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公益財団法人日本ユニセフ協会

ジンバブエ:充電式補聴器“ソーラーイヤー”
太陽の力で聴覚障がいのある人の生活を変える
ユニセフ・イノベーション

【2014年11月20日 ジンバブエ発】

光り輝く太陽の下、17歳のタピワ・ティシさんが庭に座って恋愛小説を読みながら、“ソーラーイヤー”の充電がいっぱいになるのを待っています。

このソーラーイヤーと呼ばれる世界初の小さな充電式補聴器が、タピワさんの生活を大きく変えました。

聴覚障がいのある子どもたち

「11歳のときに初めて補聴器を使いました。きちんと聞こえるようになって、とても嬉しかったです。でも、電池がなくなると、また聞こえなくなってしまうのです」

学校の宿題をするタピワさん。(17歳)
© UNICEF video
学校の宿題をするタピワさん。(17歳)

ジンバブエでは、多くの子どもたちが聴覚障がいに苦しんでいます。タピワさんも、ソーラーイヤーを使う前は、学校で苦労したといいます。タピワさんは教室で一番前の席に座っても、先生の話していることがよく聞こえず、小学校の頃はよく落第していました。ただ補聴器のための新しい電池を買うことができないというだけで、タピワさんのような多くの聴覚障がいのある子どもたちが、学校での勉強や活動への参加に壁を感じています。なかには、退学してしまう子どももいます。

「電池かパンかという選択を強いられたら、無理もありません」と、Deaftronics社の事業本部長で、ソーラーイヤーを開発したテェンデキエイ・カシンガ氏が語ります。「ほとんどの聴覚障がいのある子どもたちが、読むこともできませんでした。すべてにおいて、取り残された存在だったのです」

太陽光を使った充電式補聴器、ソーラーイヤー

補聴器を使って授業を受ける子ども。
© UNICEF video
補聴器を使って授業を受ける子ども。

Deaftronics社は電気の安定した供給がないコミュニティの人々のため、2、3年繰り返し使用可能な充電器を開発しました。この太陽光を利用した充電器は、太陽光だけでなく、家庭用照明や携帯電話用充電器でも充電が可能です。充電器と充電池、補聴器が入った低コストのソーラーイヤーセットも製造されています。

現在ジンバブエでは、ムタレにある聴覚障がい児センターやNGO団体を通して、2,000以上のソーラーイヤーが配布されています。カシンガさんは聴覚障がいのある子どもたちも学校で授業を受け、学び続けることができるようにするため、このセンターに技術提供をするなどして協力しています。

今日、この低コスト技術が多くの子どもたちのもとに届いています。現在アフリカの40カ国以上で販売され、アフリカだけで1万以上のソーラーイヤーが使用されています。また、Deaftronics社はブラジルやヨルダンなどで技術訓練も行っています。

「聴覚障がいのある人たちの役に立つ革新的な技術で、ジンバブエがアフリカの知識の中心になることが目標です」(カシンガさん)

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