メニューをスキップ
HOME > スタッフ&サポーターの声 > エスター・グルマさんインタビュー
よくあるお問い合わせ
財団法人日本ユニセフ協会
「エスター・グルマさん インタビュー」
Interview with Esther Guluma

<< TOPページ

マンスリー・サポート・プログラムについてはこちら
4.人身売買

人身売買にからんで、グルマさんはかつて劇的な場面に遭遇したと聞いていますが。

2001年のベナンでの事件のことですね。たくさんの子どもたちを乗せた船が行方不明になり、その子どもたちが人身売買の対象になっていると、大騒ぎになりました。ちょうどイースターの週末だったのですが、この事件が起きて、3日間、自宅の電話が鳴りっぱなしでした。最初は200人以上が同乗しているという噂が流れましたが、最終的には43人が乗っていました。この子たちは、幸い保護されましたが、今でも、西・中央アフリカでは、年間20万人の子どもたちが、人身売買の被害に遭っています。性的搾取のためばかりではありません。ガーナなどではカカオ・プランテーション(カカオはチョコレートの原料になる)があり、ここで子どもたちが働かされたり、ガボンのような豊かな国では、家事手伝いのために子どもたちが人身売買で送り込まれます。ナイジェリアでは鉱山、ヨーロッパ方面に出される子どもたちは性的搾取が多くなっています。

セネガルでは、違法移民が数多くいて、小さなボートでセネガルを出発し、ヨーロッパの国を目指すのですが、途中でボートが沈んで命を落とす子どもが多くいます。これには、国境での取り締まり、入国管理局での取り締まり強化、ソーシャル・ワーカーやホットラインを通じた防止などの対処が行われています。

人身売買される子どもたちは、農村部の子が多かったりするのですが、親は「子どもが都会に出て、教育や働くチャンスを貰える」と思って、子どもを手放します。騙されて出す場合も多いのですが、貧しさが原因で出さざるを得ないことも多々あります。また、子どものほうから積極的に「都会に出て」いくケースもあるのです。

© UNICEF HQ95-0191/Giacomo Pirozzi

しかし、結局は、教育の機会さえも奪われ、他国に売り飛ばされて、その国の言葉を話すこともできずに、困難な状況から抜け出せなくなってしまう場合がほとんどなのです。

コンゴのキンシャサで子どものためのセンターを訪れたことがあります。そのとき、子どものひとりが自分の体験を話してくれました。彼女は「魔女」だと噂され、火傷を負わされたり、大変な目に遭っていたようです。体も切り傷だらけでした。

アフリカの国の中には、私たちが知らない伝統や文化を持っているところがあり、例えば、足から生まれる子どもは縁起が悪いと、生まれてすぐに殺してしまうこともあります。子どもたちの命を奪うような悪しき慣習は変えて行かなければなりませんが、時間がかかります。

FGM/カッティング※1をやめさせるにも、同様に、時間がかかります。トスタンというNGOがセネガル、そのほかの国で頑張っています。その活動のおかげで2000の村でFGM/カッティングが廃止されています。このNGOもコミュニティに入り込んで、人々に、人権があることを報せ、FGM/カッティングが女性たちの健康に害を与えるものであり、根絶するべきものであることを認識してもらっています。このように、「コミュニティ」を中心にこうした啓発活動を行っていくことが、行動様式を変えるためにはとても重要です。

※1 女性性器切除

▲ページTOPへ<< 前のページへ次のページへ >>