① 子どもからのサインは「言葉」だけではありません
おとなでも、「落ち込んでいる」「怒りがわいている」と言葉で気持ちを整理できることもあれば、身体のこわばりや眠りにくさ、なんとなくイライラする感じなどのこころの状態が、言葉にしにくい変化として表れることもあります。
子どもの場合は特に、「言葉でうまく説明できない気持ち」や、身体や行動の変化として、こころの状態が表れることが少なくありません。
私たちおとなは、子どもの言葉以外のサインにも目を向け、受け止めることが大切です。すべての気持ちを言葉にする必要はないと知ったうえで、子どもたちが気持ちを少しずつ言葉にしたり、人に伝えたりして、自分なりにととのえる力を育んでいけるよう支えていくことができます。
② 感情は「コントロールする対象」ではなく「サイン」
「泣かない子になる」「メンタルを強くする」など、すべての感情をコントロールできるようになることが目標ではありません。イライラ、しょんぼり、ドキドキ……。これらはすべて、「感情が動いている」という大切なメッセージです。こころの健康のケアは、今の自分の状態に「気づく」ことから始まります。子どもが抽象的な感情について話すのが難しいようなら、「お天気」や「色」に例えてみることで、自分のこころを“客観的に見つめる”きっかけを作ることができます。子どもと一緒に「これは何のサインなんだろう?」と関心を寄せていくことで、おとなは、子どもの感情のサインを一緒に探検する「伴走者」になることができます。
③ 感情はゆらぐもの、どんな気持ちも大事なもの
こころの調子は一定ではなく移り変わり、さまざまな感情が混ざることもあります。「まほうのはじまり」という歌では、気持ちは移り変わるものであることを、子どもがイメージしやすいようお天気で例えています。 一見ネガティブに感じられる感情も、実は生き延びるために大切な役割を持っています。例えば、「不安」は危険に気づくきっかけとして役立ち、「怒り」の元には大切なものを守りたいという願いがあるかもしれません。どんな感情も、あなたを助けるために湧き出てくる大切なもの。無理に「明るく元気」でいようとしなくていい。「どんな気持ちも大切。どんな気持ちを持つ自分も大切」という安心感を、まずは子どもたちに伝えていきたいと思います。
④ 自分を助ける「まほう」を学ぶ
それでも、不安や怒りなどの気持ちが大きくなりすぎると、暮らしに不便が生じることもあります。気持ちに飲み込まれそうなとき、実は、自分を落ち着かせる「まほう(セルフケア)」のタネを誰もが持っています。「深呼吸する」「お気に入りの歌を歌う」「やわらかいものを触る」「じっとする」…。特別なことではなく、普段から子どもがしていることの中にも、セルフケアのタネがあるかもしれません。新しい考え方をしてみたり、五感を使ったりすることなど、自分を心地よくする術はいくつもあると気づくこと。それを周りのおとなも知って、一緒に試行錯誤しながら学んでいけること。このプロセスが、子ども自身の中に、しんどいことがあっても「なんとかふんばれるかもしれない」と思える気持ちを育み、こころの安定につながります。
出典:Elmore, Amanda L., and Elizabeth Crouch. "The association of adverse childhood experiences with anxiety and depression for children and youth, 8 to 17 years of age." Academic pediatrics 20.5 (2020): 600-608.
典拠:Bethell, Christina, et al. "Positive childhood experiences and adult mental and relational health in a statewide sample: Associations across adverse childhood experiences levels." JAMA pediatrics 173.11 (2019): e193007.(https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6735495/#REF-POI190057)より制作