メニューをスキップ
財団法人日本ユニセフ協会

ライブラリー 報告会レポート

ジャコモ・ピロッツィ氏特別講演会
東日本大震災緊急・復興支援活動報告会

≪第二部≫ 東日本大震災・緊急支援活動報告会
【報告】 日本ユニセフ協会 緊急支援本部
プログラムコーディネーター 菊川 穣

今回の支援に関しての全体のコーディネータを務めております。当協会の被災地での活動は、お手元にお配りした6カ月レポートに、ほとんどが網羅されておりますので、そちらをご覧ください。皆様にはこの機会に、写真をご覧いただきながら、レポートには盛り込めなかった、支援実施のいきさつをお話します。

最初に、水を3月19日に宮城の方に運ぶ支援をしました。ガソリンが全くなく、物流関係もすでに予定が埋まっており、支援物資を現地に届けるために、非常に苦労しました。そこで、埼玉にある小さな運送会社さんをご紹介いただきまして、なんとかお願いすることができました。最初に協力を実現化できたことだったと記憶しております。

避難所にぬいぐるみなどを配布しました。非常に評判が良かったです。初期の段階でおもちゃを支援したことを、評価されました。水もない、ガソリンもない、寒いような状態で、こんなときにおもちゃか、という反応もありました。子どもたちが日常に戻れるように、ひとときの安息につながるように、今だからこそおもちゃを支援したいというユニセフの気持ちを、宮城県教育委員会さんが、「そうですね、今こそ避難所におもちゃを届けましょう」と言ってくださった時には感激いたしました。さらに、現場へは我々とも長年関係の深い生協さんが、自分たちの支援物資と一緒に現地に届けてくださいました。

BTSキャンペーンで、学校再開までの準備をしました。リュックはコペンハーゲンから届いたのですが、ユニセフの県協会の皆様がボランティアとして文具などの袋詰め作業をお手伝いいただきました。

非常に大きな余震が続いていましたが、女川町教育委員会、学校関係者が、何がなんでもやると、4日遅れで再開しました。子どもたちのことを考えていてくれるおとながいる限り、子どもたちの未来は明るいなと思いました。

これは岩手の様子ですが、ボランティアの方が袋詰めしてくださったものを配布いたしました。

大槌保育園が我々の支援で園舎の再建を行いました。6月1日に再開を果たしたわけですが、我々の支援のなかで、園舎再建プロジェクトの第一号となりました。福島県いわき市の三宝保育園さんから電話がありまして、ユニセフの大槌保育園再建のニュースを見ました、我々の保育園へもご支援いただけないかという話があり、7月の始めごろ私も現地へ行きました。いわきは幸い、避難地域には指定されていないのですが、原発から35キロほど離れている地域です。津波の被害はありませんが、園舎の損壊がひどく、市からも建物を使用しないようにという指導がありました。大きなひびが入ったその建物の中に、80人くらいの子どもが2部屋にすし詰めになって保育されていました。そのまま建物を使用するのは大変危険なので、仮設を作ろうという話は出ているものの、資金面の工面ができず、当協会に電話をくださったようでした。我々と仮設を建設する話を進めているなかで、いわき市内では線量が比較的高い地域でもありますので、市が急遽園庭の土を入れ替えましょうということもありました。今は仮設での保育が再開しまして、11月14日現在、94人の子どもたちが元気に通っています。全体で福島の人口が減っているなかでも、いわき市に関しては、ほぼ同じが増えつつあるということで、今後も保育園への需要が増えると考えられます。

これは、ちっちゃな絵本プロジェクトのものです。絵本を被災地の子どもたちに送るといった活動ですが、本の力が大きいと感じさせられたプロジェクトでした。

これは給食に関する支援での写真です。女川のものです。給食というのは、非常に重要なものですので、当協会でも支援をしたいと思っておりました。

女川での乳幼児健診再開の様子の写真です。日本では当たり前のことですが、今回被災地では何ヶ月も中断しておりました。もちろん子どもたちを医師に見てもらうということのほかに、お母さん方のコミュニケーションの場所としても大切だとされています。

福島でのバスの遠足の様子の写真です。外で自由に遊べないというなかで、子どもたちに外でのびのびと遊ぶことができるチャンスを作ろうという企画です。福島、郡山にある幼稚園・保育園の子どもたちが8割参加しました。

岩手の高校総体への支援の様子です。体育を通じた支援より、もっと他にできることがあるのではないという声もありましたが、こういったときだからこそ、スポーツのイベントは、家庭や学校の負担で実施されていますので、県の中高の体育連盟から要望もあり、被災地の子どもたちも他の地域の子どもたちと同じように参加してもらいたいと思い、ユニセフとして支援することにしました。大槌は相撲が盛んで、非常に印象的だったのですが、その様子をインターネットで配信したりもしました。

これは福島の避難所でお母さんたちが集まって、子どもたちは保育士さんに遊んでいただき、お母さんたちは心理士さんにお話を聞いてもらうなどの活動をしました。地元の専門家の方の子育てのアドバイスは、どんな方のアドバイスよりも信頼されているのだなと思いました。

TEGAMIプロジェクトという活動も行われています。海外から寄せられた応援のお手紙を、現地へ届けてお返事を書いてもらうということも行っております。また、今回は10億円以上、海外から温かい支援をお寄せいただきました。ソマリアの國井というユニセフのスタッフが宮城でフィールドマネージャーとして2ヶ月活動してくれたのですが、彼が日本に行くときに今世紀最悪という飢饉が起こっている中で、困難な状況にあるソマリア人の同僚たちが「今おまえがここに居る場合じゃないだろう。日本で必要とされているのではないか。ソマリアのことは自分達で頑張るから。」と言われたと、何度も語っていたのが印象的でした。また、私も、海外のユニセフの元同僚たちが、小額だけどお金を集めて送ってくれたり、教会で日本のために特別なミサをしていると、励ましてくれました。この手紙プロジェクトで私が訪問した学校の子どもたちは、そのうちの数名はまだ仮設住宅で生活しているというなかで、リサイクル活動で集めたお金を、世界の子どもたちのためにとユニセフ募金を私に託してくれました。

今、仮設住宅の前に大槌の公園の整備をしているのですが、公園に置く遊具のアイデアを子どもたちが出し合っているところです。こういった子ども参加型のワークショップも支援させていただいております。

これは、相馬市の教育委員会の主催で、相馬市議会場で行った、震災後の子どもたちの思いや、相馬市の復興に考えることを発表するイベントの様子です。相馬市は、ふるさと相馬子ども復興会議というのをこの先5年間活動をしていくことも表明しています。こういった子どもたちの声を復興街づくりに反映させる、という活動を今後も応援していきたいと思っています。

主役は、そこに住む地元の人たちです。ユニセフがやりたいということより、そこに住んでいる人たちや子どもたちが本当に必要としているものやことを、最も大切にしています。これからも支援を続けてまいります。引き続き、皆様のご協力をお願いいたします。

写真クレジット全て:© 日本ユニセフ協会

プログラム »
写真家 ジャコモ・ピロッツィ氏の講演レポート »
大槌保育園 園長 八木澤 弓美子氏の講演レポート »

トップページへコーナートップへ戻る先頭に戻る