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財団法人日本ユニセフ協会
 



シリア緊急募金 第119報
イラクの情勢悪化・ポリオ発症2件目を確認
降雨量の少なさに水処理施設への攻撃、
下痢に苦しむ子ども急増/ユニセフ情勢レポート

【2014年6月23日 ヨルダン・アンマン発】

ポリオの予防接種を受ける子ども(トルコ)
© UNICEF/UNI162703/Yurtsever
ポリオの予防接種を受ける子ども(トルコ)。

2014年6月11日以降、緊迫した情勢が続くイラク。北部のモスルからクルド自治区には50万人が避難したとみられ、一方で、西部のアンバールからも多くの人が避難しています。これまで、シリアからイラクに逃れ、難民となった方は20万人以上、主な避難先はクルド自治区です。これらに加え、5月にはバグダッドでポリオの感染(2件目)を確認。ユニセフは、避難民、難民双方への支援活動を展開しています。ユニセフの情勢レポートから、最新のシリアと周辺国の情勢とユニセフの支援活動についてお伝えします。

活動ハイライト(報告期間:2014年5月20日〜2014年6月12日)

  • イラクの情勢悪化により、イラクのクルド自治区には国内避難民が急増。同自治区には、これまで同国へのシリア難民の大多数が避難。ユニセフはニーズ調査を行う一方で、水と衛生および栄養の緊急対応を行っている。
  • 「レバノンのすべての子どもに教育を」計画が教育省によって開始された。この計画では、シリア危機によって影響を受けた学齢期の子どもたちに、学校教育および学校外教育の機会を保証することを目的としている。現時点までで、レバノン国内では、ユニセフの支援により6万1,490人の子どもが学校教育、4万3,230人の子どもが学校外教育で勉強を続けている。しかし、レバノン国内の64%のシリアの子どもたちが通学できていない。
  • 2014年5月、イラクの首都バグダットで、第2症目となるポリオの感染が確認された。2013年以降、シリア国内では36件が報告されている。ユニセフとWHOは、シリアと周辺国、特に支援を届けることが困難な地域での予防接種キャンペーンを実施している。
  • シリア保健省は、シリア国内におけるはしかの流行を確認、これまでに160件が確認されている。多くの人々が身を寄せている集合避難所を含め、リスクの高い地域での予防接種キャンペーンが6月から開始される。
  • 半世紀以上ぶりとなる降雨量不足により、シリアの多くの地域で400万人以上の子どもたちが病気にかかるリスクが高まっている。ユニセフが水と衛生の事業を行う上で必要としている資金のうち、これまでに集まっている資金は、シリア国内で15%、周辺国内で行う事業では20%にとどまっている。
  • 「シリア人道支援計画」および「機関合同地域支援計画」の中期評価が行われており、近日中に報告書が発表される予定である。

◆2014年12月31日までの難民予測値と比較した難民数(6月14日時点)

2014年12月31日までの難民予測値と比較した難民数
(6月14日時点)
グラフ:シリア難民予測値と難民数の比較
注:本報告書での目標値は、12月時点の「地域支援計画」に対したものである

数値でみる情勢

◆シリア国内で影響を受けた
子どもの数:4,299,600人
人々の数:9,347,000人
(SHARP 2014)

◆シリア周辺国で難民として登録
または登録待機中の
子どもの数:1,445,555人
人々の数:2,858,188人
(2014年6月14日)

◆必要とされている資金(2014年)
シリア国内:2億2,219万米ドル*
シリア周辺国:6億1,302万米ドル*
(*2014年1月-12月、中期評価は反映されていない)

◆資金要請のうち不足している割合 

<各国の支援活動に必要な資金>
グラフ:シリア緊急支援に必要な資金要請に比べた不足額
68%が不足している(緑:充足分、赤:不足分)

参考情報

シリア危機:避難民などの数(2014年6月14日時点)

■シリア国内

影響を受けた人々* 9,347,000人
影響を受けた子どもち(18歳未満) 4,299,620人
国内避難民の数* 6,520,000人
国内避難民となった子どもの数 2,990,200人
アクセスが限られている場所に住む人々 350万人
包囲されている場所に住む人 242,000人
アクセスが限られている場所に住む子ども 最大100万

出典:*OCHA、2014
他の数値は、人口46%が18歳未満の子どもであるという2011年の調査及びUNHCRの推計値に基づく

■周辺国

  難民として登録された人 影響を受けた子ども
(18歳未満)
影響を受けた子ども
(5歳未満)
レバノン 1,047,898人
(登録待機中:52,588人)
555,386人 203,292人
ヨルダン 597,328人 314,195人 108,116人
イラク 225,409人 91,741人 32,910人
トルコ 773,864人 412,470人 137,748人
エジプト 137,734人 59,777人 18,319人

出典:UNHCR、2014年6月14日
※レバノン:別途、地域が受け入れているシリアの人々130万人と推定

イラクにおけるシリア難民について

ユニセフ・イラク事務所は、国内避難民、シリア難民の支援活動に奔走しています。4月11日以降、国境は開いているものの、クルド自治政府は「人道上必要」と判断した場合のみ、シリア国民を受け入れ。具体的な日付がなく、国境が閉鎖されることもある。

  • 登録済み難民: 22万5,409人(前回4/17-5/19より+2,296人)
  • 紛争の影響を受けている18歳未満のシリアの子ども: 9万1,741 人
  • 紛争の影響を受けている5歳未満のシリアの子ども:  3万2,910人
    ※ UNHCR 6月14日発表

イラク国内にあるシリア難民キャンプとキャンプに避難している人数

ドミズ(Domiz 7万4,201人)、ガウィラン(Gawilan 2,503人)、 ダラシャラカン(Darashakran 6,989人)、 カウェルゴスク(Kawergosk 5,881人)、クシュタパ(Qushtapa 3,244人)、バシルマ(Basirma 4,013人)、 アルバット(Arbat 1人※)、オベイディ(Al-Obeidy 1,672人)
8カ所のキャンプに、計11万3,981人が避難(※レベル2の登録手続き待機中の1万5,672人を含む)
※アルバット難民キャンプでは、難民登録手続きが開始しておらず、現時点では1名のみ登録あり
※UNCHR 4月30日発表

イラク西部のアンバール州での武力衝突発生以降、同州からクルド自治区へ避難するイラク市民が増加、5月15日時点で7万2,325世帯がアンバール州から避難。