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財団法人日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

将来の可能性へ 職業訓練制度
<タイ>

タイの首都バンコクにある一流ホテル、ペニンスラホテルで客室係として働くヌーチャナーは、今21歳。バンコクに来て3年目を迎えました。慣れない都会での生活はとても不安でしたが、今では友達も大勢できました。何よりもうれしいのは、ヌーチャナーが少しずつためたお金で、3人の妹たちが学校に行けるようになったことです。

タイ北西部、ミャンマーとの国境近くの山間に40−50家族が肩を寄せあって暮らすサグレッド村。ヌーチャナーの家族は、この村に小さな家を建てて暮らしています。もともと山で農業を営んでいた両親は、町により良い仕事を求めて、6年前に町に近いこのサグレッド村にやってきました。しかし、町では仕事が見つからず、家の周りに植えたほんの少しの野菜と、一羽の鶏が産む卵でなんとか日々暮らしていたのです。

ヌーチャナーには、お兄さん、お姉さん、それから3人の妹がいます。お兄さんが町のホテルで働いて家を助けていましたが、それだけではとても十分に食べていけるだけの収入にはなりません。

そんなある日、ヌーチャナーは村の学校の先生からとても良い話を聞きました。バンコクの一流ホテルがユニセフと協力して、ヌーチャナーのような少女を対象に職業訓練制度を設けているというのです。一生懸命勉強してその訓練を終えれば、バンコクのホテルやレストランに就職することができます。

「お金を稼いで、お父さんやお母さんを楽にしてあげられるかもしれない」。ヌーチャナーは早速応募してみました。面接試験の結果見事に合格したヌーチャナーは、それから半年間バンコクでいろいろなホテル業務の研修を受けました。そして、1年半前からは正式なホテルの職員として働いているのです。

この職業訓練制度は、特に貧しい北部の少女たちに就職の機会を提供するために、95年からユニセフとバンコクのホテル業界が協力して行っているプログラムです。既に200人近い卒業生が、仕事に必要な技術を身につけて巣立っていきました。

ヌーチャナーは、お金をためながらたくさん勉強をして、将来は大学に行きたいという夢を持っています。「いつか故郷に帰って、学校の先生になりたいから」。はにかんだ笑顔がこぼれました。

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