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日本ユニセフ協会
 



東日本大震災緊急募金 第180報
気仙沼市と亘理町で、児童福祉施設落成

【2013年1月23日】

気仙沼 子育て支援センター
入り口に設置された“お迎えの壁”
亘理町 児童福祉施設
葦の芽幼稚園 小野寺純一園長
亘理町から日本ユニセフ協会への感謝状の贈呈

日本ユニセフ協会は、地震および津波により被災した岩手県・宮城県・福島県の自治体からの要請を受け、保育園や幼稚園等園舎、教育・保健関連施設の再建(建設)や大規模修繕支援を実施してまいりましたが、最後に残された2つの児童福祉施設の完成を祝う落成式が、1月19日(土)に宮城県気仙沼市で、翌20日(日)に同じ宮城県の亘理町で開催されました。

例年にない寒波が押し寄せている被災地。式前日の18日も、宮城県沿岸部には珍しいほどの大雪に見舞われていましたが、それがまるで嘘だったように晴れ上がった青空の下で開催された両落成式には、気仙沼市の峯浦康宏副市長や亘理町の齋藤邦男町長をはじめ、園の先生方や子どもたち、地域の方々が参加されました。

未来を担う子どもたちのために

このほど気仙沼に完成したのは、地域の子どもたちが広く使用できる施設としての「子育て支援センター」。「気仙沼の復興はこれから長い道のりを歩いていきますが、子どもたちにはもうこれ以上我慢を強いることなく、自分の思いを思う存分膨らませる時間と場所を提供していくことが私たち幼児保育に携わるものの役割であるというふうに考えています」 式典に出席された葦の芽幼稚園 小野寺純一園長は、震災からこれまでの約2年の月日を振り返りながら、「この施設がこの役割を十分果たし、気仙沼の未来を担う子どもたちの健やかな成長に寄与していけるよう私たちは力を尽くしていきたいと考えております」と、新しいスタートへの抱負を述べられました。

亘理町に完成した児童福祉施設は、震災で園舎を流失した吉田保育所に通っていた子どもたちや近隣の子どもたちが利用できる施設として建設されました。吉田保育所の鈴木由美子先生も、「震災の日、隣接した長瀞小学校の助けを借りて子どもたちは逃げました」と、当時のことを振り返ります。しかし、「子どもたちの心の中に震災は怖かった、恐ろしかったという記憶があると思うんですが、これからは前向きにこの新しい施設で毎日元気に過ごしていけたらと思っています」と、新しい建物が、地域が“前に進む”原動力の一つとして活躍することを期待されていました。

地域に根付く建物を

みなさまのご支援で進めてきた幼稚園・保育園等の再建支援プロジェクトは、この2棟の完成をもってひとまず完了しました。なかでも、恒久的に使える建物として建設した幼稚園・保育園園舎等の再建支援にあたっては、以下の3本の柱となる基本理念と、5つの基本方針のもと、各案件を担当された建設関係者の方々に、事業を進めていただきました。

基本理念
  1. 子どもの参画、子ども中心の環境づくり
  2. あたたかみとぬくもりを感じる空間づくり
  3. 自然、地域とのつながり
5つの基本方針
  1. 声を聞く、ともにつくる参加型の建設プロジェクト
  2. 幼児の環境教育における学びの森
  3. 安全安心な子育て空間
  4. 地域の風土、文化との調和
  5. 環境に配慮した共生型建築

先生方をはじめ施設を利用される方々と何度も相談を重ねて仕上げた設計。被災木など、地元の建材を使用した建築。子どもたちを温かく包む園舎。子どもたちが自分たちで作り上げた壁・・・。多くの方の想いが集まって、それぞれ個性的な施設が完成しました。亘理町の齋藤邦男町長も「足場を組み、そして木材を組み立てるという建設工事の進む状況を間近に見ることは、子どもたちだけでなく、保護者の方々、このそばに仮設住宅で過ごす避難者の方々にとっても、被災で痛めた心を癒す一番の特効薬となったのではないかと思っております」と語ります。震災を境に様々な影響を受けた子どもたちの未来を支える、そして地元を支える力として、それぞれの園舎、施設は、地域の方と多くの時間を重ねていきます。

落成式の最後は、気仙沼でも亘理でも、心をこめてお礼をしたいとそれぞれの地域の子どもたちから歌やダンスが披露されました。被災した松の木を含む建物に使われた木材の持つ力強さ、太陽の明るさが感じられる真新しい施設に、明るく元気な歌声が響きました。

写真クレジット全て:© 日本ユニセフ協会

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