(財)日本ユニセフ協会  

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 “音のない戦争”といわれるHIV/エイズとの闘いを生き抜く子どもたち。銃声や砲弾の音はしなくても、信じられないほど多くの人びとがひっそりとこの病気で亡くなり、2006年までにエイズ孤児の数は2500万人を超えると推定されています。
 この闘いにユニセフはどう取り組んでいるのか、みなさまのご支援のもと、ユニセフが実施している活動と子どもたちのようすをご紹介します。


エイズ孤児の保護

ユニセフは孤児の施設なども支援していますが、子どもたちはできる限り生まれ育ったコミュニティで育つのがよいと考え、コミュニティへの支援に力を注いでいます。親類あるいはコミュニティが一体となり、子どもたちを健康に育て、教育を受けさせられるように、栄養指導、食料支援、教育・職業訓練・基礎保健サービスなどの提供、学校での給食など、状況に合わせた幅広い支援が行われています。

←ジンバブエに暮らすユスティスさん(19歳、写真左)は、父母と姉をエイズで失ってから、自分の2人の子どもと3人のきょうだいの世話をしています。家族は、地元のNGOから食料支援を受け、ユニセフが支援する政府のプログラムから学校の費用が出されており、みな学校に通っています。


←並んで学校の給食をよそってもらう子どもたち(ジンバブエ)。干ばつによる食糧危機とHIV/エイズの惨禍に苦しむ南部アフリカの国ぐにでは、学校給食が子どもたちの栄養を支えています。また、給食があることで子どもたちを学校にとどめる効果もあります。


知識を広め、若者の感染を防ぐ

これからのエイズの拡大を防ぐためには新たな感染をなくさなければなりません。新たなHIV/エイズ感染者の半分以上は15〜24歳の若者です。ユニセフは、学校の授業や地域の若者のクラブ活動などにHIV/エイズを学ぶプログラムを導入したり、若者自身がメッセージを伝える側となって同じ世代の若者達に正しい知識や予防法などを教える活動などを支援しています。

←ラジオ番組でHIV/エイズについて話す2人の高校生(ボツワナ)。

←公立学校で開かれた都会の貧困地域や貧しい農村出身の若者向けのワークショップでHIV/エイズを学ぶ子どもたち(ブラジル)。ユニセフはNGOが公立学校と協力して実施しているこのプログラムを支援しています。


わたしはウセイナといいます。14歳です。ニジェールの首都ニアメに住んでいます。ガールスカウトをやっていて、12歳のとき、ユニセフが支援する“ピア・エデュケーション”の5日間のトレーニングを受けました。ほかに60人くらいがニジェールのいろんなところから来ていたけれど、わたしが最年少でした。今、わたしは、ほかの若い子たちに、HIV/エイズがどうやってうつって、どう防いだらいいのかを教えています。小人数のグループで話をします。話を聞いてくれる人は、わたしより年上のこともあります。17歳とか。エイズをこわがって愛し合わないなんて腰抜けさ、と言う人もいました。でも私の話を聞いたあとには、エイズが本当に大変な問題で、若い人たちが一番危ない目にあっているってことをわかってくれます。エイズと闘う一番いい方法は、若い人同士がこうして教えあうことだと思うんです。メッセージを伝えるときには、人気のあるラップを使ったりして楽しくやっています。


特に危険にさらされている子どもに支援の手を届ける

ストリートチルドレンや搾取の犠牲になっている子どもたちは、HIV感染の危険にさらされています。彼らを守り、感染を疑ったら、すぐに検査やカウンセリングを受けられるようにするなどの活動が行われています。

→搾取や虐待の犠牲になった子どもたちの保護センターで職業訓練を受ける少女たち(カンボジア)。センターでの検査で、HIVに感染していることがわかった子どももいますが、健康面でのケアも受けることができます。


母子感染を防ぎ、安価なエイズ治療薬へ道を

医学の進歩により、HIVに感染している母親でも抗レトロウイルス薬などの投薬を受け、出産や授乳の際に適当なケアを受けることで、赤ちゃんへの感染の危険を半分以下に減らせるといいます。また、投薬により感染から発病までの時間をずっと延ばすことができます。感染した親が、きちんと薬を飲むことができれば、より長く子どもの世話をし、ときには子どもを孤児にせずにすみます。
ユニセフは、妊娠したお母さんが保健サービスやHIV検査を受け、HIV感染している場合は、適当なケアを受けられるように支援しています。また、今年4月には、世界銀行やクリントン財団などと協力し、開発途上国で安価なエイズ治療薬が手に入れられるようにする取り組みを開始したと発表しました。

←ユニセフが支援するエイズ予防センターで血液検査をする保健員(ケニア)。ここでは無料でHIV検査を受けることができます。


ハリウッドスターもHIV/エイズとの闘いを応援

 2004年5月、ジャッキー・チェンさんがユニセフとUNAIDS(国連エイズ合同計画)により親善大使に任命され、カンボジアのHIV/エイズの状況を視察し、「本当にHIV/エイズを止めたい、犠牲者への差別をなくしたいと思いました。できることは何でもしたい」と話しました。ユニセフ親善大使をつとめるスーザン・サランドンさんらも、HIV/エイズ惨禍の著しい国々をまわり、HIV/エイズ拡大を食い止めようと訴えています。


←タンザニアでサランドンさんが出会ったレアさん(13歳、写真手前)は近親者をすべてエイズで失いました。泣きながら親を亡くした悲しみを歌った後、「私のような悲しい思いをしてほしくないから、この歌を歌い続けて、エイズのことを伝えたい」と話しました。


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