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日本ユニセフ協会
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世界の子どもたち

「乳幼児期の子どもの発達に革命を」
ユニセフ事務局長 アンソニー・レーク

【2015年10月7日  ニューヨーク発】

かつて私は、乳幼児期の子どもの発達(ECD)は、教育の問題だと考えていました。子どもに色や形、文字や数字を教えれば、子どもの脳は刺激され、健康的な脳の成長を促進するものだと。そして、その考えは正しいのです。

しかし、今では、私たちは、子どもの脳が発達するためには、教育以外にもたくさんの事が必要だということを知っています。そして、私達が学んでいることは、乳幼児期の子どもの発達の考え方や行動に革命を起こすものなのです。私達は、子どもの脳の健康な発達にとって最初の数年がいかに大切かを、すでに知っています。最初の数年間、子どもの脳の中では、毎秒1,000近くの脳の神経細胞の接続がおこなわれます。この早いペースでの発達は、この時期特有のものです。

乳幼児期の環境が人生を左右する

Children play with Early Childhood Development (ECD) kits inside a UNICEF tent at St Benedict school, in a IDP camp located in a former golf course. Since March 2010, over 1.495 kits have been distributed by UNICEF throughout  the country to support Haitian Ministry of Education and NGO partners in maintaining childhood development programs.

© UNICEF/HTIA2011-00370/Dormino

ECDキットで遊ぶ子どもたち(ハイチ)

この脳の神経細胞の結合は子どもの人生の基礎となるものです。この発達によって子どもの認知、感情および社会的な発達が左右されるのです。そして、子どもの学習能力、将来の成功や幸福に導く能力まで決定します。しかし、私達は、このような脳の神経細胞の結合が遺伝的なものだけでなく、子どもが乳幼児期に置かれた環境に大きく左右されることを知っています。この2つは、密接にからみ合っています。

したがって、私達が子どもと遊んだり、話したり、本を読んで聞かせることで、子どもの脳に刺激を与え、これが脳の発達を促すのです。子どもが養育する家族から十分な注意が払われなければ、子どもは幸せが薄くなるだけではないのです。生きるためや学習するための将来の能力が影響を受けるのです。子どもの体に十分な栄養を与える時、子どもの脳にも栄養を与え、神経細胞の結合を促します。そして、私達が子どもをケアし、暴力や虐待から守ることは、子どもの脳の神経細胞の結合を絶ち、健康な脳の発達を阻害しうる有害なストレスから脳を守ることにもなります。

これは、人生を変えうることなのです。そして、私たちは行動を改めなければなりません。

傷つけられる子どもの未来

On 26 May, Narayan Krishna Shivakoti holds his crying 22-day-old son, Nirman, in a building in the earthquake-affected town of Singati, near the town of Charikot in Dolakha District, epicentre of the 12 May earthquake. Nirman was born in the period between the first and second earthquakes. “Someday, when we look back, we won't remember this as a time of loss or earthquakes, but as when our first baby was born. And he is a healthy baby," Mr. Shivakoti said. He and his wife (Durga Shivakoti) lived about a kilometre from the quake’s epicentre. Their home was destroyed and their poultry farm was damaged during the second disaster. UNICEF and partners are providing shelter, hygiene and nutrition supplies across quake-affected areas of the country. In late May 2015 in Nepal, recovery efforts continued following the 7.8-magnitude quake that struck on 25 April and the 7.3-magnitude quake that struck on 12 May. As of 27 May, more than 8,670 people have been killed and 21,933 people have been injured in the disaster. In the 14 districts hardest hit, 2.8 million people, including 1.1 million children, have been affected. Residences, schools and vital infrastructure, including hospitals, have also been severely damaged or destroyed in the disaster, leaving children and families homeless, vulnerable to disease outbreaks and in urgent need of food, shelter, safe water and sanitation, and health, protection and education support. UNICEF, working with the Government and other partners, is supporting efforts across vital sectors, including water, sanitation and hygiene (WASH), nutrition, health, child protection and education. By 20 May, UNICEF had reached approximately 305,109 people with water interventions and provided 45,201 people with access to sanitation and handwashing facilities and 225,585 people with hygiene education and related materials. Additionally, 122 child-friendly spaces have now been set up for displaced communities in eight districts, benefiting 12,200 a

© UNICEF/NYHQ2015-1505/Sokol

2015年にネパールを襲った最初の地震と2回目の地震の間に生まれた生後22日の息子を抱く父親

最も弱い立場にある子どもたちにとって、脳に栄養を与えるという意味について、私達はどれだけの知識があるか考えてみましょう。今日、世界には、約1億6,000万人の子どもが発育阻害(スタンティング)の状態にあり、身体と認知の発達が阻害されています。そんな子どもたちはどうやって生まれ持つ潜在能力を十分に発揮することができるでしょうか?また、人口の半分が発育阻害である国の社会は、どれほどの生産性や繁栄を見込めるでしょうか?

また、大きな紛争の真っただ中で育つ5,000万人以上の子どもたちにとって、有害なストレスが脳の発達に与える影響について私達は何を知っているか考えてみましょう。イエメンやシリア、中央アフリカの子どもたち。彼らの脳はどのように影響を受けているのでしょうか?思考し判断を下す将来の能力は?他者を信頼し友達を作る能力は?

あるいは、世界各国にいる暴力や虐待の被害にあっている数えきれない子どもたちのことを考えてみましょう。両親が子どもたちに体罰を与えたり虐待するとき、彼らは子どもたちの感情を傷つけるだけでなく、子どもたちの未来も傷つけているのです。

では、どのように人生を左右する乳幼児期の子どもの脳の発達と機能の恩恵を引き出すことができるでしょうか?私達は、すべての子どもたちが人生の始まりから、公平な機会が与えられるよう初期に投資します。私たちが公平に投資するのは、恵まれない子どもほど得るものが大きいからです。

私達は賢く投資します。教育だけではなく、保健や栄養、保護にも投資します。それらすべてが連動して健康な脳の発達を助けるからです。そのため、私達の投資とプログラムも統合されなければなりません。

私達は、今それを行動に移します。

ひとりひとりが行動に移し、革命を起こす

A caregiver helps two small children during a learning activity with blocks, at the Sayariy Warmi early childhood development (ECD) centre in Sucre, the capital. UNICEF supports ECD centres throughout the country. In December 2013 in Bolivia, economic growth and government investment in basic social services continue to improve the lives of children and families. The country has achieved many Millennium Development Goals (MDGs), including regarding extreme poverty, malnutrition, literacy, and gender equality; and a number of others are also on track. However, despite notable progress that includes increased safe water and sanitation access, reduced infant mortality and a decline in chronic malnutrition among children under age three, challenges remain. Income, geographical and other disparities persist, particularly in rural communities. Despite a low unemployment rate, poverty remains high –with 45 per cent of the population living below the national poverty line. According to most data currently available, 11 per cent of children between the ages of 5 and 13 are involved in some form of labour, irrespective of their gender, with children sometimes working in dangerous conditions in the country’s harshest jobs – such as mining – to help support their families. Challenges in preschool and secondary education are many, although education and other social expenditures on behalf of children have increased. Current available maternal mortality rates are high, and neonatal mortality has little changed. The country also still lags behind in ensuring children’s right to an identity, especially in vulnerable communities. Working with the Government and United Nations and other partners, UNICEF supports health, hygiene, nutrition, education, safe water and sanitation, protection and emergency interventions.

© UNICEF/NYHQ2013-1495/Pirozzi

ECDセンターで子どもたちの学びを助ける養育者(ボリビア)

世界の指導者たちは、持続可能な開発目標(SDGs)を採択しました。そこでは、ECDが世界的な開発目標として初めて明確に認識されました。これから一緒に取り組んでいきましょう。政府や開発の専門家だけではなく、私達全員です。

メディアは、これを機会に、ECDがなぜすべての子どもとすべての社会にとって重要なのかについて、人々の理解を深める助けとなることが出来ます。

慈善事業団体は、最も資源が集まりにくいものの一つである、ECDのプログラムに対する支援を増やすことが出来ます。民間企業も、これらのプログラムを支援し、働きながら子育てをしている両親が幼い子どもたちのケアをしやすいような規則を定めることが出来ます。このように、今日の職場に投資することで、未来の労働力を育てることになるのです。

市民社会は、すでにECDの啓蒙活動に甚大な役割を果たしていますが、ECDのサービスや質の高い乳幼児期プログラムが世界中のすべての子どもたちに届けられるように、努力を強めかつ調整することが出来ます。

この重要な問題に関して、私達がお互いの力、専門性、ネットワークを高めるために出来ることはまだまだあります。今は、私達全員に恩恵をもたらしてくれる幼い子どもたちのために新しい風を起こす時なのです。科学者たちが言う、私達がしなければならないことを実践しようではありませんか。科学の提示する事実に反論の余地はありません。その道徳的な論拠は有力です。投資の事例には説得力があります。SDGsの機運を高めるのは私達です。そして、私達には行動に移す力があります。

2015年10月7日

ユニセフ事務局長 アンソニー・レーク


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