この子が産まれて、初めて自分が誰かのために必要なんだって、感じるようになったんです。マティアスは私たちのためにがんばってくれています。今夜は廃品回収のお仕事です。出されるごみの中からお金になるものを集めます。今日の成果はいいかも!

*1994年3月に設立された、ストリートチルドレンのためのデイケアセンター

サッカーが有名な南米アルゼンチン。日本からは地球のほぼ裏側に位置しています。南北に広がる自然豊かな国土をもつ大きな国です。首都はブエノスアイレス。ヨーロッパからの移住者も多く、経済的にも文化的にも栄えました。2000年ごろまでは、世界的に見ても豊かな国として知られていました。しかし、政府が農業以外の産業を育てずに、輸入にばかり頼っていたために、その支払いがかさんで国のお金がなくなり、国内は深刻な経済危機に直面しました。仕事を失って収入のなくなった人と、一部のお金持ちとの間で貧富の格差は一気に広がりました。貧富の格差の急速な広がりは、もともと貧しい家庭の子どもたちを苦しい環境におとしいれました。仕事が見つからず、お酒に酔った親が子どもに暴力をふるったり、路上や駅で物乞いをさせたり、自分の子どもを捨ててしまったり、子どもたちが安心して暮らせる場所がなくなってしまったのです。そんな、親に守ってもらえない子どもたちが、路上で生活するようになって過ちを犯してしまうのです。

路上で暮らす子どもたち=ストリートチルドレンには、二つのケースあります。家も家族もなくなってしまった場合と、ロミーナのように、家はあるけれど帰ることができない場合です。すべてのストリートチルドレンに共通しているのは、家庭が貧しく生活が苦しいこと。家庭内暴力や親の再婚相手による虐待も少なくありません。路上生活をするようになった子どもたちの多くは、麻薬やシンナーに手を出し、盗みをはたらくようになります。取材中、カメラを向けると逃げ出したり、うつろな表情で力のない視線をむけてくる子どもたちにたくさん出会いました。親子で路上で暮らし、物乞いをする姿もけして珍しくないのです。

ロミーナのある1日
財団法人日本ユニセフ協会