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公益財団法人日本ユニセフ協会

ミレニアム開発目標(MDGs)最終年
ユニセフ報告書『子どもたちのための前進』
進展の陰で取り残される子どもたちも

【2015年6月23日ニューヨーク発】

今後15年間の開発ロードマップの策定にあたり、国際社会が最も不利な状況にある子どもたちに注目しない限り、何百万人もの子どもたちを置き去りにすることになると、ユニセフは警告しました。

ミレニアム開発目標の達成状況と残る課題

本日ユニセフは、報告書『子どもたちのための前進 2015:MDGsから学ぶ 平均値に隠された子どもたちの実情(Progress for Children - Beyond Averages: Learning from the MDGs)』を発表。15年前に国際社会が合意した「ミレニアム開発目標(MDGs)」の期限(本年末)が迫る中、最新のデータを用いて、子どもに関するMDGsの達成状況と残る課題について分析します。

「MDGsは、国際社会が子どもたちに大きな進展をもたらす助けとなってきました。しかし同時に、どれだけ多くの子どもたちを私たちが置き去りにしてしまっているかも明らかにしたのです」と、ユニセフのアンソニー・レーク事務局長は言います。「最も不利な状況にある子どもたちの命と未来が重要なのです。子どもたちのためだけでなく、彼らの家族、彼らの住むコミュニティや社会のためにも」

笑顔を見せる赤ちゃんとHIVと共に生きる母親。(南アフリカ)
© UNICEF/HIVA2015-0008/Schermbrucker
笑顔を見せる赤ちゃんとHIVと共に生きる母親。(南アフリカ)
発育検査を受ける3歳の子ども。(ウズベキスタン)
© UNICEF/NYHQ2011-1680/Pirozzi
発育検査を受ける3歳の子ども。(ウズベキスタン)

報告書は、1990年と比べて5歳未満で死亡する子どもの数は半数以下に減り、発育阻害の子どもの割合が41%減少、学校に通えない初等教育就学年齢の子どもの数が44%減少したなどの進展を示しています。しかしその一方で、グローバルなデータではなく、地域や国レベル、また国内の地域や男女別、所得階層別等でみると、未だにさまざまな格差が残り、多くの子どもたちが開発の恩恵から取り残されている現状も明らかにしています。何百万人の子どもたちが未だに貧困の中に暮らし、5歳になる前に亡くなり、学校に行けず、慢性的な栄養不良に苦しんでいるのです。

笑顔で水を口にする女の子。(ラオス)
© UNICEF/NYHQ2015-0950/Noorani
笑顔で水を口にする女の子。(ラオス)
スラム街のごみ捨て所でごみを集める13歳の子ども。(ケニア)
© UNICEF/UKLA2011-03302/Schermbrucker
スラム街のごみ捨て所でごみを集める13歳の子ども。(ケニア)

さらに報告書は、現在のペースで進展が続くと仮定し、人口増加も勘案した以下のような予測を明らかにし、進展を加速させない限り、今後も多くの子どもたちが置き去りにされると述べています。

  • 5歳未満児死亡率を1990年レベルの3分の1にするというMDGsの目標は、達成までにあと10年以上かかる
  • 2030 年の時点で推定1億1,900万人の子どもたちが依然として発育阻害の状態にある
  • 2030年の時点で5億人が屋外排泄をしていて、子どもの健康に深刻なリスクを与えている

子どもたちを中心に据えた目標を

破壊された自宅で、暖を取る家族。(パレスチナ)
© UNICEF/NYHQ2015-0258/El Baba
破壊された自宅で、暖を取る家族。(パレスチナ)

世界のリーダーたちが今後15年の「持続可能な開発目標(SDGs)」をとりまとめるにあたり、最も不利な状況にある子どもたちが、新たなゴールと目標の中心にあるべきだと、ユニセフは主張します。データ収集を改善し、MGDsで使われたような「平均値」を越えて、地域別・男女別等の細分化されたデータを整備すれば、最も弱い立場にあり疎外されている子どもたちを特定し、彼らがどこにいるのかを特定することができます。地域の保健・教育・社会的保護のしくみを強化すれば、より多くの子どもたちが生存し成長することができるのです。また、最も弱い立場の子どもたちのニーズに合わせた、より賢明な資金配分は、短期的にも長期的にも効果を生むのです。

「SDGsを機に、私たちはこれまでに学んできたことを生かし、最もニーズの大きい子どもたちを支援することができるはずです。また、そうしなければなりません」と、レーク事務局長は言います。「今日、子どもたちにより公平な機会を提供することは、明日の不公平を減らし、そして世界のより大きな進展につながるからです」

破壊された自宅で、暖を取る家族。(パレスチナ)

ユニセフ『子どもたちのための前進2015』報告書  分野別のファクト一覧も、併せてご覧ください。

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