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公益財団法人日本ユニセフ協会
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シリア緊急募金 第162報
シリア危機のもうひとつの側面
過酷な児童労働の増加に警鐘
ユニセフ、国際NGOとの共同報告書発表

【2015年7月2日 アンマン(ヨルダン)発】

ユニセフ(国連児童基金)は、本日、国際NGOのセーブ・ザ・チルドレンと共同で、シリア危機の影響で増え続ける児童労働の問題についてまとめた報告書『小さな手の上の重い荷物(Small Hands Heavy Burden)』を発表しました。

紛争で過酷な児童労働が増加

武力紛争が始まる以前のシリアは中間所得国であり、人々は十分な生活を営み、ほとんどの子どもが学校に通い、国民の識字率は90%を超えていました。しかし、4年半におよぶ紛争は400万人近い難民と760万人の国内避難民を生み出し、シリア国民の5人に4人が貧困状態の中で暮らしています。2011年に14.9%だった失業率は、2014年末時点で57.7%まで上昇しました。その結果、シリア国内や周辺国では、多くの子どもが生きていくために労働に従事せざるを得ない状況が生まれています。

燃料工場で働く13歳のシリアの男の子。
© UNICEF/NYHQ2013-0704/Diffidenti
燃料工場で働く13歳のシリアの男の子。

報告書は、ヨルダンに逃れているシリア難民の子どもの47%が、家計の一部もしくはすべてを背負っており、レバノンではわずか6歳の子どもも労働を強いられていると指摘しています。また、兵士としての徴用や性的搾取などの最悪の形態の労働を含め、劣悪な環境での長時間労働など、子どもたちが身体的、精神的に大きなダメージを受ける危険な労働に巻き込まれていると報告しています。シリア国内では、国境付近での密輸や石油の販売に子どもたちが使われていたり、9歳から16歳の子どもたちが非常に安い賃金で1日12時間の労働を強制されていたことも分かりました。紛争以前は出稼ぎ労働者に5時間で10米ドル支払っていたレバノンの農場が、現在1日中働いた子どもに支払っている賃金は4米ドルです。従順でおとなよりもはるかに低賃金で働かせることができる子どもたちは、紛争の陰で、搾取的な労働の危険に晒されています。

ユニセフは、搾取的な児童労働の広がりは、シリア危機において非常に深刻な問題になりつつあると危惧すると同時に、シリアの子どもたちを“失われた世代”にしないために、生活再建への投資、子どもの保護システムの確立、教育の提供などを通じて、児童労働の根絶に取り組むことを国際社会に呼びかけています。

<主なファクト>

家計を助けるために働くヨルダンに身を寄せる12歳のシリア難民の男の子。
© UNICEF/NYHQ2014-2080/Lyon
家計を助けるために働くヨルダンに身を寄せる12歳のシリア難民の男の子。
  • ヨルダンでは、調査したシリア難民の家庭のおよそ半数で、子どもが家計の一部もしくはすべてを担っている。
  • 現在子どもを雇用しているヨルダンの雇用者の84%が、紛争前は子どもを雇用していなかった。
  • ヨルダンの農場で働く子どもの5人に1人は12歳未満。
  • シリア国内では9歳程度の幼い子どもが危険な肉体労働を強いられており、トルコではわずか8歳、レバノンでは6歳のシリア難民の子どもが働かされている。
  • イラクでは、シリア難民の子どもの3人に1人が、武装勢力に誘われたことがある。
  • ヨルダンのザータリ難民キャンプで暮らしている、仕事をもった子どもの75%が、怪我や病気など健康に問題を抱えている。

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