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日本ユニセフ協会
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「スクール・フォー・アフリカ活動報告会」
ユニセフ・ブルキナファソ事務所
教育プログラムチーフ 渋谷朋子氏 報告


【2016年2月16日 東京発】

アフリカの教育支援にご寄付の使途を限定してご協力いただく毎月の募金プログラム『ユニセフ・マンスリーサポート・プログラム スクール・フォー・アフリカ』。現在、日本の皆さまからのご寄付は、ブルキナファソの教育支援のために、大切に活用されています。2016年1月13日、ユニセフ・ブルキナファソ事務所で教育プログラムチーフを務める渋谷朋子氏が2015年度に皆さまのご寄付で実現した教育支援について、学校に通っている子どもたちの様子や、教師、ブルキナファソ事務所のスタッフからのメッセージ動画を交えながら報告を行いました。

【報告会概要】

なぜ、「スクール・フォー・アフリカ」なのか?

教育は、貧困や飢餓を軽減する手段となり、次世代の子どもたち が健康に成長することを支え、暴力や虐待の被害者になる危険性を回避することにつながります。そして、子どもたちが未来を自分で切り開く力となります。

しかしながら、サハラ以南のアフリカでは、3人に1人の子どもが学校に通えず、学校に通っていない女の子の3人に2人は、今までに一度も学校に通ったことがありません。世界で学校に行けない子ども5,718万人のうち、アフリカの子どもが占める割合は52パーセント。アフリカの子どもたちへの教育機会を拡大し、教育の質を向上させることを目的に始まったのが「スクール・フォー・アフリカ」です。

ブルキナファソって、どんな国?

©UNICEF/Burkina Faso
新しい校舎には、男女別のトイレと手洗い場も設置されました。

ブルキナファソは、マリとニジェールに挟まれた内陸国です。人口は1,693万人ですが、人口の約46%が貧困層(1日1.25ドル未満で暮らす人)で占められています。また、初等教育の就学率は67%で3人に2人の子どもしか就学できておらず、その結果、識字率は29%と低い状況です。国連人間開発指数の順位は、187カ国181位で最も開発が遅れている国のひとつです。

国民は60以上の部族から構成されており、50%がイスラム教、次いで40%が伝統宗教、10%がキリスト教です。また、主産物は綿、落花生、石鹸、金等です。

2015年のブルキナファソでの成果について

 ブルキナファソで「スクール・フォー・アフリカ」は、「より多くの子どもが学校に就学し、卒業する」ことを目的として2012年に開始されました。日本の皆さまからのご寄付により、ガンズルグ州、ナメンテンガ州、サヘル地方の3地域で支援が行われており、計612校で138,855人(女子66,718人、男子72,137人)の子どもたちを対象としています。支援の大きな柱として、①健全な学習環境を作る、②教育の質を向上させる、③学校周辺地域の強化の3つがあり、それぞれの分野での2015年の成果を報告しました。

©UNICEF/Burkina Faso
手洗い器を設置した学校では、子どもたちに正しい手の洗い方の研修を行いました。
©UNICEF/Burkina Faso
電気が通っていない自宅でも夜間、勉強できるように太陽光発電式のライトを受けとった子ども

① 健全な学習環境を作る

  • 3校で7つの教室、幼稚園、トイレを建設。同じ敷地内に幼稚園、小学校、中学校あるいは職業訓練校を設置したモデル校はブルキナファソで初の一貫校のモデルとして評価されている。
  • 50校に図書や体育、学校菜園の道具を提供し、対象校の401人の教員へ研修を実施。
  • 1,200校に、学校衛生の促進、エボラ予防のために、5,000台の手洗い器を配布。
  • 186校において学校クラブを設置し、約800人の子どもが衛生クラブや菜園クラブ、保護クラブなどの活動に参加

② 教育の質を向上させる

  • サヘル地方の小学校教員(830人)、幼稚園教員(466人)、全国の教育視察官(3,651人)を対象に、子どもを中心にした参加型の教授法や子どもの権利、衛生・栄養に関する教育など「子どもにやさしい教育」の研修を実施。
  • 97人の教員へ障がい児教育の研修を開催。教員達が初めて障がいを持った子どもに応じた教授法を学ぶ機会となった。
  • サヘル地方の15,000人の生徒に電気が通っていない自宅でも夜間に勉強ができるように太陽光発電式のライトを提供。また、10,000人の生徒(特に女子)に筆記用具やノートなどの文房具を配布。

③ 学校周辺地域の強化

  • 10,000人以上の地域住民が教育の大切さ(特に女子や障がい児などこれまで教育を受けられなかった子ども達の教育)の啓発活動に参加。
  • 200人の乳幼児の親を対象に、栄養、保健衛生、保護、育児についての研修を実施し、研修に参加した親は地元の地域で乳幼児の保護者に指導を行った。
  • 5,420人の地域住民へ識字教室を開催。
  • 151校の学校運営委員会と母姉会が収入創出活動を開始するための資金を提供し、利子は学校の備品購入や修繕費に充てられた。
  • 女子教育の促進のために、271人の女子中学生へ奨学金と500人の女子生徒へ自転車を提供。
  • 1,200人の障がい児が教育を受けられる様に支援。
  • 正規の教育の機会を逃した1,800人以上の子どもたちへ、識字教育や短期集中授業、職業訓練を支援。

ユニセフは、2016年以降もブルキナファソのガンズルグ州、ナメンテンガ州、サヘル地方の3地域での教育支援を継続していきます。

ブルキナファソの子どもたちが学校に通い、将来に必要な知識や技能を身につけ、自らの力で未来を切り開いていけるように、今後も『ユニセフ・マンスリーサポート・プログラム スクール・フォー・アフリカ』を通じて、あたたかいご支援をお願い致します。

©UNICEF/Burkina Faso
乳幼児の保護者を対象とした研修。識字率が低いため、研修は紙芝居を使って行われました。
©UNICEF/Burkina Faso
自宅から離れた学校に通えるように自転車を受け取る女子生徒。
©日本ユニセフ協会

渋谷朋子氏プロフィール

東京都出身。青年海外協力隊員として1999年にガーナの村の学校に派遣されて以後、16年間アフリカの教育開発に携わる。ユニセフには2005年にブルンジ事務所に教育担当官(~2007年)として赴任して以来、モザンビーク事務所教育専門官(2007~2011年)、ギニアビサウ事務所教育プログラム・チーフ(2011年~2014年)を経て、現職に至る。


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