

アフリカ東部の最貧国のひとつ、エチオピア。この国では、9割の赤ちゃんが自宅で生まれています。地方でよく目にするわらぶきの家々には、人と家畜が一緒に住んでいて、赤ちゃんが生まれる土間の近くで牛が排泄している光景も珍しくありません。お産に使うきれいな水がないことも多く、赤ちゃんの身体を清潔に保つことが難しいため、敗血症などで毎年何万人もの新生児の命が失われています。
また、ほとんどの場合お産に立ち会うのは、専門知識に乏しい家族や近所の女性たちで、赤ちゃんが極度に弱まった状態で生まれたり、呼吸困難に陥ったりしても蘇生ができず、そのまま死に至ってしまうケースが多くあります。
*出典 Ethiopia DHS 2011
安心して出産できる施設が極めて少ないエチオピアには、質の高いケアや設備の充実した病院がもっと必要です。一方で、病院のない遠隔地でも、一刻を争う新生児の命を守る方法があります。救命スキルをもった人材を数多く育て、広大な国土の全域に送り出すことで、より多くの命を守ることができるのです。ユニセフは政府とともに、国内各地で地元の人々を助産師や保健員に育成し、お産の介助だけでなく、栄養や衛生の指導、予防接種を行うなどして、確実に子どもの死亡を減らしています。これまでに3万人以上の保健員が誕生していますが、お産の実地訓練や器材、薬など、まだまだ足りないものばかりです。
エチオピアでは今も、年間10万人以上の新生児が命を落としています。何ヵ月もおなかの中で育ててきたわが子が、生まれてすぐに亡くなってしまう。それがどれほど辛いことか、私も出産を控えているので身につまされます。赤ちゃんの死をこの国から、この世からなくしたいと心から願い、日々全力で活動しています。