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日本ユニセフ協会
 



東日本大震災緊急募金 第154報
石巻市給食食器支援

【2012年4月9日 宮城・石巻発】

4月9日(月)12時10分。石巻市立中里小学校の6年1組の教室では、給食の準備が始まりました。給食当番さんが、おかずのバットを開けたとたん、「おー、おかずが2つあるー!」の声。1年ぶりの"当たり前"の給食が始まりました。

東日本大震災で、沿岸部が広範囲に被害を受けた石巻市。同市では、60校以上ある市内の小・中学校の給食は、6か所の給食センターでまかなわれていました。ところが、震災によって、沿岸部に並んで建っていた渡波給食センターと湊学校給食センターが津波にのまれ、建物は半壊し、設備も流出。もう1ヶ所も大きな被害を受けて稼働できなくなり、学校給食の提供ができない状態になりました。

宮城県内では、2011年4月25日に給食が再開されましたが、食材を集めることも、調理をすることも満足にできない状況の中、ほとんどの学校で、パンと牛乳だけの給食という状態が続きました。石巻市では、地震・津波被害を免れた3か所の給食センターをフル稼働させ、6月1日からレトルト食品を温めた給食を提供し始めました。その後、損傷していた1か所の給食センターが修繕され、レトルト食品から本来の調理品が提供されるようになりましたが、9月までは、主食+1品。10月になって、ようやく主食+2品出せるようになりました。

しかし、給食を、「主食、汁物、おかず2品」という震災前の状態に回復させるには、食材を確保し、調理ができるだけでは十分ではなく、品数に対応できる食器や、それを洗浄する洗浄機、保管庫なども必要になります。平成23年度に限っては、市が用意した食器を使い、それを子どもたちが毎日家庭に持ち帰って洗浄・管理してもらう「my食器」制度で運用していましたが、23年度中の給食完全化はかないませんでした。

こうした状況の中、日本ユニセフ協会は、石巻市内の全小中学生15,000名分の給食食器と、給食センター3ヶ所への食器洗浄機や消毒保管庫などの設備を支援しました。同時に、隣接する東松島市から石巻市が譲り受けた給食センター1ヶ所が稼働し始めたことで、4月9日に始まった新学期から、全市で震災前と同じ給食が提供できるようになりました。

平成24年度1学期の始業式だった4月9日(月)。中里小学校では、新年度の給食初日を迎えました。配膳台にはユニセフのロゴマークの付いたご飯茶碗、お椀、おかず用の角皿が並べられ、次々に給食が盛り付けられていきます。この日のメニューは、ご飯、コロッケ、ひじきの煮物、麩の味噌汁、牛乳です。みんなで手を合わせて「いただきます!」と元気に挨拶すると、楽しい食事タイムが始まりました。仲良くおしゃべりをしながら、20分ほどでみんなほぼ完食。「前より、お腹が一杯になった。美味しかった!」と笑顔が広がりました。

この日、石巻市教育委員会学校管理課で学校給食を担当されている佐藤勝治さんと主任栄養士の木村由佳さんも給食の様子を視察に来ていました。佐藤さんは、「どの給食センターも従来の能力以上に稼働させなければならないので、まだまだ大変ですが、やっとここまで回復できました。ユニセフさんからの食器や設備の支援は本当にありがたいです」と話されました。木村さんは、「これまでは使える食器が限られていたので、メニューに苦心しました」と話し、「美味しい?」「たくさん食べてね」と子どもたちに優しく声をかけていました。

学校給食は、子どもたちに栄養のバランスのとれた食事を提供すると同時に、正しい食習慣や健康についての知識や、先生や友だちと心を通わせる時間を提供する、大切な学びの場です。日本ユニセフ協会は、東日本大震災で被災した子どもたちの健やかな成長を支える支援を続けています。

写真クレジット全て:© 日本ユニセフ協会

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