
セブラ・セイドウさんは、コートジボアールの首都アビジャンにあるアボボ・ケネディ診療所にやってきました。彼女はすでに産気づいていました。
セイドウさんがこの診療所を訪れるのは、これで2回目です。
セイドウさんには出生前の定期検査や医師との診察にかかる費用を支払う余裕がなかったのです。
セイドウさんがこの診療所を訪れたのは、政府が無償で破傷風予防接種を実施した時のことでした。それ以来、まさに赤ちゃんが生まれようとするこの瞬間まで、一度も診療所を訪れることはありませんでしたが、破傷風の予防接種を1回でも受けていたことで、セイドウさんは母子が破傷風に感染するリスクを低めることができました。
しかし、さらにリスクを低くするために、予防接種を合計3回受ける必要があります。
分娩がはじまりました。助産師さんのバーナデット・カハさんは、母子が破傷風で命を落とすことがないように、破傷風の免疫血清をセイドウさんに投与しました。
バーナデット・カハさんは言います。
「赤ちゃんとお母さんが出産時に命を落とすことがないように、破傷風の予防接種を受けることは極めて重要です。出産後、セイドウさんには3回目の予防接種を受けるようアドバイスしました。」
不衛生な出産が赤ちゃんの命を奪う
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出産前に破傷風の予防接種を受けたセブラ・セイドウさんは元気な赤ちゃんを産みました
破傷風が原因で亡くなる新生児の数は、世界中の新生児死亡数の7パーセントを占めています。
しかし、コートジボアールで破傷風の定期予防接種を受ける人の割合は、依然として低いままです。
細菌は汚れた場所で繁殖し、さらに不衛生な状況で出産することによって新生児に感染する可能性があるのです。
コードジボアール政府保健省のママドウ・ケイタアボボ東部地域代表は話します。
「母親と子どもが家に戻ったとき、家族は、傷口を清潔にする方法として、すりつぶした葉と炭などを混ぜ、へその緒に塗布します。この方法が衛生的であるはずがありません。」
ワクチンキャンペーン
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破傷風予防接種キャンペーンで、破傷風の予防接種がコートジボワールの500万人以上の出産年齢の女性を対象に無償で提供されました。
この問題に取り組むため、ユニセフは、コートジボアール政府や、その他のパートナー機関と協力して破傷風予防接種キャンペーンを全国規模で実施しています。
これまでに、500万人以上の女性が無償で破傷風の予防接種を受けることができました。
「はじめはたくさんの人たちが予防接種に反対していました。」
助産師になるための勉強をしているアワ・コンさんは振り返ります。
「当初、人々は怖がっていました。けれど次第に、『予防接種は怖くない』という声が広がっていったのです。今では、みんなが追加の予防接種を受けにやってきます。」
コートジボアールの全ての地域に支援を届けるため、複雑な物資の流通計画も必要です。
「ワクチンは保冷庫に入れられ、その保冷庫は冷蔵トラックで各地へ運ばれます。
そして、地域の保健センターや保健施設に分配されるのです。」
公衆衛生研究所のアンヘル・ニアマ物流担当官は話します。
破傷風の根絶を目指して
コートジボアールの新生児死亡率は、出生1000人あたり93人。
妊産婦死亡率は、出生10万人あたり810人です。
破傷風、はしか、ポリオのような病気は生涯続く麻痺を引き起こし、時には死に至らしめることもあります。これらの病気に対する定期予防接種は、コートジボアール政府の保健や開発に関する政策の一環として、年間を通して続けられます。
「コートジボアールは、破傷風の発症率が高い世界39カ国のうちのひとつです。」
ユニセフ・コートジボアール事務所のマアリト・ヒルヴォネン代表は話します。
「破傷風予防接種キャンペーンの実施を通して、2010年までにコートジボアールで破傷風の根絶を達成することを目指しています。」