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日本ユニセフ協会

日本ユニセフ協会について

日本ユニセフ協会の主な活動—啓発・アドボカシー活動

日本ユニセフ協会が国内で展開する主要な活動の一つが、子どもに関する課題への理解を広げ、子どもの権利の実現に向けて取り組む、啓発・アドボカシー(政策提言)活動です。

1955年に始まったユニセフ学校募金のネットワークを通じた全国の学校への啓発活動に加え、90年代初頭からはユニセフ本部と連携し「子どもの権利条約」の日本政府による批准をはじめ、子どもの兵士、子どもの人身売買や商業的性的搾取をなくすキャンペーン等のアドボカシー活動を実施してきました。

現在は、こども基本法にも取り入れられた「子どもの権利条約」のさらなる普及と実施や、子どもの課題に焦点をあてたSDGs(持続可能な開発目標)の推進に向けて取り組んでいるほか、報告書「レポートカード16」が示した子どものウェルビーイング(幸福度)を中心におく考え方に基づいて、「子どもにやさしいまちづくり」、「子どもの権利を大切にする教育」を含め、子どもに身近なところから政策レベルまで、様々な活動を実施しています。

分野ごとの取り組み

子どもにやさしいまちづくり

市町村において子どもの権利条約を実現する、子どもが主体のまちづくりを推進しています。

子どもの権利を大切にする教育

学校現場における子どもの権利の理解と、権利が尊重される教育環境や学びを推進しています。

スポーツと子どもの権利

スポーツを通じた子どもの権利の実現を推進しています。

子どものウェルビーイング/子どもの貧困

報告書「レポートカード」が示す国際比較から見た日本の子どもの状況を詳しくお伝えしています。

暴力からの子どもの保護

子どもに対するあらゆる形態の暴力がなくなることを目指し、様々な活動を行っています。

インターネットと子ども

インターネットの恩恵を最大化しリスクを減らすため、子どもたちや業界団体等と協力しています。

災害と子ども

東日本大震災の経験を踏まえ、災害発生時にも子どもの権利が守られるための発信を続けています。

子どもの権利とビジネス

子どもの権利を尊重・推進するビジネスを推進しています。

子どもの参加・意見反映

子どもたちが参加しその意見が反映されるための様々な取り組みを行っています。

子育て支援に関する情報

ユニセフ報告書が示す日本の子育て支援策(育休制度等)の現状や、乳幼児期の大切さについてお伝えしています。

2023年の活動報告ハイライト

  • こども基本法・こども家庭庁誕生を応援

    国会議員への働きかけや情報提供、こども家庭庁準備室との連携、広報活動等を通して、こども基本法、こども家庭庁の誕生を応援しました。日本の子どもの幸福度(ウェルビーイング)の課題を提起し、子ども参加の重要性を伝えた「レポートカード16」は、国会でも何度も取り上げられこの動きを大きく後押ししました。

    6月のこども基本法とこども家庭庁設置法の採択直後、ラッセル事務局長の歓迎メッセージをこども政策担当大臣に届けました。また、いっそうの子どもの権利の推進に向け、こども政策担当大臣文部科学大臣宛に要望書を提出しました。10月、フルショフ事務局次長の来日時には、こども政策担当大臣を訪問し、直接歓迎のメッセージを伝えたほか、子ども政策の推進における今後の連携強化について協議しました。

  • 子ども参加の推進

    こども家庭庁準備室が進めていた、こども政策への子どもの意見反映の仕組み作りに、ユニセフ本部や各国ユニセフ協会の協力も得て、諸外国の事例を提供するなどして協力しました。「レポートカード16」は、報道でも継続して取り上げられ、NHKの「子どもの声を聴く」大型特別企画にもつながるなど、子ども参加の社会的気運を高めました。

  • 「子どもにやさしいまちづくり事業(CFCI)」に関する取り組み

    2021年に「ユニセフ日本型CFCI 実践自治体」として承認された5つの自治体によって、子どもにやさしいまちづくりの実践が進められました。6 月にこども環境学会との共催でオンラインフォーラムを開催。小児医学と子どもの権利の専門家を招き、CFCI 実践自治体の町長、市長などと共に、長期化するコロナ禍や変化の大きい社会で子どもたちが健全に育つ環境をどう守るか討論しました。フォーラムに参加した自治体向けに、10月にオンライン説明会を実施しました。

  • 子どもの権利を大切にする教育

    子どもたちの権利が尊重される教育環境や学びの推進に向け、ウェブサイト『子どもの権利が守られた学校・園づくり』を公開し、『ユニセフCRE実践記録 子どもの権利が守られた学級づくり「私たちの学級研修」をつくってみよう!』をまとめ、全国の学校・園に配布しました。子どもたちの自己肯定感の向上や多様性の尊重、意見表明などの課題の解決にもつながる活動として展開しています。

  • SDGs(持続可能な開発目標)の啓発と推進に関する取り組み

    SDGs 副教材『私たちがつくる持続可能な世界~SDGsをナビにして~』を全国の中学3年生に配布しました。17の目標、169のターゲット、「前文」および「宣言」の一部を子ども訳にして掲載した学習ウェブサイト「SDGs CLUB」の2022年度の閲覧数は約1,950万にのぼり、学校だけでなく企業等でも様々な資料等に引用や参考として活用されています。

  • 気候変動・環境問題と子ども

    5月、先進国の子どもの状況を比較するイノチェンティ研究所「レポートカード」シリーズの最新版、「レポートカード17:場所と空間-環境と子どもの幸福度」が公表されました。子どもにとって健全な環境をどれだけ提供しているかの順位で、日本は先進39カ国中13位でした。

    国連子どもの権利委員会に協力し、「子どもパブコメ2022」として、環境問題・気候変動に関する日本の子どもたちの声を募集し、寄せられた1500以上の意見を英訳して委員会に提出しました。日本を含む世界の子どもたちの声は委員会からも公表され、気候変動・環境問題に関する同委員会「一般的意見26」策定に生かされました。

  • 子どもに対する暴力をなくす

    政府の「子どもに対する暴力撲滅行動計画」および「子どもの性被害防止プラン」の実施に、引き続き関わっています。
    12月に民法が改正され、当協会が2010年、2021年に意見書を提出し訴えてきた内容に沿って、虐待を容認する可能性が長く指摘されてきた「懲戒権」の規定が削除されました。

  • 子どもの幸福度~「レポートカード16」

    2020年に発表した報告書「レポートカード16」で指摘された、日本の子どもの精神的幸福度(well-being)の低さは、政府「子供・若者育成支援推進大綱」(内閣府ホームページ)や「こども政策の新たな推進体制に関する基本方針」(内閣官房ホームページ)などに引用され、引き続き多くの報道でも取り上げられました。「子どもの幸福度」の考え方が広まってきています

  • 子ども政策への働きかけ

    11月に国内外の専門家や国会議員の参加を得てオンラインで開催した「日本子どもフォーラム」などを通じて、子どもの権利を基盤とする子ども施策や「子ども基本法」の実現を訴えました。ユニセフ事務局長からも、日本への期待を示すメッセージが寄せられました。「こども政策の新たな推進体制に関する基本方針」決定に先立つ有識者ヒアリング(内閣官房ホームページ)にも参加しました。

  • 子どもに対する暴力をなくす

    当協会が策定に参加し、8月に公表された「子どもに対する暴力撲滅行動計画」。その「子ども版」の作成にも協力しました。策定過程で子どもたちからの意見を募集した「子どもパブコメ」については、「令和3年度版子供若者白書」で、政策決定過程に子どもたちの意見が反映された事例として詳細に紹介されました。

  • 子ども参加の推進

    「日本子どもフォーラム」には子どもたちが参加したほか、事前に募集した子どもの声を登壇者に届けました。また、ユニセフが21カ国で実施した子ども・若者の意識調査「変わりゆく子ども時代プロジェクト」にも参加するなど、子どもの権利条約が重視する子ども参加の推進に努めました。

  • 「子どもにやさしいまちづくり事業」に関する取り組み

    ユニセフ「子どもにやさしいまちづくり事業(CFCI)」が6月に正式に開始されました。2年間のユニセフ日本型CFCIモデルの検証作業を成功裏に完了した5自治体(ニセコ町、安平町、富谷市、町田市、奈良市)は12月17日付でユニセフ日本型CFCI実践自治体として当協会CFCI委員会から承認を受け、覚書を締結しました。これは、「子どもにやさしいまち」の実現のために、ユニセフの基準に基づき、推奨される手法を実践していることを承認するものです。この承認期間は3年間で、各自治体は、子どもにやさしいまちの実現に向けて様々な取り組みを行います。

  • 子育て支援策比較レポート、ユニセフ「子どもの権利とスポーツの原則」

    6月に公表された、報告書「先進国の子育て支援の現状」について積極的に広報し、父親の育休制度がもっとも充実している一方で、育休取得が進んでいない日本の現状について、多くの報道で取り上げられました。

    競技団体等と連携して、引き続き「子どもの権利とスポーツの原則」の普及に努めました。

2018年12月 SDGs SDGs:誰も取り残さないために何をすべきか「日本の人間の安全保障」指標発表 都道府県別“人間の安全保障指数ランキング”発表
2018年11月 スポーツ ユニセフ 『子どもの権利とスポーツの原則』 発表
2018年9月 暴力・虐待 ユニセフ新たな報告書発表 学校における暴力やいじめ 世界の13歳~15歳の半数が経験
2018年8月 CSR ビジネスと人権に関する国別行動計画 ベースラインスタディで「子どもの権利」を明確に 日本ユニセフ協会 要望書提出
2018年6月 暴力・虐待 子どもに対する暴力をなくすために 「ソリューションズ・サミット」参加報告会
2018年2月 イベント Safer Internet Day 2018 シンポジウム
2017年12月 イベント 『世界子供白書2017 デジタル世界の子どもたち』発表会 開催報告
2017年12月 オンライン ユニセフ『世界子供白書2017 デジタル世界の子どもたち』発表
2017年11月 暴力・虐待 子どもに対する暴力報告書『すぐそこにある暴力』発表
2017年10月 暴力・虐待 公開セミナー「子どもに対する暴力をなくすために SDGsターゲット16.2の達成を目指して」
2017年7月 SDGs SDGsで見る日本の子どもの課題『レポートカード14』日本語版発表
2017年6月 SDGs 『レポートカード14 未来を築く:先進国の子どもたちと持続可能な開発目標(SDGs)』発表
2017年2月 イベント セーファーインターネットデー2017
2016年11月 CSR セミナーシリーズ「ビジネスで守る子どもの権利」報告書発表
2016年10月 SDGs SDGs実施指針に子どもの課題を 日本ユニセフ協会要望書提出
2016年5月 条約 「子どもの権利条約」を前面に児童福祉法が改正されました
2016年4月 貧困 ユニセフ報告書『子どもたちのための公平性』発表−先進国で広がる子どもたちの格差
2016年4月 条約 すべての子どもが"家庭"で暮らす社会の実現を「子どもの家庭養育推進官民協議会」発足
2015年6月 暴力・虐待 東アジア・太平洋地域の子どもへの暴力・虐待 経済的損失は年間2,090億ドル 地域GDPの2%
2015年5月 性的搾取 子どもたちが安心できる社会を 〜児童ポルノ単純所持罰則適用を前に
2014年9月 暴力・虐待 「子どもへの暴力は止められる」ユニセフ、名古屋で訴える
2014年9月 暴力・虐待 ユニセフ最新報告書を発表 世界で広がる子どもへの暴力 データで明らかになる事実
2014年6月 性的搾取 児童ポルノ「単純所持」の禁止を含む法改正が実現 ご支援・ご協力ありがとうございました

アドボカシー活動について

アドボカシー活動は、子どもたちへの支援に欠かせない、ユニセフの活動の柱の一つです。

例えば、ユニセフの活動の中で、最も成果をあげてきた活動のひとつである「予防接種」事業では、ワクチンや冷蔵庫といった物資調達・提供、ワクチンを国の隅々にまで届ける物流、そして、医療スタッフやボランティアへの研修などの人材育成が必要になります。一方で、幼い子どもたちが、確実かつ持続的に予防接種を受けるためには、支援対象国の政府の積極的な取り組みが不可欠です。予防接種を国の保健・医療施策の一つとして位置付け、さらに、予算も付けること。そうしたことを各国政府に働きかける活動も、アドボカシー活動です。

かつて、様々な支援活動が行われている開発途上国の現場を中心に展開されていたアドボカシー活動ですが、1980年代後半、この状況を大きく変える出来事がありました。地球上のすべての子どもを対象にした「子どもの権利条約」の誕生に向けた動きが進み、ユニセフは、世界33の国と地域のユニセフ協会(国内委員会)を含めたすべてのユニセフ・ファミリーによる各国政府への批准への働きかけ、つまり、アドボカシー活動を展開したのです。

「子どもの権利」は、"誰と誰の比較"の中で語られる問題ではなく、子どもたち"ひとりひとり"の問題です。先進工業国や地域の中にも、子どもたちを巡る様々な問題が山積しています。また、開発途上国の子どもたちを巡る様々な問題や国境をまたいだ諸問題の解決に向け、国際社会の共同歩調の必要性もますます高まっています。