メニューをスキップ
HOME > 世界の子どもたちを知る > 世界子供白書
公益財団法人日本ユニセフ協会

資料・刊行物

世界子供白書2015 「未来を再考する:一人ひとりの子どものためのイノベーション」

世界は急速な変化を遂げています。1990年50億人だった世界人は、2050年には90億人になると予測され、うち約27億人が18歳未満の子どもたちです。 

今、この世界に誕生してくる子どもたちの多くは、25年前には想像さえできなかった大きな機会に恵まれるでしょう。しかし、すべての子どもたちが平等な機会を得て、健やかに成長し、教育を受け、才能を存分に発揮し、社会参加できる市民になれる、とは限らないのも事実なのです。

今年発表の『世界子供白書2015』のテーマは、「未来を再考する:一人ひとりの子どものためのイノベーション」。ユニセフはより多くの子どもたちに支援をとどけられるよう、これまでにも様々な工夫、イノベーションに取り組んできました。例えば、調理せずに食べられる栄養補助食品は、たとえ災害時であっても子どもたちの生存に必要な栄養を補うことができ、多くの子どもたちの命を守っている、イノベーションの一例です。しかし、世界各地で武力衝突や災害が多発する今日、よりイノベーティブな物資や手法を用い、あらゆる分野の人たちと協力関係を築くことが、最も辿りつくのが困難な子どもたちに支援を届け、すべての子どもたちの権利実現のために、必要不可欠なのです。

現在、世界各地で、子どもたちのための“イノベーション”の波が湧き起っています。その波は、考えもしなかった場所で次々に起こっており、率先して行動しているイノベーターの多くは若者たちなのです。世界で起きている様々な問題を解決しようと、若者たちは自身の創造力を使い、他の分野と連結させ、時には別々のものを組み合わせて、解決方法を導き出しています。技術デザイン会社や大学のラボ、開発機関に限らず、家庭の台所やコミュニティーセンターなど、あらゆる場所で、新しい方法が次々と考え出されています。

映像で見る

若者を巻き込む

チリの「fiiS」
一年に1度のソーシャル・イノベーションのお祭り

「fiiS2013(チリのfiiS-イノベーションとソー シャル革命の響き)」(※日本語字幕なし)

今は、専門家に限らず、誰もが問題解決を図れる時代です。問題解決には、その問題の影響を最も受けている人々を含め、さまざまな人たちと共に取り組むことが重要です。このお祭りでは、若者が人気バンドを楽しむとともに、セッションに参加しているあらゆる分野の人々と問題を共に考え、解決策を講じています。

 

ザンビア 「U-Report」を使いこなす、ジョセフィーン(21歳)

「Text 878 for change(メッセージ送信“878”で変わること)」 (※日本語字幕なし)

ザンビアでは、1時間に3人のペースで、若者がHIVに感染しているにも関わらず、感染から自分自身を守る具体的な方法や包括的な知識を持っている人は、若者全体の4割にものぼりません。しかし、迅速な携帯電話のSMSサービスを利用した「U-report」を通し、ザンビアの若者たちは性感染症やHIVに関する相談を行うことができます。

創造性に火をつける

ジャマイカ:ロボット作りを通して、若者たちのスキル向上

「ロボット作りが若者を育む」

ジャマイカのキングストン郊外のマウンテン・ビューは、かつて暴力団同士の抗争が起こり、荒れ果てていました。対立する地域の境界線付近で行われるワークショップ「Lego Yuh Mind」では、レゴでロボットを組み立てる活動などにより、創造的思考や問題解決能力を育むとともに、ファイナンス能力の強化、起業家的思考や市場経済に関与するスキルの育成にも取り組んでいます。学歴や経済状況に関わらず、あらゆる地域から子どもたちが参加しています。

ザンビア:常識にとらわれない発想で、社会問題を解決

「Bringing brains together at BongoHive(知恵を結集する場所−BongoHive)」 (※日本語字幕なし)

ザンビアの首都ルサカの小さな一軒屋にある「イノベーション・スペース」。ここは、2011年に4人の起業家によって立ち上げられたBongoHive。テクノロジー技術を共に学ぶ若者を集め、常識にとらわれない方法で技術を活用することによって、ビジネス分野だけでなく、保健分野や教育分野などにも、様々な解決策を提案しています。

コミュニティとの協働

中国:子どもの福祉プロジェクト

「農村部の貧しい家庭の子どもを支えるソーシャルワーカー」

1歳のときに母と別れ、祖父に育てられたパンパン(8歳)は、農業を営む祖父の畑仕事を手伝う毎日です。貧困で生活は苦しく、祖父はパンパンに十分な教育を受けさせてあげられない、と悩んでいました。このような家族を支援するため、研修を受けた「裸足のソーシャル・ワーカー」が、定期的に家庭を訪問しています。パンパンの家族が毎月の政府補助金をどう使っているのかをモニターし、後見人や保護者たちが目的に合った使い方をしているかを確認しています。

ジンバブエ:世界初の補聴器用の充電池「Solar Ear」を発明

「ソーラーイヤー、太陽の力で」

太陽の光が降り注ぐなかで、17歳のタピワは、外に座って恋愛小説を読むのが好きです。彼女の”ソーラーイヤ”が充電されるのを待ちながら−。電力供給が安定していないコミュニティの要望に応えて開発されたこの機器は、太陽光や家庭用照明、あるいは携帯電話を利用して充電することができ、耐久年数は2〜3年、現在市場に出回っている補聴器の80%で使用可能。聴覚障がいのために教育を受けるのが困難であった子どもたちに、大きな助けとなっています。

解決策を適用

ウガンダの給食調理のイノベーション

「トイレを流すと給食ができる?!」

以前は、女子生徒は給食を作るため、いったん授業を離れて必要な燃料の薪を集めに行かなければなりませんでした。けれど、学校のトイレを経由して燃料がすぐに手に入るようになりました。地下に設置されたバイオガス装置が、無気状態で排泄物の分解を行い、メタンと二酸化炭素を発生させて、台所に火を灯しているのです。

すべての子どもに

モルドバの若き発明家、ダイアナ・マルジック(16歳)

「ソーシャル・イノベーションへの私の情熱」

視力が弱いダイアナは、コンピューターの前に長時間留まることができません。そこで、視覚障害者がボイスコマンドでたやすくコンピューターを操れるアプリケーションを開発しました。

 

グルジア:障害のある子どもたちも、楽しめるおもちゃを

「日用品からおもちゃを作る」

グルジアにあるFirst Step Centre。心理学者のジョルジは、障がいのある子どもたちが、周囲にあるおもちゃに対して愛着を示さなかったり、「誤った」使い方をしたりすることが多いと指摘しています。ジョルジは、障害のある子どもたちもおもちゃ遊びに興味をもち、楽しんでもらえるよう、古い日用品からおもちゃを作ったり、あるいは、そのおもちゃ作りに子どもたち自ら参加してもらう取り組みを進めています。

構造の再考

スーダン:新しい方法で、どこでだって楽しく学べる

「タブレットを利用して学校に通えない子どもに教育を」

スーダンでは、学校に通えていない子どもが推定280万人います。戦争、究極的な貧困、その他の災害が、スーダンに大きな影響を与えてきたのです。学校に通えていない子どもたちの多くが、元子ども兵士やストリートチルドレン、あるいは遊牧民の子どもたちですが、特に女の子が多くを占めています。子どもたちを学校に戻すため、ゲームをあらかじめ搭載した低価格のタブレットを用いた授業が試みられました。遠隔地でも教育を受けることができ、ゲームで遊びながら計算を覚えられるなど、学習を楽しいものにする工夫が取り入れられています。

レバノン:内戦で途絶えた教育を、再び子どもたちに

「シリア難民の子どもに、学習の機会を」

2011年から長きにわたり続くシリア危機。避難民の子どもたち300万人の多くは学校に戻っていません。多くのシリア難民が身を寄せるレバノンでは、教育危機が深刻になっており、国内で30万人の子どもが教育の機会を奪われています。そこで、「Raspberry Pi」と呼ばれる低コストのハード・ドライブを用い、様々な機能が備わったコンピューターが開発されました。「Raspberry Pi」に組み込まれているコーディング・ソフトのおかげで、子どもたちはプログラムを組んだり、ゲームを作ったりすることができ、楽しみながら技術を学ぶことができています。

世界各地のイノベーション・マップが見れる!ユニセフ本部サイト

ユニセフ本部ホームページでは、世界子供白書2015のテーマ「イノベーション」にあわせた特設サイトを開設。子どもたちのために熱心に取り組む若きイノベーターたちの紹介や、世界各地で行われているイノベーションを誰でも投稿できるイノベーション・マップなどが用意されています。

PDFファイルで読む

表統計

ユニセフ「世界子供白書」について

1980年、「世界子供白書」が初めて発行されました。以来、子どもに影響を与えている世界の傾向を包括的に分析する、ユニセフの代表的な刊行物として毎年発行されています。毎回、一つのテーマに基づく問題の検証や提言に加え、ユニセフが呼びかける“公平性”に基づく様々な課題の解決状況を検証するツールとして様々な統計が備わっています。

ユニセフ ・イノベーションについて

ユニセフ・イノベーションとは世界中の子どもたちの生活を改善するために、開発専門家に限らず、分野をまたがるスペシャリストが集まったチームです。革新的な技術を用いた、技術や実践の拡大を任務とし、ユニセフの活動を強化するために任務にあたっています。

マラウイ:保健普及員制度や携帯を使ったシステムで、すべての人に保健ケアを

ウガンダ:破たんした出生登録システム、携帯アプリで改善

 

トップページへコーナートップへ戻る先頭に戻る