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日本ユニセフ協会
 



東日本大震災緊急募金 第165報
宮城県石巻:社会の仕組みを学ぶ 実体験型まちづくり!

【2012年10月14日 宮城発】

子どもたちで溢れるアイトピア通り

10月13日(土)〜14日(日)、石巻市内にある商店街「アイトピア通り」は、延べ2000人近い子どもたちの笑顔で溢れました。
この2日間にわたって行われたのは、『子どものまち・いしのまき』という、子どもたちが公共機関や行政、お店などで働き、お金を稼ぎ、遊んだり買い物したりする、実体験型のまちづくり学習プログラムです。入国登録した子どもたちにはパスポートが発行され、ハローワークに貼り出される求人票を見ながらお仕事を探すなど、その内容は本格的。一定の仕事を終えると、『子どものまち』の通貨の“マキー”をもらえ、自分で稼いだマキーで、買い物をしたりサービスを受けたりできます。

本物の機材でカメラマンに挑戦

友だちと一緒に参加していた鎌田みなみちゃん(小4)は、マンガ家やカメラマン、歌手などいくつもの仕事にチャレンジし、次はスタイリストをやりたい!と元気いっぱい。「稼いだマキーで、メモ帳を買ったりしたの。自分で稼げるって気持ちいい!」と話してくれました。動物が大好きでペットカフェの従業員に挑戦していた相原栄実ちゃん(小4)は、「犬にご飯をあげたり、お世話できるから楽しい」とこのお仕事一筋でがんばっていました。

日本ユニセフ協会は、被災地の復興に向けたプロセスに子どもたちが参画し、子どもたち自身の声が取り入れられた「子どもに優しい復興」の実現に向けて、専門家と連携しながら技術的支援とアドボカシー活動を行っています。

小さな子どもも
一生懸命ものづくり

社会の中で弱い立場に置かれる子どもたちにとって優しいまちは、全ての人にとって優しく、暮らしやすいまちです。そんなまちづくりの過程で、子どもたちは震災と向き合い、意見を交わし合いながら課題を明らかにするとともに、自分たちのまちの未来について考えを深めていきます。

こうした復興への子ども参画をより体系的に推し進めるために、日本ユニセフ協会は、住環境・まちづくり学習等の分野で活躍する、山形大学地域教育文化学部の佐藤慎也教授と、子ども環境学会『子どもが元気に育つまちづくり〜東日本大震災復興プラン国際提案競技』において「子どもと築く復興まちづくり」を提案し最優秀賞を受賞した(株) 竹中工務店と提携。

働いた証明を持って銀行に行くと、
マキーがもらえる

同案をベースに自治体へのヒアリングや調査を経て、子どもたちが楽しく学び、主体的にふるさとの創造に関わるための具体的な取り組みとして実施したのが、この『子どものまち・いしのまき』でした。実際の運営には、石巻市で子ども支援の分野で活動するたくさんの団体が参加しました。

この活動を通じて、子どもたちがまちの社会的な仕組みを知り、主体的に役割を担うことで、まちづくりの楽しさを体験したり、地元の商業地区での開催を通して、ふるさとの文化、産業、伝統などを知ること、また子ども同士の新たなつながり、コミュニティを育むことが期待されています。
また、この2日間は、震災によってバラバラになった子どもたちの、再会の機会にもなりました。

子どものまち・いしのまき実行委員会会長の
戸田勇也さん(左)と
山形大学佐藤慎也教授(右)

佐藤教授は、「今回は、いつもはそれぞれに活動する(子どもたちに遊びの機会を提供する)団体が20近く集まり、お互いが、それぞれのやり方を学ぶことができた」と振り返ります。また、2日間を見守った子どものまち・いしのまき実行委員会会長の戸田勇也さんは、「石巻にこんなに子どもたちが居るとは思わなかった。このイベントを通じて、子どもたちは、社会の仕組みを学んでくれたと思う。多くの親子連れがやってくるようなこうしたイベントや場所が、いつも石巻の市街地の中にあれば、商店街も自然と賑やかになる」と話しました。

写真クレジット全て:© 日本ユニセフ協会

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