世界のともだち

スタディツアー視察報告

モンゴル  スタディツアー報告  (2012年7月22日〜7月29日実施)

10. 視察を終えて

今回のモンゴル視察は、都市の生活の現状や支援の現場の視察を通して、モンゴルの社会問題を考える機会となりました。厳しい現実に正面から向かい合い、現状改善に取り組むダルハン市「子ども局」の活動や貧困家庭への支援などには、モンゴルの底力を感じます。また、伝統あるモンゴルの文化やその生活の根底に流れるモンゴルの心に触れることができました。

視察の日々に思いを馳せると,まず、子どもたちの屈託のない笑顔が目に浮かびます。日本であれば、学齢期の子どもたち。日々、あたり前に学校に通い給食を食べ、友達と遊んでいる年代の子どもたちです。
子どもたちは、近代化が進むモンゴルの中で、拡がる格差、貧困・虐待・犯罪・衛生上の課題等々、厳しい現実に晒されています。その過酷な現実の中でも、多くの子どもたちが、力強く懸命に生きようとしています。
中でも、サーカスプロジェクトの子どもたちの前向きなたくましい生き方は、胸を打つものがありました。サーカスの専門的な技術を身につけようと一生懸命取り組む彼らの姿には、「これしかない」という覚悟と必至さが宿っています。マンホールやアパートの階段下で生活しなければならない子どもたちですが、真摯に生きようとする姿は頼もしいばかりです。演技を終えて満面の笑みを湛えた子どもたちは、見る者の心を魅了し、大きな感動を与えてくれました。希望を捨てず、前向きに職業技術の習得に取り組んでいる、子どもたちの姿に、彼らが将来、モンゴルを支える人材へと成長してくれることを心から願わずにはいられませんでした。
今回の視察を終え、援助と開発のあり方について、援助する側がどこまで責任をもってやり切れるかということ、そして、援助を受ける側がいかに主体的に取り組めるかということが大切だと感じました。
その場限りの援助は、混乱を招くことになりかねません。援助を継続して初めて生まれる成果もあります。また、援助はあくまで、自立を促すためのものであり、国家としての発展の方向性にあわせて、協力・協同する姿勢が必要であることを感じました。今回のツアーで、格差が現存する一方で、モンゴルの人自身の手で行われている支援の輪が確実に広がっていると改めて実感することができました。

<< 前のページへ戻る

目次

目次ページへ戻る >>

日本ユニセフ協会