安全な水を世界の子どもたちに


現地リポート

度重なる干ばつ、子どもたちの水はどこに・・・

伝統的な浅井戸では水質汚染が問題になっている

エリトリアは2003年から2006年にかけて深刻な干ばつの被害を受け、 国民の約3分の2にあたる230万人が水と食料不足などの影響を受けました。 現在もエリトリア全土が水不足に苦しんでおり、特に紅海に面する乾燥地帯が 最も影響を受けています。

エリトリアでは国民の60%が安全な水へアクセスできるとされていますが、井戸の老朽化と 水の汚染などにより実際の数値はもっと低いと考えられています。 一方、国の80%を占める農村地域において適切な衛生施設(トイレ)にアクセスできる人口は わずか2%とされています。今年はエリトリアを含む「アフリカの角」地域において 干ばつが予想されているため、更なる水不足と子どもの栄養失調が心配されています。

最高気温摂氏50度、水を手にいれる女の子たちの苦労

安全な水の供給と適切な衛生施設へのアクセスはあらゆる意味で子どもたちの未来に影響を与えます。 水汲みは家庭内では子どもたち(主に女の子)の仕事となっているため、村に安全な水が供給されていない場合、子どもたちは毎日数時間を水汲みに費やすことになります。 親の教育に対する理解度が低いため、水汲みなどの家事をするため学校に通えない女の子が多くいるのが現状です。

干ばつの被害を一番深刻に受け、最も水が不足している紅海南部地域で出会った ある12歳の女の子は、炎天下を毎日往復2時間、村に一番近い井戸まで歩いて 水汲みをしなければならず、時には一日に何往復する場合もあるとのことでした。 緊急時に必要とされる最低限の水の量は一人一日15リットルとされています。 しかし、エリトリアでは乾期には一人一日平均約9リットルから12リットルしか手に入りません。 この女の子のように一日数時間歩いても十分な水が手に入らない場合がほとんどです。 気温が40度を超えるなか20リットルのタンクを運んで歩くのはとてもきつく、 そのうえ食料不足のため満足いく栄養が摂取できないため、 学校に行っても疲れて勉強に集中できないことが多いとのことでした。

国内避難民と水問題

ロバを連れて水くみ

一方、1998年から2000年まで続いたエチオピアとの国境紛争のせいで国内避難民(IDP)となった人々も水の問題を抱えています。 エチオピアとの国境の近くに位置するデブブ州のIDP再定住エリアで出会ったある40歳の母親は、戦争で夫を失ったため一人で4人の子どもたちを農業から得るわずかな収入を糧に育てていました。

彼女にとっての一番の苦労は、再定住先に水施設が無いため毎日往復4時間、ロバと共に山を越えて水を汲みに行かなければならないことでした。 子育てと水汲み、そして農業に追われ疲れきっているうえ、時には子どもたちが病気になり困り果てることがしばしばあるとのことでした。

エリトリアからの報告:2≫