公益財団法人 日本ユニセフ協会
人や国の不平等をなくそう

人や国の不平等をなくそう

“世界中から不平等を減らそう”

たとえば、こんな問題が…

多くの国でかつてないほど格差が広がっています。2017年には、世界のもっとも豊かな1%の人が世界全体の富の約33%を持っていました。

多くの国でかつてないほど格差が広がっています。
2017年には、世界のもっとも豊かな1%の人が
世界全体の富の約33%を持っていました。

世界中で広がる格差

富と所得の格差が多くの国でかつてないほど拡大しています。2017年には世界人口のもっとも豊かな1%の人が持つ資産が世界全体の資産の約33%に相当し、もっとも貧しい25%の人が持つ資産の割合は10%にすぎませんでした。

もう少し分かりやすくしてみましょう。たとえば、世界を生徒40人の教室、世界全体の資産を40冊のノートとします。そうすると、以下のような割合でノートが配分されることになります。つまり、もっとも貧しい10人には4冊のノートしか配分されないことになります。

世界中で広がる格差

もっとも豊かな人のグループにはますます富が集まり、豊かな状況が固定化する傾向がある一方で、もっとも貧しい人たちのグループでは、子どもたちが量も質も不十分な食事しかとれなかったり、病気になっても病院にかかることができなかったり、学校に通うこともできなくなったりと、さまざまな困難に直面します。教育の機会を失えば、希望する仕事についてお金をかせぐことも難しくなり、貧しい生活からぬけ出せず、その人の子どもの世代にも苦しい生活が受け継がれてしまうことになります。

目標10のターゲット

「10-1」のように数字で示されるものは、それぞれの項目の達成目標を示しています
「10-a」のようにアルファベットで示されるものは、実現のための方法を示しています

  • 10-1

    2030年までに、各国のなかで所得の低いほうから40%の人びとの所得の増え方が、国全体の平均を上回るようにして、そのペースを保つ。

    ※所得:お給料など働いて得るお金や、持っている資産からの収入など。

  • 10-2

    2030年までに、年齢、性別、障がい、人種、民族、生まれ、宗教、経済状態などにかかわらず、すべての人が、能力を高め、社会的、経済的、政治的に取り残されないようにすすめる。

  • 10-3

    差別的な法律、政策やならわしをなくし、適切な法律や政策、行動をすすめることなどによって、人びとが平等な機会(チャンス)をもてるようにし、人びとが得る結果(たとえば所得など)についての格差を減らす

    差別的な法律、政策やならわしをなくし、適切な法律や政策、行動をすすめることなどによって、人びとが平等な機会(チャンス)をもてるようにし、人びとが得る結果(たとえば所得など)についての格差を減らす。
  • 10-4

    財政、賃金、社会保障などに関する政策をとることによって、だんだんと、より大きな平等を達成していく。

  • 10-5

    世界の金融市場と金融機関に対するルールと、ルールが守られているか監視するシステムをより良いものにして、ルールが、よりしっかりと実行されるようにする。

    世界の金融市場と金融機関に対するルールと、ルールが守られているか監視するシステムをより良いものにして、ルールが、よりしっかりと実行されるようにする。
  • 10-6

    世界経済や金融制度について何か決めるときに、開発途上国の参加や発言を増やすことによって、より効果的で、信頼できる、だれもが納得することのできる制度を作る。

  • 10-7

    計画にもとづいてよく管理された移住に関する政策を実施するなどして、混乱がなく安全で、手続きにしたがい責任ある形の移住や人びとの移動をすすめる。

    計画にもとづいてよく管理された移住に関する政策を実施するなどして、混乱がなく安全で、手続きにしたがい責任ある形の移住や人びとの移動をすすめる。
  • 10-a

    開発途上国、特にもっとも開発が遅れている国ぐにに対して、世界貿易機関(WTO)協定にしたがって、貿易において、特別な、先進国と異なる扱いをする

    ※先進国に安く輸出したり、国内産業を守るために輸入品に高い関税をかけるなど

  • 10-b

    もっとも開発が遅れている国や、アフリカ諸国、開発途上の小さい島国、内陸の開発途上国などの、もっとも資金を必要とする国ぐにへ、それらの国の計画にそって、政府開発援助や直接投資などの資金が流れるようにする

    ※政府開発援助(ODA):先進国の政府などが、開発途上国の経済や社会の発展、福祉の向上に役立つために、資金・技術を提供すること。

  • 10-c

    2030年までに、移住労働者が、自分の国にお金を送る時にかかる費用が「送る金額の3%」より低くなるようにし、「送る金額の5%」を超えるような費用がかかる送金方法をなくす。

    ※移住労働者:開発途上国から出稼ぎに出ている人など、母国をはなれて外国に出て働いている人

もっと深めよう!世界にあるこんな問題

ひとつの国の中にもある格差

国によって、その豊かさに差があることは知られていますが、ひとつの国の中にも、格差があります。SDGsではその問題にも触れています。

都市部と農村部の差

都市部と農村部の差

極度に貧しい人の割合は、都市部で5.3%であるのに対し、農村部で17.2%と、3倍以上の差があります。

平均すると見えなくなる格差

以下のブラジルの地図は、SDGsが採択される前のMDGs(ミレニアム開発目標)で定められた、「1990年から2015年までに、5歳未満の子どもの死亡率を3分の2引き下げる」という目標の達成割合を示しています。

平均すると見えなくなる格差
  • 国全体の平均 (緑だ、目標達成!)

  • 州レベルで見たとき(あれ、黄色や赤色の州がある。目標達成できていない州があるのかな?)

  • 市町村レベルの自治体で見たとき(うわ、ほとんど赤くなっちゃった!)

この地図は、ブラジル政府保健省による2008年データによるもので、5歳未満児の死亡率は、国レベルでみると、1000出生中、1.0〜17.5人(緑色)と、目標を達成し、良い結果のようにみえます。でもこれは、首都ブラジリアや、リオデジャネイロ、サンパウロなど、人口の多い大都市が非常に良い数値となっており、国の平均を引き上げていたのです。細かく見ていくと、場所によってかなり差があり、さらに取り組みを強化していかなければならない地域が明らかになってきます。

「誰ひとり取り残さない」ことを目指すSDGs。「平均」から取り残されてしまう人がいないように、気を付けて細かくデータをとったり、特に厳しい人に支援が届くような活動を考えたりすることが大切です。

大変な時の助け舟、「社会保障」が届かない人びと

病気やけが、障がい、失業、老齢など、自分の努力だけでは解決できないようなことがあり、自分の力で生活をしていくことが難しくなってしまうこともあります。生活をしていくことが難しくなったりしたときに、必要なお金を支給したりして、最低限の生活を営むことができるようにするのが、社会保障の役割です。社会保障は、大変な時の助け舟、セーフティーネットの役割をもっていて、人々の基本的人権を守ります。

社会保障は、年金、医療、介護、子ども・子育てなどの分野に分けられ、日本では国の一般会計歳出の約3分の1を占める支出項目となっています。(財務省ホームページ「増大する社会保障とは何か」

しかし、世界を見渡してみると、社会保障制度がない国もあります。どれくらいの人が社会保障で守られているのでしょう?

大変な時の助け舟、「社会保障」が届かない人びと

社会保障給付を受けられる子どもの割合は、35%。つまり「家族の収入がなくなったりして生活していけなくなったときに、政府が手助けをしてくれる制度がある国」に住んでいるのは、世界中の子どものうち、3人にひとり、ということになります。3人のうち2人は「どんな困った状況になっても、政府が手助けをしてくれる制度がない国」に暮らしています。また、社会保障がある国でも、国の財政がきびしいために、子どもへの給付額を減らしている国もあります。

社会保障や子どもへの手当があれば、子どもたちは栄養をとれたり、保健や医療を受けられたり、学校へ通ったり、働かなくてもすむようになったりします。すべての子どもを対象にした社会保障制度が早く作られ、しっかり実施されていくことが大切です。

移民の人たちを守る政策がある国とない国

外国に移り住んで生活をする人(移民)について、多くの国にその人びとを守る政策がありますが、その内容は十分ではありません。データがある105カ国で比較してみると、移民の権利や社会・経済面での福祉までカバーする政策のある国は6割未満です。

移民の人たちを守る政策がある国とない国

移民や人びとの国境を越えた移動は、世界の経済の活性化、開発途上国の生活の向上にもつながっています。世界銀行によると、2018年に移民が母国に送金した額は6890億ドル(約64兆7900億円)にのぼり、そのうち約77%にあたる5290億ドル(約58兆1900億円)は、開発途上国あてだったと見積もられています。

多くの国で、移民は、危険がともなう仕事、体力的にきつい仕事など、なかなか人がやりたがらない仕事を引き受けています。しかし、しばしば、不当に安い給料で働かされたり、暴力や人身売買の被害にあったりしています。移民を守るための政策がないために、こうした人権侵害にあっても、それを訴えたり、改善してもらったりすることができないという現実があるのです。

外国へ出かせぎに出る人はどんな危険な目にあうのだろう

「学ぶチャンス」の格差

特に開発途上国において、障がいのある子どもとない子どもでは、学ぶチャンスに大きな差があります。

中学校に通う年齢の子どものうち、学校に通っていない子どもの割合

中学校に通う年齢の子どものうち、学校に通っていない子どもの割合

たとえば、エチオピアの農村部では、障がいのない子どもの47%が中学校に通えません。一方、障がいのある子どもで見てみると、約98%が通えません。

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