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ユニセフ子どもネットウェブマガジン
No.38
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世界のニュース(2)

ダンスや音楽をつうじて見つけた、生きる希望
ウガンダの元子どもの兵士 サラさん

日本でも子どもをねらった事件がたくさんあります。長く紛争がつづいているウガンダでは、子どもを兵士にしようとする目的で、むりやり連れて行かれたり、もしくはゆうかいされることがあります。それは男の子だけの話ではなく、女の子もです。女の子は戦場に送られるだけではなく、兵士の奥さんの代わりをさせられることもあります。ゆうかいされた子どもが、大きくなって、自分たちの村に戻ってきたときに、もとの通りの生活を送ることは、かんたんなことではないのです…

*  *  *  *  *

サラさん(本当の名前ではありません)は、元子どもの兵士です。7歳のときに、反政府武装組織「神の抵抗軍」(LRA)にゆうかいされました。17歳になった2006年、ユニセフの協力団体であるNGO、ワールドビジョンの協力によって家族に再会することができました。

イサヤ君と品川さん
© UNICEF Uganda/2007/Hyun
子どものめんどうをみるサラさん

サラさんのおなかには赤ちゃんがいたので、LRAの兵士はサラさんが家にもどることをゆるしました。こうして子どもの兵士を解放することは、とてもまれなことです。脱走することはもっとまれなことなのです。サラさんの兄弟もゆうかいされましたが、不幸なことに、解放されることなく、なくなったと言われています。

ユニセフは、サラさんのように長いあいださらわれて、もどってきた子どもたちのために、家族をさがしたり、きずついた心の治療をうけることができるように支援しています。なかでも、ゆうかいされた経験のある若者たちがあつまって、2004年につくったグループ「エンパワーリング・ハンズ」がかつやくしています。

◆ 音楽やダンスをつうじてできること… ◆

イサヤ君と品川さん
© UNICEF Uganda/2007/Hyun
エンパワーリング・ハンズの音楽やダンスのパフォーマンスのようす

このグループは、村の中で話し合いの場をもうけたり、音楽や劇などをつうじて、子どもがゆうかいされる危険をみんなに知らせています。音楽や劇などでお金をかせいで、いつかメンバーが自分で仕事をはじめられるようにするための資金にしています。サラさんもアムル避難民キャンプのなかにあるグループに入っています。今は、洋服の仕立ての仕事をしているサラさん。自分と子どもに食べさせるのがやっとのかせぎでも、いつかまた学校にいきたいと、希望にみちたようすで話しています。

「エンパワーリング・ハンズの活動をつうじて、もっとがんばって生きてみようと思いました。私の人生に希望が見えてきたんです」。

ウガンダで、今年、エンパワーリング・ハンズのようなグループに連絡があった、ゆうかいされたことのある子どもたちの数は、2千人以上いるといわれています。この子どもたちの数は、2006年8月からへりつつあります。それは、ウガンダ政府と、LRAのあいだで、戦争を休止することを決めたからです。しかし、まだ解放をされていない女の人や子どもたちがおよそ1500人いるといわれています。

◆ 大切なのは地域のサポート ◆

帰ってきた人やその家族をまもる環境をつくるためには、地域の人たちのサポートが必要です。ゆうかいされた人への差別を解決してくれるだけではなく、かぎられたお金のやりくりなど、帰ってきた人たちがかかえるいろいろな問題を、地域のひとたちが一緒に考え、解決することができるからです。

泥でかためてつくった壁と、わらぶき屋根でできた家にもどると、サラさんは、もっとも心配していることは子どもの将来だと話しました。これから学校に行かなければならないこと、そしてちゃんとした医療を受けることができるかどうかです。もう、戦争の夢でうなされているひまはないのです。

「ぜったいにおこっちゃいけないことが自分におこったことを考えると、本当にはらがたつの。でも、みんなで何か行動すれば、この戦争を終わらせることができると思うわ」と、サラはしずかに話しました。

星

日本の政府は、北部ウガンダへの支援をおこなっています。
2007年の4月には、日本の国会議員がウガンダでのユニセフの活動を視察しました。そのようすはこちら

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