子どもが感じる不安は、予防することも対処することもできます

子どもが、友だち関係や人前での発表、試験などについて心配したり、不安を感じたりするのは自然なことです。しかし、心配や不安が長く続き、日常生活に支障をきたすような場合は、適切な対応が必要です。

不安とは
不安とは、何かについて心配したり、怖いと感じたりするときに生じる感情です。誰にでも起こる、恐れやパニックといったごく自然な反応なのです。通常は時間が経つと落ち着き、気持ちも元に戻っていきます。
少々の心配や恐れは、私たちを安全に保ち危険から守る役割を果たすこともあります。しかし、強い不安にかられると、物事が実際よりも悪く見えてしまい、押しつぶされそうに感じたりします。心配が繰り返されると、不安が長引き慢性的な状態になることもあります。
不安が原因でお子さんが好きなことをできなくなったり、本来はストレスの少ない状況でも心配になったり、パニックになることがある場合は、気持ちが楽になるよう支援を受けることが重要です。
不安の原因
不安の正確な原因を特定することは難しい場合があります。ストレスのある状況に直面すると、脳は「何かがおかしい」「対処しなければならない」と警鐘を鳴らします。困難な状況から逃れるために、脳は警戒心を高め、他のことを考えないようにし、逃げられるように脚の血流を増やすことさえあります。
子ども・10代の若者の不安
子どもが不安を感じることは、年齢によってさまざまです。その多くは成長過程における自然な反応の一環です。
生後6カ月あたりから3歳ごろまでは、親や養育者などと離れることに不安を感じる「分離不安」が非常によく見られます。親や養育者と離されると、しがみついたり泣いたりすることがあります。これは成長の過程で見られる正常な反応で、通常は2〜3歳ごろまでには落ち着きます。
就学前の子どもには、動物、虫、嵐、高所、水、血、暗闇など、特定の物事に対する強い恐れや恐怖症が現れることもよくあります。これらも、通常、時間とともに自然に薄れていきます。
新しい学校に通い始めるときや試験を受ける前に不安を感じる子どもも少なくありません。また、人が集まる場で気おくれする子どももいます。
こうした一般的な恐怖や不安が成長とともに薄れずに、学校や家庭、遊びに支障をきたす場合には、メンタルヘルスの専門家から支援を受ける必要があるかもしれません。
メンタルヘルスの状態を診断ができるのは医師か専門家だけであることを忘れないようにしてください。お子さんについて心配がある場合は、ためらわずに医療関係者に相談してください。

不安の兆候と症状
不安の症状は、複雑な場合があり、時間が経ってから現れることもあります。一般的に、不安には以下のような兆候や症状が見られます。
身体的な兆候や症状
・ 息切れ、頭痛、めまい
・ 動悸、時に血圧の上昇
・ そわそわする、震える、足に力が入らない感じがする
・ けいれん、下痢、トイレが近くなるなど、おなかの不調
・ 睡眠の問題や、食欲の低下
・ 口の渇き、過度の発汗、ほてり
感情や精神的な兆候や症状
・ 集中しづらい、集中力が続かない
・ パニックになる、不安を感じる、緊張する
・ 押しつぶされそうな気持ちになる、強い恐れを感じる
・ 状況をコントロールできない感覚
・ 疲れやすくなる、機嫌が悪くなる
不安の感じ方は人それぞれです。同じ状況でも、不安を強く感じる人もいれば、そうでない人もいます。
不安を抱える子どもには、親や養育者に安心させてもらうよう繰り返し求める傾向があります。また、静かに周囲の期待に応えようとする様子を見せることも少なくないため、不安を抱えていることを見逃してしまう場合もあります。不安のサインに注意し、必要であれば早めに専門家の助けを求めましょう。

不安への対処を助ける方法
お子さんが不安を感じているとき、まずできることの一つは「その気持ちはずっと続くわけではない」と伝えることです。そうすることでお子さんは安心し、不安が和らぎます。さらに、不安に向き合いより落ち着いて備えられるように、できることがいくつかあります。
その気持ちに一緒に向き合う
お子さん自身に、不安を感じたときの状況や、今どんな気持ちなのか、その気持ちがどれくらい続いているのか、その理由は何か、などに目を向けてもらい、それを話してもらいましょう。自分の気持ちをよく理解し、安心すればするほど、不安をコントロールしやすくなります。
意識を切り替える
自分の気持ちをコントロールできずに不安でいる子どもは「なぜこうなるの?」「どうして自分だけ?」と答えの出ない問いを自分に投げかけがちです。「夕食は何が食べたい?」など、「今ここ」に意識を向けられる質問をすることで、主体性をもたせ、目の前のことに集中させることができるでしょう。
健康的な習慣を支える
長時間不安を感じていると疲れやすくなります。睡眠と食事は、不安の軽減に大きく役立ちます。専門家によると、6〜12歳には9〜12時間、思春期の若者には8〜10時間の睡眠が推奨されています。睡眠を守るため、夜間のスマホやパソコンの使用時間を減らし、デジタル機器を寝室に置かないようにしましょう。
五感を使うよう促す
五感を使うことはパニックや不安、ストレスに対処する強力な手段です。次の方法で、お子さんが五感を使うよう促してみてください。
1. 楽な姿勢で座り、ゆっくりと息を吸ったり吐いたりします。
2. 次に、不快や不安な気分にならないものを、以下の通り挙げてもらいます。
・ 見えるものを4つ
・ 聞こえるもの3つ
・ 匂いがするもの2つ
・ 味わえるもの1つ
腹式呼吸の練習
不安な時は呼吸が浅くなり、胸の上の方だけで呼吸しがちです。腹式呼吸は落ち着きをもたらし、肺の奥まで酸素を取り込む助けになります。次の簡単な3つのステップを5回繰り返しましょう。
1. お腹に手を置きます
2. 5秒かけて鼻から息を吸います(お腹を風船のようにふくらませるイメージで)
3. 5秒かけて口から息を吐きます(風船をゆっくりしぼませるイメージで)

専門家に相談すべきとき
不安の症状が日常生活に大きく影響を及ぼしている場合、専門家の支援を求めてください。医療機関では、症状を正しく診断し、適切な治療について助言できるメンタルヘルスの専門家を紹介してもらうことができます。カウンセリングや対話療法では、訓練を受けた専門家が子どもたちの話を聞き取り、適切な対処法をアドバイスしてくれます。
親として知っておいていただきたい大切なことは、お子さんの不安は、あなたの育て方のせいで起きているわけではないし、あなたの注意を引くためにわざと不安な態度を見せているわけでもないということです。お子さんが置かれている状況は深刻でストレスは大きいものかもしれませんが、あなたが関心や愛情を示しサポートすることで、お子さんは不安に向き合い乗り越えることができるのです。
※本ページはこちらの英語原文を元に仮訳したものです(アクセス日 2026年1月29日)。





