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ユニセフの新戦略公平性のあるMDGsの達成を目指して
ユニセフは、2010年9月7日、ミレニアム開発目標に関する2冊の最新の報告書を発表。最も困難な立場に立たされている子どもたちやコミュニティーへの支援を最優先すれば、何百万人もの命を救うことができると訴え、ミレニアム開発目標(MDGs)の達成に向けて課題となっている「深まっている格差」の是正にも繋がると指摘しています。 この2冊の報告書、『目標達成のための格差の是正(Narrowing the Gaps to Meet the Goals)』と『子どもたちのための前進:公平性のあるMDGsの達成をめざして(Progress for Children: Achieving the MDGs with Equity)』は、また、ユニセフがまとめた最新の数値を紹介しています。 MDGs達成のための国際的な取り組みにより、これまでに、様々な分野で、大きな前進が見られました。しかし、目標達成期限の2015年までに成されなければならないことも数多く残されています。 例えば、命を左右する保健サービスを必要としている全ての人々に届けるために実施されている様々な活動の有効性(費用対効果)を比較した結果、最も貧しく最も困難な条件に置かれている子どもたちへの支援を行えば、より多くの命を救うことができることが明らかになりました。
「調査結果は、最も貧しく最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置くことは、費用効率が悪いとする従来の考え方に、異を唱えるものです。」「公平性に重点を置いた戦略は、『原理としての正しさ』という道徳的な面のみならず、『現実面での正しさ』というさらに魅力的な成果をもたらすものです」。ユニセフのアンソニー・レーク事務局長はこう語っています。 今回の調査に参加した多くの専門家たちは、この調査結果を、非常に重要なものとして評価しています。 「ユニセフの調査結果により、公平性に重点を置くことは有益であると同時に、効果的なものであると納得させられました。」と語るのは、世界的に有名なサセックス大学開発研究所のローレンス・ハダット所長。ハダット氏は、本調査の予備モデリングを担当した外部専門家作業グループのメンバーで、『開発の視野(Development Horizons)』というブログを開設していることでも知られています。 今回発表された主な調査結果:
『子どもたちのための前進』一方、MDGs達成状況を俯瞰する『子どもたちのための前進:公平性のあるMDGsの達成をめざして(Progress for Children: Achieving the MDGs with Equity)』※では、開発途上国と先進工業国の間や、一国内の最も豊かな20%の人口と最も貧しい20%の人口の間、農村部と都市部の間、そして男の子と女の子の間に存在する、下記に示すような様々な格差の問題が訴えられています。
今回のユニセフの報告書は、セーブ・ザ・チルドレンの『人生における公平な機会:子どもたちにとってなぜ公平性が重要なのか(A Fair Chance at Life: Why Equity Matters for Children)』と題した報告書と併せて発表されました。この報告書は、2015年までに5歳未満児の死亡率を1990年の水準の3分の1に削減するというMDGsの目標4に焦点を当てています。セーブ・ザ・チルドレンのこの報告書は、世界各国における豊かな人々とそうでない人々との間の子どもの生存に関する改善状況の格差について検証しています。この報告書も、不平等を削減しMDGsの目標4を達成するためには、取り残されたコミュニティーに援助の手を届けることが 鍵になると主張しています。 「ミレニアム宣言は、世界で最も困難な条件に置かれている人々の生活を改善することを目的としています」「私たちはこれらの調査結果が、私たちがMDGsを達成するために、そして、何百万人もの脆弱な子どもたちの生活を改善するために、私たちの力になってくれるものと考えています。」(レーク事務局長) 【前原外務大臣(当時)も共感】 この考え方に日本政府も賛同し、前原誠司外務大臣(当時)は9月22日、MDGs国連首脳会合ラウンドテーブル5において、「 『最脆弱層へ如何にして援助を届けるか』これは2015年までのMDGs達成のために避けることのできない課題です。 レークUNICEF事務局長の『下位20%層の解決なくして解決なし』との指摘は,問題の本質を見事に表しています。」と述べました。 http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/enzetsu/22/emhr_0922.html (外務省ホームページより) |