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ユニセフ子どもネットウェブマガジン
No.28
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世界のニュース(2)

メキシコ:農場で働く子どもたちに、良い教育を、安全な環境を

© UNICEF/2007/Ramos
メキシコのシナロラ州に住む、ハビエルは、7歳のころから、収穫の季節になると、農場で働いています。

メキシコでは、収穫(しゅうかく)の季節にあわせて農場へでかせぎに来る人びとがいます。仕事があるときは、太陽がのぼる前から働きはじめます。今日、ハビエルとほかの労働者たちが、たき火のまわりをかこんで体をあたためています。農場の主人が到着して、仕事をはじめる合図をだすまで、待っている間がとても寒いからです。

ハビエル(本当の名前ではありません)は10歳。7歳のころから、収穫の季節になると、この農場で働いています。ハビエルはこれから8時間のあいだ、唐辛子を収穫します。1日がんばって、7ドルくらいのお金を手にいれることができるでしょう。「ぼくたちが農場に出たとき、バケツにいっぱいに、唐辛子を収穫するんだ。唐辛子をとるとき、指で茎を折らないといけない。バケツがいっぱいになったら、ここの主人が何番のトラックにそれをつみこむかを決めて、ぼくらに指示をするんだ」。ハビエルは仕事がおわると、ハビエルと彼の家族をやとっている会社が運営する学校にでかけます。ハビエルはそこで2〜3時間勉強をして、宿にもどり、家族といっしょに、次の仕事がはじまる明け方まで、睡眠(すいみん)をとります。

● 農場で働く子どもは「忘れられた子ども」

© UNICEF video
30万人の子どもたちが、家族といっしょに、農場へ働きに出かけると伝えられています。

収穫の季節になると、6歳から14歳までのおよそ30万人の子どもたちが親といっしょに、それぞれが契約(けいやく)をしているメキシコの北部の農場へでかせぎに行きます。10歳くらいになると半数の子どもたちが働きはじめ、歳をかさねるごとに、働く子どもの数は増えていきます。働く子ども10人のうち、学校にいけるのはひとりです。そして、小学校を卒業できるのは、それより少ないと言われています。9月から10月に、人びとはシナロア州に働きに出かけ、5月のはじめまで仕事をつづけます。

ほとんどの子どもたちが教育をうけるチャンスをうばわれるだけではなく、危険にもさらされています。1月には、9歳のデービッドがトマトを収穫しているときに、トラクターにひかれて命をうしないました。ユニセフは、おとなの利益のために子どもたちが利用されないようにするには、生きる権利、そしてどんな子どもでも教育を受けられる権利をととのえることが必要だと考えています。

「彼らは、仕事のためにつぎからつぎへと住まいをうつしてくらしています。そして、自分たちは最低限必要な権利が守られていると感じている人は、だれもいないのです」。ユニセフの子どもの保護を担当しているテレサさんはこう話しています。「同じところにずっと住んでいる子どもたちにくらべて、教育の質もちがうようです。彼らはこの国のなかで忘れられているのです」。

● 解決までの長いみちのり

出かせぎで働いている子どもたちのかかえる問題を考えて、ユニセフでは教育の質をよくするために学校で必要な学用品や本、そのほかの道具などを支援しています。メキシコのユニセフ親善大使のセザール・コスタさんは、通学につかうリュックサックと学用品を出かせぎのために移りすんでいる子どもたちに支援しました。

政府と、農場のオーナー、そしてコミュニティの人たちとが協力して、ハビエルのような子どもたちに教育を受けさせたり、安全な環境をあたえることに成功したという話はいくつかあります。けれども、それはまだ一部でしかありません。もっとサポートを必要としている子どもたちもいます。

「このことは、すべての子どもたちに起こりうる問題になっています。ユニセフは、民間の団体や政府とこれまでメキシコのなかで忘れられてきた子どもたちの環境をかえていくために、協力関係をふかめています」。

しかし、多くの会社が、労働者たちの生活をよくすることに、協力をしたがりません。ハビエルのような子どもたちが質の良い教育をうけることができるようになるまでには、まだ時間がかかりそうです。

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