(財)日本ユニセフ協会

世界では毎日たくさんの赤ちゃんが誕生しています。

生まれたばかりの小さな命。
健康に幸せに育ってほしい、それはすべての親の願いであり、家族の願いであり、ユニセフの願いでもあります。

先日スーダンのダルフールにある避難民キャンプに行きました。150万人が家を追われ、苦難が続くスーダンにも大勢の赤ちゃんが生まれています。その赤ちゃんは1歳ほどでしたが、一目で深刻な栄養不良だとわかりました。母親の腕に重そうに頭をのせ、浅い息をしていました。母親は子どもの手を握り、「ワイエル、がんばって、元気になって」と呼びかけます。しかしうつろな目のまま、何の反応もありません。

母親のアイシャさんは、辛そうにこう話しました。

「ワイエルは生まれてからいつもお腹をすかせて泣いていました。お乳を飲ませてあげたくてもできませんでした。自分も食べるものがなく、母乳がでなかったからです」

ワイエルちゃんは、栄養不良のうえに、肺炎と下痢をおこしていて、水を飲ませても身体に吸収されず、そのまま排出されてしまいます。すぐに治療をしなければ命に関わる危険な状態でした。

開発途上国では、生まれてから1歳までに亡くなってしまう赤ちゃんは年間約700万人、5歳の誕生日を迎えられずに命を失ってしまう子どもは年間1100万人にものぼります。

しかし、そのほとんどは、ごく簡単な方法で、しかも低コストで、防ぐことができる病気です。みなさまのご支援とユニセフの活動によって、この悲惨な状況を変えていくことができるのです。

保健センターでワイエルちゃんの治療がはじまりました。主に抗生物質と栄養強化ミルク、ORS(経口補水塩)による治療です。経口補水療法はワイエルちゃんのように脱水症で衰弱した子どもをよみがえらせる素晴らしい方法です。ORSを安全な水に溶かして飲ませるだけで、身体に水分が補給され、瞳にはみるみる光がさし、笑顔さえ見せるようになります。そんな子どもたちの姿は、ぜひみなさまにもご覧いただきたい感動的な光景です。

また、みなさまもよくご存じの予防接種は、子どもたちを感染症から守る最良の方法です。すべての赤ちゃんに予防接種をするために、世界中で根気強い活動が続けられています。

ラオスで暮らすワンさんの最初の赤ちゃんは、生まれて1週間もしないうちに高熱とひきつけを起こして亡くなってしまいました。原因は破傷風です。出産の際に使われた器具が汚染されていたのです。2人目の子どもは百日ぜきの症状が続き、1ヶ月足らずでやはり亡くなってしまいました。

そうして3人目の子どもを授かったとき、ワンさんは、村にやってきた予防接種チームから、子どもを健康に育てるために予防接種や栄養がいかに大切かということを教えてもらいました。ワンさんは「今度こそ元気な子どもを育てよう」と決心しています。

どこの国に生まれても、すべての子どもが健康に育ってほしい、それは世界中の人々の願いだと信じています。その願いを実現するために、ユニセフは力を惜しまず活動します。

この世に生を受けた貴い命を、1100万人の1人にしないために、みなさまのお力をお貸しいただけないでしょうか?どうぞご支援をよろしくお願い申しあげます。

ユニセフ(国際連合児童基金)
事務局長 キャロル・ベラミー

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www.unicef.or.jp

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