モンゴルと言えば青い空にどこまでも広がる大草原を思い浮かべることでしょう。 市場経済が導入されて以来、地方格差が広がりウランバールへの一極集中化が猛烈な勢いで 進行中です。 90年代初頭の人口はわずか50万ほどにしかすぎなかった住民は、 現在では100万を越し、インフラが整備されたアパート地区に経済的な理由などで 居住できない移民は、ウランバートル市郊外に位置するゲル地区と呼ばれる 「都市スラム」への居住を余儀なくされている状況が続いています。 市当局は急激な都市化に対応すべきキャパシティを要していなく、 ウランバートル市郊外に広がるこのゲル地区には水道、下水、暖房、道路などといった 基礎的インフラが整備されておらず、住民は劣悪な居住環境のもとに日々の生活を 強いられています。 ユニセフ水環境衛生部門は地方での活動のほか、このような「ゲル地区」に居住する、住民と 子どもを対象に清潔な飲料水と適切なトイレの供給、そして衛生教育の啓蒙活動をソフト・ハード両面で推進しています。ちなみに地方では水の供給率が17%、トイレの普及率が5%ほどで 都市部のそれと比べものにならない状況なんです。(都市部での水の供給率は62%、トイレの普及率は43%です。) 水道が整備されていないため、住民はキオスクから生活用水ならびに飲料水を1リットルあたり およそ5トグリグ程度(約5銭)で買い求めています。ゲル地区は丘陵部など急斜面に 位置している場合が多く、家屋からキオスクまでの距離が、平均で350メートルほど離れた場所に子どもたちがコンテナやバケツを持ってやってきます。 舗装されていない道路を徒歩で水を汲みに行くのは大層な労力と時間を要します。 特に冬場は道が凍結しますので危険を伴います。国家統計局によると47%の子どもたちが水汲みの「活動」に週10時間以上従事しており、21%の女の子が水汲みなどの家庭内労働に25時間も費やしているそうです。
子どもたちに適切な飲料水を提供することは、感染症の軽減といった健康面はもちろんのこと、
子どもたちに勉強をする時間や課外活動に費やす時間を提供することにも繋がります。 |
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