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日本ユニセフ協会

世界の子どもたち

シリア:新学期を迎えた子どもたちに、“今”必要な支援

【2012年9月17日 ニューヨーク発】

© UNICEF/JORDAN/Brooks

シリア国内では、学校の新学期がスタート。しかし、各地で戦闘が続く中、予断を許さない状況が続いています。

教育省によると、2,072校が何らかの被害を受けていると見られています。また、800を超える数の学校が、避難所として使われています。これまでに、約90人の学校関係者が、戦闘に巻き込まれ命を奪われました。日曜日の授業再開に先立ち、シリア政府は、学校で避難生活を送ってきた人々に、スポーツ会館などの代替の避難場所を用意し、移動させました。

ユニセフは、第一段階として、子どもたち7万5,000人を対象に緊急教育支援を準備。損傷した150校の修復や、住む場所を追われ持ち物を失った子どもたちに、予め学用品がセットされた学校用かばん3万個を提供。そして、100箇所の‘学校クラブ’と呼ばれる活動への支援を継続し、心理社会的な支援や授業、レクリエーション活動の機会を提供します。

「できる限り早く学校での教育活動を再開することが、この危機の影響を受けた子どもたちには必要不可欠です。学校での生活が、子どもたちの日常の感覚を取り戻す一助となるのです」ユニセフの中東・北アフリカ地域事務所のディナ・クライッサティ教育アドバイザーはこう話しました。

ヨルダン、レバノン、トルコ、イラクなどの周辺国でも、既に新学期は始まっているか、あるいはもうすぐ始まる予定です。ユニセフは、現地政府やパートナー団体と協働して、避難生活を余儀なくされている推定6万6,900人のシリア難民の学齢期の子どもたちを対象に、緊急支援を行っています。難民登録の手続き中であったり、まだ登録されていない子どももまだ多く、就学年齢にある子どもの数、すなわち緊急教育支援を必要とする子どもの数は、今後さらに多くなる見込みです。

© UNICEF Iraq/Abdulmunem/2012

ヨルダンでは、9月4日に新学期がスタートしました。約1万7,000人のシリア難民の子どもたちが、避難している地域の地元の学校に通っています。ユニセフは、パートナー団体とともに、学費や教科書、学用品、追加の教室の提供に加え、子どもたち自身そして学校が、近づきつつある冬の寒さに備えるための支援を展開しています。

しかしながら、ヨルダンとシリアの国境近くに設置されたザータリ難民キャンプに避難を強いられている推定6,000人の学齢期の子どもたちには、まだ、学校がありません。キャンプには、9月末までに仮設学校が設置される予定で、ユニセフとヨルダン教育省は、この学校に通う子どもたちを、既に1,150人以上登録しています。学校用の備品、教員の給料、水場やトイレの設置などのために、さらなる資金が緊急に必要な状況です。

こうした緊急教育支援活動は、レバノンやトルコ、イラクでも展開されています。レバノンでは、現在確認されている約3万2,000人の学齢期の子どもたち全員が学校に通えるよう、支援を続けています。45校の校舎の修復や、通学に必要な登録手続きに関する啓発活動を行っています。イラクでは、避難所として使用されていた11の学校を修復。追加の教室を設置する準備も進められ、“入学キャンペーン”が2つの難民キャンプで展開されています。

ユニセフの中東・北アフリカ地域事務所のマリア・カリビス代表は、緊急の教育支援のための資金が切実に求められている現状を、次のように訴えました。「資金不足が、子どもたちの学習の再開を支援するユニセフの活動を脅かしています。国際社会からの支援が必要です。‘今’、必要なのです」

ユニセフは、シリア、レバノン、トルコ、イラクに避難している子どもたちに対する緊急支援活動を展開するために、現時点で、4千40万米ドルが不足していると訴えています。また、悪化し続ける現地の状況を鑑みると、この額はさらに増えるものと予想しています。

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