安全な水を世界の子どもたちに
現地リポート

トイレの普及、「遊牧の伝統」という問題

トイレは今世紀最大の問題のひとつです。清潔な飲料水の不備に加え、適切なトイレの不備からたくさんの子どもたちが 下痢などの感染症に苦しみ、時には死にまでいたっています。
遊牧の伝統に根ざした習慣が、モンゴルでトイレの普及や衛生習慣の普及が進まない理由の ひとつでもあります。日本の4倍の国土に250万しか存在しない国ですので、 トイレの必要性をなかなか認知してくれない。田舎ではそれでもよかったかもしれませんが、 都市に移ってきた住民も田舎での習慣をそのまま実施していることが目立ちます。 また、行政もトイレの重要性を理解していない、さらにタブー視または軽視する傾向が あることが否定できません。

トイレのない学校で勉強する子どもたちは・・・

ウランバートルにある学校・幼稚園は上下水が設置されているものの、故障しているものも多く、 臭気を放ち、不衛生で、子どもに対して配慮のない建設手段が用いられている場合が目立ちます。
このような状況を打開すべく、2007年度、ユニセフでは主にウランバートル市に位置する 12の学校・幼稚園(計1万人ほどの生徒・園児数です)のトイレに洗面台の改修工事を行いました。

先月、東部のドルノド県にある11番学校を視察に行きました。 子どもたちの衛生クラブ活動にも参加させて頂いたのですが、トイレの使用、水の扱い方、 伝染病の経由などの衛生的な知識は素晴らしく脱帽させられる思いでした。 しかし、校内には信じられない話しですがトイレが存在しません。 校庭に掘っ立て小屋のような不衛生なトイレ(というようなものではありませんが)がポツンと寂しそうに設置されているだけで、 800人の児童がそうしたトイレを使用するわけなのです・・・
UNICEFでは11番学校のトイレを建設する方向で現在調整中です。

子どもはチェンジング・エージェント!その笑顔に励まされて・・・・。

子どもの権利を保護し、教育を通しての成長を見守り、子どもによる参加を促しながら、地域一体の健康状況を改善していくという活動に従事できるのが最大の幸せです。
子どもたちはユニセフでは「チェンジ・エージェント(伝達師)」と位置づけられており、子どもは 純粋かつ積極的に物ごとを学びます。

ユニセフは児童がほかの児童を衛生面で 指導するという活動を支援しています。衛生教材を配布し、子どもたちの代表に研修を行い、その子たちがクラスメートなどに知識を伝達、そしてその子どもたちか家族に
コミュニティーへと更なる知識を広めていくという考えに基づいています。
そうした子たちが将来の担い手としてモンゴルの衛生観念を向上させていくことでしょう。

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