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こどものメンタルヘルス

ヘイトスピーチ――お子さんとの対話のヒント
ヘイトスピーチって何? 遭遇したときどうしたらよい?

© UNICEF/UN0443687/Kelly

ヘイトスピーチは昔から存在してきましたが、オンラインでのコミュニケーションが普及したことにより、今では、瞬く間に広く拡散するようになっています。

オンラインでもオフラインでも、ほとんどすべての子どもや若者は、いずれ一度はヘイトスピーチに遭遇することになるでしょう。親として、子どもとヘイトスピーチについて話すこと、子どもがヘイトスピーチに気づけるようにするとともに、遭遇したときにどうすべきかを知っておけるようにすることが大切です。

ヘイトスピーチの基礎知識

対話のヒント

子どもがヘイトスピーチで狙われたら?

 

ヘイトスピーチとは何か

ヘイトスピーチとは、宗教、民族、国籍、人種、肌の色、出自、障がい、年齢、性別、性的指向など、個人や集団の「アイデンティティ」(その人らしさを形作っている部分)を攻撃または差別する、あらゆる形態のコミュニケーション(発言、文章、行動など)のことです。また、言語、経済的・社会的背景、健康状態といった要素」を攻撃するものも含まれます。

ヘイトスピーチの形態は言葉だけではありません。オフラインでもオンラインでも起こり得ますし、画像、漫画、ゲーム、動画、物、体の動きやしぐさなどのジェスチャー、記号やマークなどのシンボルといった、さまざまな形で表現されます。

ヘイトスピーチの目的は、狙った人に恐怖、苦痛、孤立といった感情を引き起こしたり、あるいは脅したりすること、また憎悪を社会に広げることです。暴力や虐待を誘発することが目的の場合もあります。

そして、歴史的に社会の中で脆弱な立場に置かれたり、疎外され続けてきたりした集団を標的にするケースが多く見られます。

 

子どもへの影響

子どもや若者は、オンラインでもオフラインでも、ヘイトスピーチの影響をとても受けやすい存在です。特に自分自身や、人種・肌の色・性別など自分のアイデンティティを攻撃するヘイトスピーチに遭遇したときは、「自分は他の人と違っている」「自分は悪い存在なのかもしれない」と感じてしまいます。こうしたことは自己肯定感に悪影響を及ぼし、不安やうつに陥るなどメンタルヘルスの悪化につながり、場合によっては自傷や自殺を考えてしまうことさえあります。

ヘイトスピーチは暴力を引き起こすこともあります。子どもを含む多くの人々が攻撃され、命を奪われた事例が世界中に存在します。

 

ヘイトスピーチと表現の自由

「表現の自由」は大切な人権です。ヘイトスピーチに対処することは、この権利を守ることでもあるのです。

特定の個人や集団の安全や幸福を脅かすことなく、反対意見を述べたり批判したりすること権利は誰にでもあります。

ヘイトスピーチは、標的となった人々が安心して自由に自己表現することを妨げる行為、すなわち、表現の自由を制限する行為です。

 

トロール行為とは何か

「トロール(挑発行為)」とは、他人の反応を引き出すために、オンラインで挑発的なメッセージやコメントを投稿する行為です。トロールの目的は、混乱を起こし、注目を集め、そして他者を不快にさせることです。

もしトロールが性別、人種、性的指向など、個人や集団のアイデンティティに基づく憎悪や差別をあおった場合、それは、ヘイトスピーチになります。

トロールの多くは、発信者の身元が特定されないよう、偽名や匿名で投稿されます。

 

対話のヒント

多くの親にとって、憎悪、人種差別、性差別、外国人嫌悪といった話題を子どもと話すことは、気まずく感じるものかもしれません。何より大切なのは、子どもが思うことをなんでも安心して話せる「安全な場」をつくることです。

会話の形は家庭によって異なりますが、「お子さんのことを一番良く知っているのはあなた」だということを忘れないでください。お子さんの年齢に合った言葉を使い、良い聞き手となり、ゆっくりでも何回かに分けてでも構いませんのでお子さんが余裕をもって話せるようにしましょう。お子さんの不安の度合いに気づき適切に配慮できるよう、表情や反応をよく観察してください。

1. 子どもへの教え方

世界中すべての人が、社会の中で安全に過ごし、尊厳を守られる権利を持っていること、お互いに敬意をもって接することが大事であることを説明してください。「正しいヘイトスピーチ」などありません。私たち一人ひとりに、ヘイトスピーチを拒否する責任があります。

次のような問いを投げかけながら、お子さんと一緒に「ヘイトスピーチとは何か」を考え、自分に向けられた場合でも他の人に対する場合でも、ヘイトスピーチを見分けられるようにしましょう。

ヘイトスピーチの中には、無知(よく知らないこと)や誤った情報に基づくものもあります。お子さんには、他者に対する開かれた姿勢と率直な好奇心を持つよう促しましょう。

「意図していること」と「その結果(影響)」に違いがあること、つまり「傷つけるつもりがなくても、言葉が相手を傷つけることがある」という点を教えてください。これは、ぜひお子さんに身につけてほしい、大切な考え方です。

年少のお子さんには、「みんなを同じように大切にすること」や「自分がしてほしいように相手に接すること」について話すところから始めてもよいでしょう。

ある程度の年齢のお子さんとは、歴史上の事例を一緒に調べてみるのも一案です。ヘイトスピーチが、多くの争いや人権侵害の土台になってきたことを理解することにつながるでしょう。

ヘイトスピーチがこうした暴力につながることを示す歴史的な事例は、国連によって数多く紹介されています。

2. オンラインのヘイトスピーチ

インターネットやSNSは、友人や家族とつながり、興味のあることを追求し、社会の一員になることを可能にしてくれます。でも残念ながら、同じデジタルツールやプラットフォームが、憎悪に満ちた内容を、多くの場合匿名で簡単に作成し、素早く広範囲に拡散させることも可能にしています。ヘイトスピーチはインターネットを介して世界中に広がる可能性があり、さらに、時間が経ってから再燃することもあります。

多くの子どもがオンラインでヘイトスピーチに遭遇する可能性があるため、お子さんのオンラインでの活動を把握しておくことが大切です。お子さんは、どのSNS、メッセージアプリ、ゲームを使っているでしょうか?誰をフォローしているでしょうか?

次のような問いを投げかけ、話し合いながら、ヘイトスピーチとそうでないものを見分ける力をつけ、ヘイトスピーチに遭遇したときにどうすべきかを理解できるよう、お子さんをサポートしてください。

信頼できる情報とそうでない情報を区別できない場合もあります。誤った情報によって傷つくこともありますし、それをさらに広めてしまうこともあります。

お子さんには、オンラインの情報の中には正確でないものもあり、それが個人を傷つけ、社会を分断し、信頼を損ない、暴力をあおるために利用されることがあることを説明しておきましょう。

お子さんには、スマホなどの画面の向こう側にはさまざまな背景を持った人たちがいるのだということを思い出させ、憎悪に満ちた情報や誤った情報を広めないよう伝えてください。ある人には無害に見えても、別の人にとっては深く傷つく内容だったりすることもあるのです。

3.率直に、そして頻繁に話す

ヘイトスピーチ、人種差別、外国人嫌悪といった話題について子どもと話す機会が多ければ多いほど、お子さんが実際にそれを経験したとき、あなたに相談しやすくなります。

日常の中で、こうした話題について話す機会を見つけてください。例えばテレビで関連する話題が出たら、「このことについて何か知ってる?」「どう思う?」とお子さんに尋ねてみましょう。途中で遮らずに話を聞き、「どんなことでも質問してよい」と伝えてあげましょう。

お子さんが特定の話題の歴史的背景などを知らない場合は、信頼できる情報源を探して、一緒に学ぶ機会をつくりましょう。

子どもは(そしておとなも)、意味を正しく理解しないまま、あるいは面白いと思って、憎悪を含む言葉を使ってしまうことがあります。もしお子さんがそうした言葉を使ったときは、なぜその言葉が不適切で、相手を傷つける可能性があるのかを説明するきっかけにしてください。

学校でヘイトスピーチを経験したときは、誰に相談できそうかをお子さんに聞いてみましょう。あなた以外にも、必要なときに話せる信頼できるおとながいることは、とても大切です。

4.反対の姿勢を示す

お子さんは、あなたを手本にしているということを忘れずに、オンラインを含め、ご自身の言葉や行動に注意を払いましょう。あらゆる機会を捉えてヘイトスピーチを拒否し、すべての人の尊厳を守り、敬意をもって接するという姿勢を示しましょう。

ヘイトスピーチを目にした際には、標的にされた個人または複数の人々を支えたり、ヘイトスピーチを拒否する方法を考えたりできるとお子さんに説明してください。お子さん自身の安全の確保が最優先であることを前提に、そのような言葉を聞いたときの対応の仕方を教えてあげましょう。例えば、お子さんがヘイトスピーチに参加することを求められた場合は、「そういう言葉は使わないよ。相手を傷つけるし、不適切だから」と返す、などの対応です。

お子さんが通う学校に、ヘイトスピーチに対する方針があるかを確認しましょう。この問題を取り上げる授業があれば、それはヘイトスピーチや類似の問題について子どもに教えるよい機会となるでしょう。

5.多様性を受け入れる

私たちは誰もが同じではないし、それは良いことなのだと、お子さんに説明しましょう。もしすべての人が同じなら、世界はとても退屈な場所になってしまいます。違いに対する開かれた態度と好奇心を育てることで、子どもは違いに気づき、それを価値あるものとして捉えられるようになります。そうした姿勢は、異なる人々との対話、理解、共感を育みます。

 

子どもがヘイトスピーチで狙われたら?

すべての子どもには、あらゆる形態の身体的・精神的な暴力、傷害、虐待などから守られる権利があります。

ヘイトスピーチに関するどのような事案も、極めて深刻に受け止める必要があります。状況に応じて、学校やヘイトスピーチが発生したデジタルプラットフォーム、場合によっては警察に通報する必要があます。

話を聞き、安心させる

もしお子さんがヘイトスピーチの被害に遭った場合、最初のステップは、お子さんに、何が起きたのかを説明してもらう時間を取ることです。注意深く耳を傾け、「話してくれてうれしいよ」と伝えてください。お子さんが「聴いてもらえた」「支えてもらえた」と感じられるような姿勢で、集中して聞きましょう。あなたが落ち着いて話を聞くほど、お子さんはあなたに心を開きやすくなります。

世の中には正しいヘイトスピーチなどないことを、はっきり伝えてください。そして、お子さんには、自分のアイデンティティのすべてを誇りに思ってよいのだと伝えてあげましょう。

学校でのヘイトスピーチ

もし、ヘイトスピーチがお子さんの通う学校の児童生徒によるものであった場合は、可能であれば証拠を記録し、学校に報告しましょう。

学校側と話し合い、お子さんの安全に過ごす権利をどう守ってくれるのか、そしてヘイトスピーチを行った側(加害側)にどのような対応を取るのかを確認しましょう。加害側に対する指導は、常に迅速、非暴力的であり、行動の是正と更生に重点を置くべきであり、屈辱や罰を与えたりすることが目的であってはなりません。

学校にカウンセラーがいる場合は、お子さんが経験したことを相談し、お子さんを支える最もよい方法を一緒に考えてもらいましょう。

学校外の人からのヘイトスピーチ

ヘイトスピーチが学校外の人物からのものである場合は、証拠を記録し、警察への相談・通報も検討してください。お子さんの安全について少しでも懸念があるなら、警察に相談することをためらわないでください。

オンラインのヘイトスピーチ

オンライン上で発せられたヘイトスピーチの場合には、証拠を記録し、ヘイトスピーチが起きたプラットフォームに通報しましょう。送信者をブロックしたり制限したりするために、そのプラットフォームで使うことができるツールも確認しましょう。

以下は、多くの主要プラットフォームにおける通報・安全対策のリソースです。

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※日本語で通報・安全対策の対応・説明をしている主なプラットフォームを掲載しています。本ページの英語原文では、上記以外のプラットフォームも紹介されています。

※本ページはこちらの英語原文を元に仮訳したものです(アクセス日 2026年2月2日)。

 

 


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