(財)日本ユニセフ協会

子どもが元気になると、村も元気に

ユニセフ・コンゴ民主共和国事務所   釜土 真帆子

 カサイ郡ムクングル村にあるオンガラさんの一家は、今、新しい命を迎えようとしています。お母さんのブイさんはすでに4人の子どもを産んだ経験があります。

 元気な泣き声とともに、アジザちゃんは産まれました。「お祝いだ!元気で強い子を育てよう」とお父さんのジョアキムさんは誇らしげに言いました。

 この一家は、この2年の間に2人の子どもを亡くしていました。村は、干ばつや紛争の影響で荒れ果てています。「何とかしたい」それが、みんなの願いでした。

 希望はあります。実は、ブイさんは、この村のほかの多くの母親と同じに、ユニセフのコミュニティを基盤にした栄養プログラムを通じて、基礎保健や栄養についての研修を受けたのです。

 ブイさんは、生後6ヶ月間はアジザちゃんを母乳だけで育てようと実践しています。これだけで、アジザちゃんが生き延びる可能性が20%も増えるのです。ブイさんは、砂糖水などを飲ませると亡くなってしまう可能性が大きくなってしまうということも学びました。母乳に代わる完璧な食べ物は何もないのです。

 ブイさんは、母乳を使えば、村で使われている汚れた水で感染する病気も防ぐことができると知っています。ユニセフの栄養プログラムにはいろいろな側面があり、子どもを栄養不良から守るために、地域にあるものを利用したり、ネットワーク作りをしたりすることも含まれています。ブイさんは、栄養不良などを早く見つけるために、アジザちゃんを定期的に体重測定に連れてくるでしょう。また、プログラムでは、微少栄養素のことも、マラリアを防ぐために防虫加工した蚊帳を使うことも教わりました。アジザちゃんは、半年ごとに5歳未満児を対象としたビタミンAの補給も受けています。ビタミンAは、子どもの免疫を強め命を守る効果があります。オンガラさん一家は、村で始まったこのプログラムによって、将来を希望をもって考えられるようになりました。


 コンゴ民主共和国では、20%以上の子どもが5歳を迎える前に亡くなっています。肺炎などの急性呼吸器疾患、乳児の発育阻害、栄養不良による身体の変形などは日常的によく見られます。

 この栄養プログラムは各地に広がりつつあります。そして、そこで教えられていることが、様々な変化をもたらしつつあります。それは、コンゴ民主共和国の子どもたちの状況がよくなってきていることを意味しています。例えば、栄養プログラムが実施されている地域では、完全母乳育児の割合が7%から50%にまで増えています。

 しかし、紛争のために荒廃したこの国では、まだまだやらなければならないことがたくさんあります。

 皆様のご支援のおかげで、ユニセフは、栄養プログラムを国中のすべての郡に拡大し、さらに家族の健康を促進する取り組みを進めようとしています。1米ドルあれば、さらに5人の子どもにビタミンAを補給することができます。または、1米ドルでさらに30人の母親にブイさんが受けたような栄養・保健講習をすることができるのです。

 オンガラさん一家のように、かつて子どもの死や病気に悲しんだ家族が再びその悲しみを味わうことのないように、そして、すべての子どもたちのより健康で明るい未来を描けるように…。皆様とご一緒にこの目的に向かって頑張りたいと思います。

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