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ニューヨーク:ミレニアム開発目標(MDGs)さいごの年 取り残される子どもたちも

2015年6月23日発


© UNICEF/NYHQ2015-0258/El Baba
破壊された家で、身体を温める家族。(パレスチナ)

ミレニアム開発目標(MDGs)とは15年前の2000年に国際社会がまとめた8つの目標のことです。その目標は、「きびしい貧困を減らす」「男女の差別(さべつ)をなくす」などの内容で2015年までの達成(たっせい)をめざしてきました。

ユニセフは、報告書『子どもたちのための前進 2015:MDGsから学ぶ 平均値に隠された子どもたちの実情』を発表しました。この報告書は、もっとも新しいデータをつかって、子どもに関するMDGsの達成状況と課題について分析しています。

報告書には、1980年とくらべて5歳未満で命をおとす子どもの数は半分以下にへり、成長をさまたげられる状況下の子どもの割合は41%へり、学校に行かねばならない年なのに学校に通えない子どもの数が44%減ったことなどが書いてあります。しかし、世界全体で見れば良くなっていても、もっとせまい地域(ちいき)や国レベル、また国内の地域や男女別、お金をかせぐランク別でみると、いまだにさまざまな格差が残り、開発のうらがわでは多くの子どもたちが取り残されている現状も明らかにしています。何百万人の子どもたちがいまだに貧困の中にくらし、5歳になる前に亡くなり、学校に行けず、長期にわたって栄養不良に苦しんでいるのです。

MDGsの期限が今年までなので、世界のリーダーたちは新たに、これからの15年の「持続可能な開発目標(SDGs)」をまとめています。これにあたりユニセフは、もっとも不利な状況にある子どもたちが新たなゴールと目標の中心にあるべきだ、と主張します。データ集めをより良くして、MDGsで使われたような「平均値」だけでなく、地域別・男女別などの細かく分かれたデータをつかえば、どのような子どもたちや地域がもっとも弱い立場にあり置き去りにされているのか、分かります。地域の保健・教育・社会的保護(ほご)のしくみを強めれば、より多くの子どもたちが命をおとすことなく、成長することができるのです。

SDGsを機に子どもの支援(しえん)を呼びかける理由として「今日、子どもたちにより公平な機会をあたえることは、明日の不公平を減らし、そして世界のより大きな進展につながるからです」と、ユニセフのアンソニー・レーク事務局長は言います。

■このニュースの詳しい内容は
 ニューヨーク:ミレニアム開発目標(MDGs)最終年 ユニセフ報告書『子どもたちのための前進』 進展の陰で取り残される子どもたちも

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